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虹を作りましょう
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「リーア様、リーア様、虹を作りましょう」
ミルティアに無邪気に周囲をスキップされて、リリーアリアは虹を思い浮かべた。
「それは、空に架かるあの橋の様な七色の物かしら?」
言われた事が同じ物を指しているのか、リリーアリアが確認するように言うと、ミアがブンブンと首を縦に振った。
何か言いかけたリリーアリアを制するように、掌を広げて待ったをかけてから、ミルティアはメルティアとマルグレーテ
の所まで走っていく。
そして、二人の手を引いて走って戻って来た。
「はぁはぁ、突然ミアがすみません。虹の作り方、ですか?」
「そう!リーア様はとてもお上手なので、出来ると思うのです」
両手を握って力説するミルティアを、メルティアがジト目で見た。
何となくその仕草がアデリナに似ていて、リリーアリアは微笑んだ。
「まさか、ミアが我侭を言ったのです?」
「あっ…ミアが言いだしっぺです」
言われて初めて気づいたというように、ミルティアが口に手をあてた。
「虹の作り方は、そんなに難しくはないのです。水を細かい粒に替えて、雨のように降り注ぐようにすれば、
太陽の光で、虹が見えるので、虹を作るというよりは、水を細かい粒にして降らせる、と言う感じです」
「そう、それでは、城砦の上に登れるかしら?高い所のほうが上手くできるのではないかと思うの」
メルティアの説明を頷いて聞きながら、リリーアリアが提案すると、二人と繋いでいた手を放して、ミルティアがリリーアリア
の手を引いた。
「こちらです!リーア様」
少女達は、城砦の中の一番高い塔の天辺に上っていく。
最後は梯子を上り、天井の上に出ると、領地が見渡せる場所に出た。
「美しいですわね」
景色を眺めながらリリーアリアが言うと、双子は嬉しそうな笑顔を浮かべた。
「メアとミアもこの景色が大好きです」
「ミアとメアも領地が大好きなのです」
二人の無邪気な笑顔に、リリーアリアも同意するように頷いた。
「わたくしもよ」
この美しい土地や、国を蹂躙させたくなど無い。
リリーアリアは、先程とは違い、大きな水の塊を作り出した。
「これを細かく、致しますのね」
「はい、リーア様、雨より霧をイメージすると良いです。それと方向はそのまま、太陽を背中にしていてください」
ぶわり、と水分を含んだ空気が広がり、今まであった水が霧消した。
「あら?…失敗かしら?」
「……いえ、メアの指示が失敗したのです…」
「ごめんなさい、リーア様」
何故か双子がしょんぼりして、リリーアリアは苦笑しながら二人の頭を撫でた。
「何故そんなに落ち込むの。失敗なんてよくある事でしてよ。大事なのはその後ですわ。さ、練習に戻りましょう」
項垂れた二人を励まして、マルグレーテを見ると、階段を上がっていく時よりは、元気を取り戻したようで、
リリーアリアは気分転換になったようだと思って、微笑んだ。
「え、嘘、リーア様!失敗してません」
「すごい!ミアのお願いしたとおり!」
二人の嬉しそうなはしゃぎ声に慌ててリリーアリアとマルグレーテが城砦の外に出ると、
そこには小さいけれど綺麗な虹がかかっていた。
双子が手を繋いでくるくるとスキップしながら、よく分からない歌を歌ってはしゃいでいる間、
リリーアリアは虹を見上げるマルグレーテを見詰めていた。
「アリア様が、失敗したと思った時、大事なのはその後だと仰られていて、わたくし目が覚めました。
出来ない事をそのままにしておく方が、わたくしは嫌なので、もう落ち込みません」
晴れやかな顔をするマルグレーテの手を、静かにリリーアリアは握った。
「貴方は、お城に来てから武術も、お世話も沢山の事を覚えてくれて、手も、ほら、ささくれが出来てますわ。
癒しの力を感じる?今わたくしが、貴方を癒している魔法を」
「はい…温かいです……」
泣きそうな顔をするマルグレーテに、リリーアリアはにっこりと微笑んだ。
「色々な方法を試しましょう。それでも出来なくても、貴方は何も恥じる事はありませんわ。
わたくしは、貴方のその不器用でまっすぐな所が大好きなのですもの」
「アリア様…」
ぎゅ、と抱きしめると、リリーアリアの背に、おずおずとマルグレーテの手が回される。
暫くそうしていると、いつの間にか変てこな歌が止み、両側から双子が抱きついてきた。
「ずるいですわ、メアとミアもいれてくださいまし」
「ミアとメアは仲間はずれは嫌ですわ」
そんな風に4人で一塊になる姿を、クリストハルト以下周囲の村人や兵士達は和やかに見詰めていた。
昼食を運んできたアデリナが、4人の側に来るまでは。
ミルティアに無邪気に周囲をスキップされて、リリーアリアは虹を思い浮かべた。
「それは、空に架かるあの橋の様な七色の物かしら?」
言われた事が同じ物を指しているのか、リリーアリアが確認するように言うと、ミアがブンブンと首を縦に振った。
何か言いかけたリリーアリアを制するように、掌を広げて待ったをかけてから、ミルティアはメルティアとマルグレーテ
の所まで走っていく。
そして、二人の手を引いて走って戻って来た。
「はぁはぁ、突然ミアがすみません。虹の作り方、ですか?」
「そう!リーア様はとてもお上手なので、出来ると思うのです」
両手を握って力説するミルティアを、メルティアがジト目で見た。
何となくその仕草がアデリナに似ていて、リリーアリアは微笑んだ。
「まさか、ミアが我侭を言ったのです?」
「あっ…ミアが言いだしっぺです」
言われて初めて気づいたというように、ミルティアが口に手をあてた。
「虹の作り方は、そんなに難しくはないのです。水を細かい粒に替えて、雨のように降り注ぐようにすれば、
太陽の光で、虹が見えるので、虹を作るというよりは、水を細かい粒にして降らせる、と言う感じです」
「そう、それでは、城砦の上に登れるかしら?高い所のほうが上手くできるのではないかと思うの」
メルティアの説明を頷いて聞きながら、リリーアリアが提案すると、二人と繋いでいた手を放して、ミルティアがリリーアリア
の手を引いた。
「こちらです!リーア様」
少女達は、城砦の中の一番高い塔の天辺に上っていく。
最後は梯子を上り、天井の上に出ると、領地が見渡せる場所に出た。
「美しいですわね」
景色を眺めながらリリーアリアが言うと、双子は嬉しそうな笑顔を浮かべた。
「メアとミアもこの景色が大好きです」
「ミアとメアも領地が大好きなのです」
二人の無邪気な笑顔に、リリーアリアも同意するように頷いた。
「わたくしもよ」
この美しい土地や、国を蹂躙させたくなど無い。
リリーアリアは、先程とは違い、大きな水の塊を作り出した。
「これを細かく、致しますのね」
「はい、リーア様、雨より霧をイメージすると良いです。それと方向はそのまま、太陽を背中にしていてください」
ぶわり、と水分を含んだ空気が広がり、今まであった水が霧消した。
「あら?…失敗かしら?」
「……いえ、メアの指示が失敗したのです…」
「ごめんなさい、リーア様」
何故か双子がしょんぼりして、リリーアリアは苦笑しながら二人の頭を撫でた。
「何故そんなに落ち込むの。失敗なんてよくある事でしてよ。大事なのはその後ですわ。さ、練習に戻りましょう」
項垂れた二人を励まして、マルグレーテを見ると、階段を上がっていく時よりは、元気を取り戻したようで、
リリーアリアは気分転換になったようだと思って、微笑んだ。
「え、嘘、リーア様!失敗してません」
「すごい!ミアのお願いしたとおり!」
二人の嬉しそうなはしゃぎ声に慌ててリリーアリアとマルグレーテが城砦の外に出ると、
そこには小さいけれど綺麗な虹がかかっていた。
双子が手を繋いでくるくるとスキップしながら、よく分からない歌を歌ってはしゃいでいる間、
リリーアリアは虹を見上げるマルグレーテを見詰めていた。
「アリア様が、失敗したと思った時、大事なのはその後だと仰られていて、わたくし目が覚めました。
出来ない事をそのままにしておく方が、わたくしは嫌なので、もう落ち込みません」
晴れやかな顔をするマルグレーテの手を、静かにリリーアリアは握った。
「貴方は、お城に来てから武術も、お世話も沢山の事を覚えてくれて、手も、ほら、ささくれが出来てますわ。
癒しの力を感じる?今わたくしが、貴方を癒している魔法を」
「はい…温かいです……」
泣きそうな顔をするマルグレーテに、リリーアリアはにっこりと微笑んだ。
「色々な方法を試しましょう。それでも出来なくても、貴方は何も恥じる事はありませんわ。
わたくしは、貴方のその不器用でまっすぐな所が大好きなのですもの」
「アリア様…」
ぎゅ、と抱きしめると、リリーアリアの背に、おずおずとマルグレーテの手が回される。
暫くそうしていると、いつの間にか変てこな歌が止み、両側から双子が抱きついてきた。
「ずるいですわ、メアとミアもいれてくださいまし」
「ミアとメアは仲間はずれは嫌ですわ」
そんな風に4人で一塊になる姿を、クリストハルト以下周囲の村人や兵士達は和やかに見詰めていた。
昼食を運んできたアデリナが、4人の側に来るまでは。
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