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その先

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 翌朝、フカフカのベッドで目を覚まし、一人では広すぎる部屋の中を見回し

「流石にイボールさんのところで使用人の部屋じゃこんな寝心地はね・・・久しぶりに熟睡できたよ・・・熊のお腹もあれはあれで良かったけどね」

 あの熊は元気だろうか・・・なんて思いつつも身支度を済ませて部屋から出て食堂へ向かうと・・・不穏な会話が聞こえてきた

「イボール隊長がKING種を単騎討伐したらしいぞ」
「しかもその時にKING種の肉を食べて今の力を手に入れたらしいぞ」
「じゃぁ俺たちもKING種の肉食えばあんな・・・」
「そうだ!あんな可愛い娘を授かることができるらしいぞ」
「じゃぁあの子はKING種の肉でできてるのか?」
「むしろKING種なんじゃないか?」
「娘がKING種ならイボールは・・・GグレートKING種?」

 あちゃーついにイボールさん人外認定されちゃったよ・・・でも、カシューまで人外認定するのはどうかと思うよね・・・って、昨夜のあの一言が原因ってわかってるけど、どこをどう解釈されてそうなったんだろう・・・

 朝食を食べ終わったボクはナッツに会いに・・・

「モーリア!」
 
 出迎えてくれたのはカシューだったが、些かその顔には理不尽な怒りが見え隠れしていた

「カシューおはよう。どうしたの?機嫌悪そうだけど・・・」

「モーリアの意地悪のせいでしょ!」
 
 え?ボクなにかした?ナッツを呼んだことかな?

「私大好きな本を頑張って暗記してさっき初級鑑定士になれたんだけど、ナッツ兄さんに聞いたら、あんなで初級鑑定士になれるなんて!どうして教えてくれなかったの?」

 ・・・

「私にもちょうだい!無理なら貸して!」

 ・・・裏若き少女がそんな外でを連呼しないでほしい・・・しかも結構な音量で・・・門番さんがこっちを伺ってるじゃないか・・・

って言った?」

「そうよ!ついさっきよ!」

 なら・・・まだ時間はあるね

「なにをもってとしてるか謎だけど、ちょっと挑戦してみるか・・・」

 カシューを後でね?と宥めて

「さぁて・・・やってみるかな」

 イボール家での私室となりつつある部屋で、腰鞄から取り出しましたるは紙とペン・・・とりあえずここに来るまでの珍道中記を覚えやすいように面白おかしく・・・一ページあたりの文字数も少なめにして・・・極薄い本を・・・作り、カシューに読んでもらい・・・結果

「・・・モーリア?これっていいのかしら?」

「上級鑑定士おめでとー!」

 どうやらこの極薄い本でも可能だったようだ・・・一冊の定義・・・文字数か?ページ数か?謎発きぬが・・・一番量産しないといけないJobの目処がついたな

「ナッツは?」

「お兄ちゃんなら裏庭に」

 ねぇ~

 カシューに案内されt裏庭に行くと、ナッツが汗だくになって動き回っていた

「ナッツ!どうだい?」

「モーリア!楽しいね!こんなに体を動かすことが・・・詠唱することが・・・楽しいと思えるなんて・・・全部モーリアのおかげだよ!」

 自分の流れを見ることができ、その流れに乗るための条件を知り、闇雲な修練でなく、確実にものになる修練を・・・しかも裏技と凄技で上級昇級とか・・・楽しくて仕方ないだろうな。

「ほどほどにしとけよ?無理して怪我とか故障しても仕方がないんだしな?」

 ここでカシューが上級鑑定士になったことや、その際に用いたについて

「・・・ひどいよモーリア・・・ボクにはそんなもの貸してくれなかったのに・・・そっか・・・モーリアにとってカシューはなんだね・・・ボクも兄として応援しないでもないが・・・カシューはどう思ってるの?」

「「・・・・」」

 二人見つめ合い・・・

「な!何を言い出すんだ!ナッツ!」
「そそそそそうよ!お兄ちゃん!」

 いたずらが成功したような顔をしてこちらをニマニマと・・・

「・・・ナッツ・・・」
「・・・おにいちゃん・・・」

 まぁ、仲のいい双子に戻れて良かったな・・・

 その後ギルドに移動したボクを待ち構えていたのは

「待ってたよ!」

 料理人が待っていた・・・

「色々試してみたんだけど、中々キミに会えなくてね?」

 そんな彼の試作品を・・・そして

「どこかの食事処で働いてみないか?そうすれば数年もすれば暖簾分けして、自分の店を持ちやすくなるんじゃないかな?それに、今はまだ魔物肉料理なんて・・・って思われるだろうからさ?」

「でもそんな都合のいい店なんて・・・見つかるわけがないよ!」

「・・・そうでもないんだな・・・これが」

 そしてボクは昨夜の事を話し

「穂鍋亭ではあっさりと受け入れてくれて、ギルドにツノ兎の肉の買取を依頼するって話まで行ってるんだ。そこで修行すれば・・・君の料理と主人さんの料理・・・話が合うんじゃないかな?」

 そう話をした結果、一度顔を出してみると言っていたが・・・

「・・・ぁ言い忘れてた・・・」

 そこの主人さんの顔が凶悪人物なものであることを・・・後日聞いた話では、主人さんと対面した時にちょっとだけ・・・ほんのちょっとだけチビったらしい・・・が、気絶しなかったのは十分だと思うな・・・

~数年後~

「お義父さん!僕にカエデさんをください!」
「まだその腕じゃダメだ!それとまだお義父さんになるつもりはない!」
「そんな!昨日の夜『もうあいつは一人前だ』って言ってたじゃない!」
「あ、あれはだな・・・」

「・・・アンタも諦めなって・・・売り上げの中から二人のための料理屋を探してたじゃないか・・・素直じゃないんだから・・・」

 この街ではツノ兎の肉をメイン料理にしている店があると・・・他の街からもソレを目当てに来る冒険者や商人。貴族までもが・・・噂では貴族のフリをして王族が来店したという噂まで流れるほどに・・・

 そしてそのツノ兎の肉を確保するために冒険者の質が向上し、腕を磨くならこの街!と言われるほどに・・・その中でも同年代で敵う者無しと言われるほどになった若者が・・・その多彩な戦闘スタイルから【千手せんじゅ】との異名を付けられ・・・

「幾つになっても思い出すよ・・・『彼』との出会いがなければ僕はとうの昔に生きる事を諦めていたと思う。彼の存在が・・・僕のJobを目覚めさせてくれたんだ。そのお陰で・・・僕も、妹も・・・きっと世界中の人が感謝してると思うんだ・・・(中には恨んでる人もいるだろけどね)」

 彼にそこまで言わしめる人物とは何者なのか!?

 
「ようやく着いたな!このギルドで一旗あげてやるぜ!」
「だな!まずは腹ごしらえとしよぜ?」
「どこの冒険者ギルドにも酒と飯はついてる・・・ん?」
「どうした?あれ?このギルドには酒場ないのか?軽食は?」

 この街のギルドには昔は酒場が併設されていたらしいが、数年前に閉鎖となったそうだ。

「街の飯屋で聞いたんだが、どうやらこの街の名物の『ツノ兎料理』を考案した奴が、『指定した人間には絶対に食べさせるな』って・・・それを破ったら、その破った人間にも食わせない・・・そんな決まりを作ったらしいんだ」

「「「「なんで?」」」」

「ソレは詳しく教えてくれなかったんだが、どうやらソレが原因で、腕に覚えのある奴らでツノ兎を狩りに行って返り討ちにあって、仕事どころじゃなくなったらしい」

「それで酒場も閉鎖か・・・」

「でもまぁ・・・」

「あぁ・・・そうだな・・・」

 酒場はなくなっていたが、代わりマッサージ癒し処が・・・増設されて、心身ともにリフレッシュできるって・・・「「「「良いよな」」」」

 勿論健全なマッサージです

 
~!~

 ここで一旦区切ります。モーリアは結局この街で一人の少年の心を救い、ソレと共に家族の心も救い・・・世界のシステムに反論を・・・そんな話ではないですが・・・次はどこでどんな事をやらかすのでしょうか・・・

 感想お待ちしております。

 タイトル変更しました。
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