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第47話
しおりを挟む翌日、凪さんと出社すると既に中林さんがいて、まず一番に彼女に謝った。
大丈夫と言って笑ってくれたのだが、お詫びに何かご飯をご馳走するか、菓子折りを渡そうと思う。
というか先に買ってきておけばよかった。
デスクに座り、パソコンの電源を入れる。
まだもう少し時間がある。
立ち上がって中林さんのデスクに近づき「あの……」と声を掛けた。
「うん?どうかした?」
「もしお昼持ってきて無かったら、ご馳走させてほしい、です。」
「え……あ!もしかして休んだ事気にしてる?本当に大丈夫だよ。でもお昼の用意はしてないから、一緒にランチ行きたいな。」
「うん」
ランチの約束を取り付け、席に戻り始業時間になって仕事を始めた。
専務の仕事内容は資料を見て大体わかった。
中林さんに聞こうと思ってメモに書いていた内容は、昨日までに凪さんに確認をしてバッチリだ。
電話が鳴り、受話器を取って耳に当てた。
内容を聞き取ってメモに書いて通話を切る。
パソコンに必要情報を入力して専務のパソコンに送信すれば終わり。
他の部署から送られてきた資料を纏め、専務室に持って行く。
凪さんは集中して仕事をしていて格好よかった。
十一時頃、専務が部屋から出てきて中林さんに昼からは社長と出掛ける事を伝えると、またすぐに部屋に戻って行く。
「堂山君、ごめんなさい!」
「え、何が?」
直後に中林さんが謝ってきたから、頭の中が疑問符でいっぱいだ。
「ランチ行けなくなっちゃった……。社長と専務が急遽午後から出掛けることになったから同行しなきゃ行けなくて……。」
「あ、そうなんだ。気にしないで。俺はいつでも行けるし、大丈夫。」
「本当は専務と専務のお父様だから、堂山君に行かせてあげたいんだけど……」
「いやいや、俺はこの仕事を始めてまだ二日しか経ってないから、中林さんが適任だよ。」
申し訳なさそうにする彼女に、俺の方が申し訳なくなる。
でも、ちょっとだけ気にはなる。凪さんのお父様。
「ごめんね。あ、私これから準備してくるから、ここ任せるね。」
「はい。行ってらっしゃい」
外出先で必要な書類があるんだろう。
準備の為にフロアから飛び出ていった彼女を見て、俺も早く仕事ができるようにならないとと気合が入った。
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