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第2章
第75話
しおりを挟む講義の時間が近づくに連れて騒がしくなる。昼休みから戻ってきた人達は会話をしていて楽しそうだ。
佑里斗はゆっくり上体を起こしてフワフワ欠伸をした。
時間を見ればあと五分程で講義が始まる。
「佑里斗」
「……」
声を掛けられて振り返ると智が一人でいた。
少し騒がしさが和らいで、佑里斗は彼をジッと見据えると「なに」といつもよりずっと冷たい声で返事をする。
「あの、」
「……馬鹿にしたいだけなら話しかけないでほしい。差別する人と会話したくない」
「っ、違う!」
「違う? なら何? また人が多いところで何か言う気?」
また食堂の時のように人前で何かを言われたらと思うと佑里斗は不安で堪らなかった。
何かを言われるより先に逃げたいなと思うくらいには胸の中がソワソワしている。
「……なんでもない」
「……そう」
智は静かに離れていって、佑里斗も椅子に座り直し深く息を吐く。
あんなことを言われたんだ、佑里斗が彼を信用出来ずに拒絶するのは仕方がない。
けれど佑里斗はどこか罪悪感を感じて、少しだけ苦しかった。
そんなふうに感じる必要は無いんだと自分に言い聞かせるけれど、それでも気になって仕方がない。
「……はぁ」
ここ最近溜息ばかり吐いている気がする。
早いところ、今よりも楽しい毎日を送りたい。
講義の始まりを告げるチャイムが鳴った。
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