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第89話
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夜遅くに眠ったせいで、翌日はいつもより遅く目が覚めた。
「真樹、まだ起きない?」
「……」
「あれ、寝た?」
起きたくなくて開けた目を閉じる。
布団を頭まで被って明かりを遮断した。これでもう少し眠れそう。
「朝ご飯にホットサンド焼いたよ」
「……ホットサンド」
「うん。結構美味しくできたと思うんだけど、食べる?」
「食べる」
けれどすぐに誘惑に負けてしまう。
モゾモゾ動いて漸く体を起こした俺に「おはよう」と声を掛けてくれた彼。
寝癖を見られることはもう慣れたので、頭を隠しはしない。
「おはようございます……」
「眠そうだね」
「遅くまで起きてたから眠いです。凪さんは?眠くないの?」
「うん。真樹とどこか出かけたいなぁって思ってる」
「どこ行くの?」
「悩み中」
髪を優しく梳かれる。
「寝癖ついてる?」
「うん。ちょっと跳ねてる」
「……凪さん、直してぇ……」
「いいよ。洗面所行く?」
「うん」
ベッドから抜けて、洗面所に寄る。
寝癖を直してもらって、それからリビングに行くと席に座っているように言われ、その通りそこで待った。
「お待たせ」
「いい匂い」
「飲み物は?コーヒーにする?」
「うん。凪さんも飲む?」
「飲むよ。ちょっと待っててね。あ、食べていていいからね。」
「はーい。いただきます!」
手を合わせてホットサンドに齧り付く。
美味しい!戻ってきた凪さんにそう伝えると嬉しそうに笑って「よかった」といいながら、コーヒーをくれる。
「ありがとうございます」
「どういたしまして。どこか行きたいところない?」
「んー……」
普段からどこかに出かけるってことがなかったから、思いつく所がない。
「映画館とか行ったことある?」
「いや、無いですね。気になったのはDVDを借りて家で観てました。」
「観にいってみる?」
「何か面白いのありますか?」
「調べてみるよ」
スマートフォンで検索をかける彼を見ながら、コーヒーを飲んだ。
夜遅くに眠ったせいで、翌日はいつもより遅く目が覚めた。
「真樹、まだ起きない?」
「……」
「あれ、寝た?」
起きたくなくて開けた目を閉じる。
布団を頭まで被って明かりを遮断した。これでもう少し眠れそう。
「朝ご飯にホットサンド焼いたよ」
「……ホットサンド」
「うん。結構美味しくできたと思うんだけど、食べる?」
「食べる」
けれどすぐに誘惑に負けてしまう。
モゾモゾ動いて漸く体を起こした俺に「おはよう」と声を掛けてくれた彼。
寝癖を見られることはもう慣れたので、頭を隠しはしない。
「おはようございます……」
「眠そうだね」
「遅くまで起きてたから眠いです。凪さんは?眠くないの?」
「うん。真樹とどこか出かけたいなぁって思ってる」
「どこ行くの?」
「悩み中」
髪を優しく梳かれる。
「寝癖ついてる?」
「うん。ちょっと跳ねてる」
「……凪さん、直してぇ……」
「いいよ。洗面所行く?」
「うん」
ベッドから抜けて、洗面所に寄る。
寝癖を直してもらって、それからリビングに行くと席に座っているように言われ、その通りそこで待った。
「お待たせ」
「いい匂い」
「飲み物は?コーヒーにする?」
「うん。凪さんも飲む?」
「飲むよ。ちょっと待っててね。あ、食べていていいからね。」
「はーい。いただきます!」
手を合わせてホットサンドに齧り付く。
美味しい!戻ってきた凪さんにそう伝えると嬉しそうに笑って「よかった」といいながら、コーヒーをくれる。
「ありがとうございます」
「どういたしまして。どこか行きたいところない?」
「んー……」
普段からどこかに出かけるってことがなかったから、思いつく所がない。
「映画館とか行ったことある?」
「いや、無いですね。気になったのはDVDを借りて家で観てました。」
「観にいってみる?」
「何か面白いのありますか?」
「調べてみるよ」
スマートフォンで検索をかける彼を見ながら、コーヒーを飲んだ。
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