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第2章
第89話
しおりを挟む佑里斗と智が話をしている最中、見守っていた二人は穏やかに話が終わりそうなのを優しい顔をして見ていた。
「高津君が優しくてよかったよなぁ」
「ああ」
「これでちょっとは安心だな! 変に突っかかってくる奴らも減るんじゃね?」
「そうだといいけど、もう一人厄介なのがいるらしいから」
「あー……アイツね」
松井は佑里斗が廊下で嫌がらせを受けていた時のことを思い出した。
確かにあの主犯格みたいなのは厄介だろうと『うげぇ』とした顔をする。
「でもさ、あのー……智君? あの子が傍にいればそうでもないんじゃないの?」
「まあ誰かが一緒にいる時はそうかもしれないけど」
「その辺は期待するしかないね」
「うん」
佑里斗と智の関係が前のように修繕できたなら、おそらく佑里斗自身も周りの声をあまり気にすることなくいられるのだろうが。
話し合いを終えた二人は、待っていた先輩二人に顔を向けた。
琉生は佑里斗の傍に行くとジッと智を見下ろす。
「お前、次変なこと言ってみろ、容赦しないからな。松井が」
「あ、俺ぇ!?」
真顔で冗談を言った琉生に佑里斗は思わず笑ってしまう。
けれど美人の真顔は怖いので、智はウンウン頷いて、それから琉生にも「すみませんでした」と頭を下げた。
「え、何が?」
琉生は本当に何のことかわからなかったのでキョトンとして小首を傾げる。
「いやだって……先輩って佑里斗の彼氏ですよね……? あ、彼氏は失礼なのか……? えっと、番なんですよね?」
そこで智はまた爆弾を落とした。
彼の発言に琉生と佑里斗はピシッと固まり、そして──
「……え、美澄と高津君って付き合ってんの?」
松井は素っ頓狂な顔でそう言った。
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