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反動の大きい人
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今日は旅の支度をしなくてはいけないわ…。
マリアローゼはむにゃむにゃと、ベッドの上で寝返りをうってから、漸く起き上がった。
旅から帰ってからは、もう不寝番の小間使いが付く事はなくなっていて、起きると既にルーナが控えている。
「おはよう御座います、お嬢様。お紅茶の用意が整っております」
「お早うルーナ、頂きますわ」
朝はやはり、ミルクティに限るのである。
ふうふうと息を吹きかけて冷ましつつこくりこくりと飲みながら、マリアローゼは昨夜の事を思い出していた。
嘘と断じるには壮大すぎる話で、思い出してはいけない事に気づいて、頭から追い払う。
何にしても謝罪を受け入れたのだから、今日はきちんと挨拶しなければ、とマリアローゼはこくん、と頷いた。
朝の修練が終わり、軽い行水の後で、支度を整える。
食堂へ向かいながら、ユリアに話しかけた。
「あの、叔父様からの謝罪を受け入れましたので、今日はその…あまり叔父様を責めないで下さいませ」
「えーいいんですか?マリアローゼ様はお優しすぎますよぅ」
そう言って唇を尖らせて不満気にするユリアは、とても湖で巨大魚を仕留めたり、斧を振り回して戦うようには見えない美少女なのだ。
普段は修道女に似た制服を身に纏っているので、清楚に見えないことも無い。
見えないことも、ない。
ユリアの眉が顰められて、目付きが悪くなったのを見て、前を見ると、ニコニコ元気になったジェレイドが食堂の入口で立っている。
「お早う御座います、レイ様」
「ああ!愛しのマリアローゼ!許してくれて有難う!君の許しを得て、天にも昇る気持ちで朝を迎えたよ!んーまっんまっ」
抱きしめて擬音付きで頭にキスを何度もされて、マリアローゼは苦笑した。
「そのまま昇天すれば良かったのに……」
というユリアの不穏な呟きは、聞こえなかった事にする。
「レイ様、そろそろ席に参りましょう。今日はお父様のお手伝いをなさるんでしょう?」
「そうだった、登城しなければいけないんだった。本当は一秒でも長く君の側にいたいのだけど……
僕が帰ってくるまで、旅の支度をして待っていておくれ。足りない物は何でも買ってあげるからね?
それに屋敷の方にも揃えてあるからね?何なら…」
「もういい加減にしてください!話が終らないじゃないですか!ご飯食べたいんですよ!!!」
耐えかねて、ユリアの怒号が響き渡り、ジェレイドはきょとんとユリアを見た。
「え?食べればいいんじゃないか?」
マリアローゼを抱きしめたまま、勝手にどうぞ?とばかりにユリアの席を手で指し示す。
「お嬢様だってお腹すいてるんですよ!!成長を阻害するつもりですか!」
「はい、運動したので、お腹がすいております」
元気になると厄介なのはジェレイドもシルヴァインも同じなのである。
ユリアの言葉に便乗して訴えてみるものの、腕の力は緩まない。
「うーん。君が言うなら仕方ないなぁぁ。可愛いなあマリアローゼ」
埒があかないと思ったのか、ユリアがマリアローゼを毟り取るように引き離して、
やっとジェレイドはマリアローゼから離れて、自分の席へと渋々移動した。
「前よりウザさが増してる気がするんですけど……」
「反動、でしょうか?」
ユリアの訴えかけに、困った顔でマリアローゼは答えた。
マリアローゼはむにゃむにゃと、ベッドの上で寝返りをうってから、漸く起き上がった。
旅から帰ってからは、もう不寝番の小間使いが付く事はなくなっていて、起きると既にルーナが控えている。
「おはよう御座います、お嬢様。お紅茶の用意が整っております」
「お早うルーナ、頂きますわ」
朝はやはり、ミルクティに限るのである。
ふうふうと息を吹きかけて冷ましつつこくりこくりと飲みながら、マリアローゼは昨夜の事を思い出していた。
嘘と断じるには壮大すぎる話で、思い出してはいけない事に気づいて、頭から追い払う。
何にしても謝罪を受け入れたのだから、今日はきちんと挨拶しなければ、とマリアローゼはこくん、と頷いた。
朝の修練が終わり、軽い行水の後で、支度を整える。
食堂へ向かいながら、ユリアに話しかけた。
「あの、叔父様からの謝罪を受け入れましたので、今日はその…あまり叔父様を責めないで下さいませ」
「えーいいんですか?マリアローゼ様はお優しすぎますよぅ」
そう言って唇を尖らせて不満気にするユリアは、とても湖で巨大魚を仕留めたり、斧を振り回して戦うようには見えない美少女なのだ。
普段は修道女に似た制服を身に纏っているので、清楚に見えないことも無い。
見えないことも、ない。
ユリアの眉が顰められて、目付きが悪くなったのを見て、前を見ると、ニコニコ元気になったジェレイドが食堂の入口で立っている。
「お早う御座います、レイ様」
「ああ!愛しのマリアローゼ!許してくれて有難う!君の許しを得て、天にも昇る気持ちで朝を迎えたよ!んーまっんまっ」
抱きしめて擬音付きで頭にキスを何度もされて、マリアローゼは苦笑した。
「そのまま昇天すれば良かったのに……」
というユリアの不穏な呟きは、聞こえなかった事にする。
「レイ様、そろそろ席に参りましょう。今日はお父様のお手伝いをなさるんでしょう?」
「そうだった、登城しなければいけないんだった。本当は一秒でも長く君の側にいたいのだけど……
僕が帰ってくるまで、旅の支度をして待っていておくれ。足りない物は何でも買ってあげるからね?
それに屋敷の方にも揃えてあるからね?何なら…」
「もういい加減にしてください!話が終らないじゃないですか!ご飯食べたいんですよ!!!」
耐えかねて、ユリアの怒号が響き渡り、ジェレイドはきょとんとユリアを見た。
「え?食べればいいんじゃないか?」
マリアローゼを抱きしめたまま、勝手にどうぞ?とばかりにユリアの席を手で指し示す。
「お嬢様だってお腹すいてるんですよ!!成長を阻害するつもりですか!」
「はい、運動したので、お腹がすいております」
元気になると厄介なのはジェレイドもシルヴァインも同じなのである。
ユリアの言葉に便乗して訴えてみるものの、腕の力は緩まない。
「うーん。君が言うなら仕方ないなぁぁ。可愛いなあマリアローゼ」
埒があかないと思ったのか、ユリアがマリアローゼを毟り取るように引き離して、
やっとジェレイドはマリアローゼから離れて、自分の席へと渋々移動した。
「前よりウザさが増してる気がするんですけど……」
「反動、でしょうか?」
ユリアの訴えかけに、困った顔でマリアローゼは答えた。
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