531 / 592
第四章:三人の旅
幕間の弐:宝剣の親子
しおりを挟む
世界には、三つの規格外の宝剣がある。
一つ目は【始まりの剣】
千年も前に偶然作られ、世界を奇跡で満たした剣。
産まれてから直ぐに二つに分かれ、しばらくして消失してしまった最古の奇跡。
その時代は人々が互いに争い、日々戦争を繰り返していた時代だった。
それが産まれた理由は、世界には奇跡が起こる余地があったから、としか説明が出来ない正真正銘偶然の産物だ。
二つ目は【破魔の小剣】
英雄ベルナールの時代、魔王が産まれるとほぼ同時に産まれた剣。
誰かの作品ではなく、夢で魔王を打ち倒せとお告げを受けたベルナールが、ある日目覚めた時に枕元に置いてあったのだという。
魔王ですら三振りの内に討伐出来たと言われる最強の矛。
その剣が生まれると、世界中の魔物の動きが鈍くなったのだと言われている。
その剣は、『失敗作である強き魔王』を倒す為に生まれ、その役目を終えるとぼろぼろに崩れ去った。
現在ではそれは極々一部の人の中でわ世界の意思によって作られたと言われている。
三つ目は【不壊の月光】
まだ魔物であった狛の村の住人が偶然作ってしまったと言われている、決して壊れない剣。
その力の本質は、ただ壊れないことではなく、決して本来の姿を忘れないこと。
その影響力は周囲にまで及び、魔物であった狛の村の住人はかつて人であったことを思い出し、一度死んで魔王になってしまったレインすら、最期に人間に戻したと言われている。
そして、その剣が持つ力は、それだけに留まっていない。
この剣は、世界に影響を及ぼす二つ目の奇跡にして、この剣の影響で産まれた、鬼神レイン専用の武器だった。
それはレインが死んで三十年が経った今となっても、文字通り。
例え月光自体が二人の弟子を持ち主だと認めていても、その理由は、『レインの弟子だから』だ。
そう、そもそも。
【英雄レインの力は間違っていた】
現代の英雄達は、しばしばこんな議論をしている。
「弱い僕には見当も付かないのだけれど、もしも世界中全てのマナを吸収してしまったクラウス君とレイン、戦ったらどちらが勝つ?」
「十中八九レインさんですね」
「私もそう思いますよ。ただ、100%と言っても良いかもしれません」
「原初の奇跡に、その欠片が対抗出来るものなのか?」
「魔人様の力って、そもそも常識じゃないわ」
「確かに、この力は勇者の根本を覆してますわね。いや、そもそも勇者ではないわたくしがデーモンを倒すことなど、本来なら出来るはずが無いのですから」
「ぶっちゃけ、月光の強い部分ってあれだよね。師匠を作れたところ」
本当にあの男は奇跡の塊だ。
そんな結論で幕を閉じる議論も、もうすぐその真実が証明されようとしている。
二十年近い研究の結果、本来なら、クラウスはレインだったらしい。
月光さえ生まれなければ、レインがクラウスのポジション、つまり、始まりの剣を宿す存在だったらしい。
そんなやたらと複雑になってしまった英雄の話も、実はレインが産まれたことで、解決を見せようとしている。
何も知らない人々にとっては忌むべき対象となってしまった英雄が、実は世界を守る鍵などと今更言えないところが、英雄達にとっては悩ましい所だった。
何故ならそれを公表すれば、人類の敵はその息子になってしまうのだから。
一つ目は【始まりの剣】
千年も前に偶然作られ、世界を奇跡で満たした剣。
産まれてから直ぐに二つに分かれ、しばらくして消失してしまった最古の奇跡。
その時代は人々が互いに争い、日々戦争を繰り返していた時代だった。
それが産まれた理由は、世界には奇跡が起こる余地があったから、としか説明が出来ない正真正銘偶然の産物だ。
二つ目は【破魔の小剣】
英雄ベルナールの時代、魔王が産まれるとほぼ同時に産まれた剣。
誰かの作品ではなく、夢で魔王を打ち倒せとお告げを受けたベルナールが、ある日目覚めた時に枕元に置いてあったのだという。
魔王ですら三振りの内に討伐出来たと言われる最強の矛。
その剣が生まれると、世界中の魔物の動きが鈍くなったのだと言われている。
その剣は、『失敗作である強き魔王』を倒す為に生まれ、その役目を終えるとぼろぼろに崩れ去った。
現在ではそれは極々一部の人の中でわ世界の意思によって作られたと言われている。
三つ目は【不壊の月光】
まだ魔物であった狛の村の住人が偶然作ってしまったと言われている、決して壊れない剣。
その力の本質は、ただ壊れないことではなく、決して本来の姿を忘れないこと。
その影響力は周囲にまで及び、魔物であった狛の村の住人はかつて人であったことを思い出し、一度死んで魔王になってしまったレインすら、最期に人間に戻したと言われている。
そして、その剣が持つ力は、それだけに留まっていない。
この剣は、世界に影響を及ぼす二つ目の奇跡にして、この剣の影響で産まれた、鬼神レイン専用の武器だった。
それはレインが死んで三十年が経った今となっても、文字通り。
例え月光自体が二人の弟子を持ち主だと認めていても、その理由は、『レインの弟子だから』だ。
そう、そもそも。
【英雄レインの力は間違っていた】
現代の英雄達は、しばしばこんな議論をしている。
「弱い僕には見当も付かないのだけれど、もしも世界中全てのマナを吸収してしまったクラウス君とレイン、戦ったらどちらが勝つ?」
「十中八九レインさんですね」
「私もそう思いますよ。ただ、100%と言っても良いかもしれません」
「原初の奇跡に、その欠片が対抗出来るものなのか?」
「魔人様の力って、そもそも常識じゃないわ」
「確かに、この力は勇者の根本を覆してますわね。いや、そもそも勇者ではないわたくしがデーモンを倒すことなど、本来なら出来るはずが無いのですから」
「ぶっちゃけ、月光の強い部分ってあれだよね。師匠を作れたところ」
本当にあの男は奇跡の塊だ。
そんな結論で幕を閉じる議論も、もうすぐその真実が証明されようとしている。
二十年近い研究の結果、本来なら、クラウスはレインだったらしい。
月光さえ生まれなければ、レインがクラウスのポジション、つまり、始まりの剣を宿す存在だったらしい。
そんなやたらと複雑になってしまった英雄の話も、実はレインが産まれたことで、解決を見せようとしている。
何も知らない人々にとっては忌むべき対象となってしまった英雄が、実は世界を守る鍵などと今更言えないところが、英雄達にとっては悩ましい所だった。
何故ならそれを公表すれば、人類の敵はその息子になってしまうのだから。
0
お気に入りに追加
402
あなたにおすすめの小説
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。
ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。
※短いお話です。
※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる