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勇者vs魔王

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「す、すまん!」

 勇者は逃げ出した

 しかし回り込まれた

「・・・なんでお前が扉と俺の間に回り込んでるんだ?」

「・・・あれ?」

「しかも・・・着替え途中だった服まで投げ捨てて・・・いま下着姿なんだけど・・・胸は・・・相変わらずのようだな」

「!?貴様・・・言ってはならぬ事を・・・」

「でも俺はちっさいほうが好きだな」

「!?・・・そ・・・そぉ?」

 勇者が魔王を口説き・・・いや、勇者に甘い誘惑をかけるのは魔王では?

「・・・ねぇ?今の私綺麗になったって言ったわよね?それに胸も・・・ならさ・・・そこにベッドもある事だし・・・ね?」

 魔王の誘惑攻撃色仕掛け・・・

「え?ぃ・・ぃゃ・・でも・・・」

「私もあんたとなら・・・ほら・・・」

 勇者は甘計に落ちた







 翌朝

「うふふ・・・あんたとこんな関係勇者と魔王になるなんて思っても見なかったけど、これは勇者敗退って事で良いのかしら?」

「俺だって・・・でも、お前になら負けてもいい・・・のかも・・・」

「/////体目当てなの?」

「・・・ナラモウイッカイデモニカイデモ!」

「/////////」






 さらに翌朝

「・・・新聞どうなってるかしらね・・・」

「そうだな・・・でも・・・もうそんなのどうでもいいかな」

 勇者が魔王の甘計に落ちた翌日の新聞では

>勇者魔王に敗れる<

 そんな見出しと共に世界を震撼させていた

「おい!みたか?これ」
「見た見た!」
「勇者様が敗れるなんて・・・」
「きっと魔王が卑劣な攻撃をしてきたんじゃないか?」
「そうだよな!でなきゃ勇者様が負けるなんて!」
「勇者様・・・今どうしてるんだろう・・・」
「魔王に敗れたとは書いてあるけど、生死は書かれていないから・・・再起を目指してるんじゃ無いのか?」
「きっとそうだ!」
「そうに決まってる!」
「でも・・・それまでの間魔王が我が物顔で悪事を働くんじゃないか?」
「そ・・それは嫌だな・・・」
「勇者様!早く帰ってきてくれ!」


 なんてことになっているとは露知らず・・・勇者は彼女の家魔王城にて相変わらず肉体関係に溺れているのであった・・・

「ねぇ?こんな爛れた生活も嫌いじゃ無いけど、そろそろ前に向かって進まない?」

 彼女の家魔王城で生活を始めて数週間・・・基本的には彼女の部屋魔王の私室で・・・食事は彼女が部屋に運んで・・・完全に魔王のヒモだが・・・

「そうだな・・・」

「じゃぁ、差し当たって明日両親に挨拶してくれない?」

「!?それはいきなりハードルが高いな・・・でも・・・ケジメはつけないとな・・・」

 そして翌日・・・自然な足取りで魔王城を後にし、一度自宅に戻ってベッド預金を持ち・・・身支度を整えて・・・

「号外だよ号外!なんと勇者が装備を整えて再度魔王城に向かったそうだ!」

 自宅に帰る→魔王城脱出
 ベッド預金→装備の購入?
 身支度を整える→装備更新
 彼女の親に挨拶に行く→魔王城へ赴く

「勇者様復活だぁぁぁぁ!」
「うぉぉぉぉぉぉ!」
「魔王なんかぶっ倒せぇぇぇぇ!」
「あたしゃ信じてたよ・・・」

 ・・・あれ?

「・・・お嬢さんをボクにください!」

「・・・勇者様・・・どうぞ娘をよろしくお願いします」

 あっけないほど話は進んでいき

「さらに号外だよ!なんと勇者が魔王を(押し)倒した!これで世界は平和になるよ!」

 そして世界は勇者フィーバーに・・・何処が財源かわからない勇者セールに各種催しもの・・・そして・・・

「勇者様ってまだ独り者なんだろ?」
「そりゃいけないね・・・立派な跡取りを残さなきゃ」
「わたし・・・立候補しようかな」
「あんたじゃ役不足だよ!」
「なにぉ?あんただって年齢的にダメでしょうが!」
「あんたの貧相な胸じゃ盾にくらいしかならないだろ!」
「ムッキー!」
「・・・こりゃ勇者様の相手探しが・・・今後のニュースかな?」

 なんて話が進む中・・・実は既に結婚している勇者・・・そして翌年・・・

「さぁ、久しぶりの勇者情報だよ!ななななんと!勇者様は結婚していた!しかも第一子が先日生まれたとあっちゃ・・・驚き桃の木山椒の木だ!」

 魔王を倒した勇者の
第一子と・・・彼等に個人情報保護法は適用されないのだろうか・・・だが、不思議と個人名だけは・・・表に出ないのだから・・・勇者補正とは恐ろしい・・・

「こどもはわかったが、奥方は?何処のどなたなんじゃろうか・・・」
「そうね、それがきになるわ・・」
「号外でないかしら・・・」

 なんて言ってると

「号外だよ!」

 ほーら・・・

「勇者様の奥様は、とあるお城のお姫様との事!詳しくは発表されていないが・・・勇者様とは幼馴染だったとの噂も!とにかく何処もかしこも幸せいっぱいだ!」

「「「キャー!」」」

 魔王城の一人娘とあるお城のお姫様

 そして2人は幸せに過ごしていったとさ・・・めでたしめでたし・・・っと

「・・・命の灯火も・・・勇者補正の前には弾き飛ぶ事象だったか・・・彼も彼女も・・・幸せになって欲しいものだ」









 この呪術師は・・・世界に干渉できる能力を持っている・・・が・・・その力で世界をどうにかしようなど・・・そんななことは考えない・・・

 今日も今日とて・・・路地裏でその日の飲み代程度の依頼料で・・・とんでもない呪いをばら撒いていく・・・それが・・・どれほど世界に影響を与えるか考えもせず









「クソォ・・・あのわからずやめ!」

「おや?どうしました?何か気に入らないことがあるなら少し話してみませんか?」

「んだテメェ?」

「まぁそう目鯨を立てずに・・・話すことで落ち着くこともありますから」

「・・・いや、すまんかった・・・初対面の相手にまでキレるなんてどうかしてた・・・」

「良いんですよ・・・それでどうされ・・・」

「実は・・・」

「・・・なるほど・・・それは理不尽ですね・・・なら・・・こういったのはどうでしょうか?」

 そして今日も・・・アルコール飲み放題と引き換えに呪いを・・・
 その程度に違いはあれど、呪われた相手は不幸かもしれないが、呪いを代行してもらった方には一瞬でも幸せが・・・
 それらは表裏一体・・・人を呪わば穴二つ・・・いずれ彼にも跳ね返ってくるのかもしれないが・・・それはまた別のお話・・・

「お代はそこの居酒屋で構いませんよ?信じられなければまた明日同じ時間にここで・・・」

 それは都会のとある袋小路でのお話・・・
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