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第58話
しおりを挟む凪さんにとって俺のイタズラは、ただの構って攻撃だったらしい。
皿洗いを終えるとひょいっと運ばれ、ソファーに降ろされた。
「真樹は随分甘えたになったね」
「は?」
愕然とする。
甘えた……確かに、アルファだった頃の俺に比べると今の俺はナヨナヨしていると思う。
それに彼と暮らし始めてすぐは、彼の言う『甘えた』な状態だったと俺自身も自覚している。
「今の俺はそんなに甘えたがりですか。」
「そうだね。どうしようかと思う時があるよ。」
「どうしようかって……?え、まさかうざったいから別れるとか……っ」
「違う違う。襲ってやりたくなる」
「……」
どんな反応をするのが正解かわからず、とりあえず小さく笑ってみると、彼はにっこりと微笑む。
「嫌って言わないってことは良いって事だね?次からはそうするから覚悟しておくように」
「えっ……えー……?」
覚悟って、凪さんに抱かれる覚悟?
そんなのは昨日までにしていたし、嫌なことでもないから、もう気にしないことにする。
「凪さんに触られるのは嫌じゃないですよ。むしろ好きです。昨日……すっごく気持ちよかった、し……。早く番になりたい。」
「……」
黙り込んでしまった彼。
どうしたんだろうと顔を覗き込むと恐ろしいくらいの真顔だった。
もしかして俺、何か変なこと言った?そう不安になるくらいに何の反応も無い。
「ごめんなさい。気に障ることを言ってしまったみたいで……」
「え……いや、違う!今凄く真樹に触りたくなって堪えてた。」
「……堪える?」
「あんまり可愛いことを言わないでくれ。俺を煽るな。」
凪さんの様子がおかしい。面白くてもう少しイタズラしても怒られないだろうと、強く抱きつく。
「なーぎさん」
「……真樹」
「凪さん、好きです。本当に早く凪さんと番になりたいって思ってます。」
「……俺は堪えた。堪えたぞ。……無理に決まってるだろ、堪えれるか。」
「うわっ!」
ソファーに押し倒される。両手首を押さえ付けられ驚いて目を見張った。
「凪さん……?」
「真樹が煽ったんだからな」
「へっ?っあ、待って、んぅ……っ!」
唇が塞がれる。
舌が入ってきて、激しく口内を蹂躙された。流れてくる唾液を飲み込んで、そうしているうちに興奮してしまい、早くもペニスが反応してしまう。
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