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そして始まる

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「ナッツ?どうだい?」

 勿論モリスさんの許可をもらってからの訪問だ・・・モリスさん?無事鑑定士になってたよ・・・

「モーリア!初級になれたよ!」

「おめでとう!なら、自分のJobは鑑定してみた?まだなら見てごらん?」

 どうやら鑑定士初級になれたことが嬉しかったのと、その先の十冊をどうしようか悩んでいたようだ

「・・・すごい!普通は流れの先は五段階って聞いてたのに・・・何これ!?」

 初級・中級・上級・特級・超級

「初級鑑定士なら自分の流れは自由に見れるからね・・・ナッツは何になりたい?剣でも槍でも弓でも魔法でもなんでもなれるよ?勿論鑑定士の裏技みたいなものもあるし・・・複合とかね?」

 槍と斧の複合でハルバードなんてベタなものも・・・魔法剣なんて創作本に出てくるのも、剣と魔法の複合だしね・・・

「どうした?泣いてるのか?」

「・・・ゴメン・・・嬉しくてさ・・・本当は【測量士】ってことでギルドでの事があって、随分恨んでたんだ・・・このまま・・・何も食べずに・・・なんてことも考えてた・・・そんな時にモーリアが来てくれた・・・そして・・・道を教えてくれた。だから・・・」

「そうだな・・・とりあえず・・・今は泣くといいよ。ボク以外誰もいないんけど・・・また後で来るね」

 そう言い残して部屋を後にし、モリスさんと少しだけ話し込み

「それではそのように手配を」

「じゃぁ

 街の散策に出かけた


~夕方~

「ねぇモリス?今日はお客様でもくるの?

「カシューお嬢様。本日は大切な方が来られますので・・・夕食はとなっております」

「だ・・・誰が来られるのですか?」

「今は申し上げられません・・・もうしばらくお待ちを」

 そうしてイボールさんが帰宅し、同じことをカシューが聞くも、イボールにも心当たりがない

「ん?着かれたようですね」

 モリスが来客を察知し、扉を開けるとそこには

「いやぁ、ゴメンごめん。待たせたね」

 モーリアとナッツが

「お兄様!モーリア!」

 どこか嬉しそうな笑顔で出迎えてくれたカシューだったが、すぐに険しい顔になり

「汚らわしいと言ったでしょ!出て行って!」

 その言葉にナッツはビクッと肩をすくめ、下を向いてしまうが

「やめるんだカシュー!モーリアが悪いわけではないのは分かっているだろ!ナッツも・・・人は天啓を選べないのだから!」

 それが世界の理・・・抗えない事実だが・・・

「イボールさんそれ間違ってますよ?」

「へ?」

「実は今朝・・・モリスさんが【鑑定士】のJobを得て、今は」

「昼前に『上級』に昇級しました」

 モリスさん自らの言葉で報告してもらった

「「・・・はぁぁぁ?」」

 カシューもイボールさんもさすが親子・・・見事なハモり具合だ

「そして先程・・・昼過ぎにナッツも【鑑定士】初級になったよ?だから、カシューがその心を痛めてナッツに当たる必要は無くなったんだよ。今まで・・・辛かったんだろ?ナッツに対しても・・・自分に対しても」

 突き放すだけなら・・・でも・・・そんな葛藤に最悩まされていたのは・・・本人もだ

「え?でも?」

「【鑑定士】になるのは実は一番簡単なんだよ。なんならカシューも明日一日で初級になれると思うよ?イボールさんは・・・無理かな?」

「なんでだよ!」

(脳筋だから?)ボク、モリス、ナッツ談

「でも・・・それでも・・・」

「ついでに暴露すれば、今日ギルマスさんも鑑定士になって、数分後には上級に昇級したよ?」

「ちょっと待て待て・・・普通初級から中級に上がるだけで数年・・・十年以上上がらない奴もいるんだぞ?それを一日で?しかもこの街で二人もだと?どう言うことだ!?」

 まぁそれが普通?の人の反応だよね?だから・・・

「その前に夕食にしませんか?食後にきちんとお話ししますから・・・カシューもそれでいいよね?」

 カシューは未だにどういった表情になればいいかわからない様子だったが、ぎこちなくも頷いてくれたので、で席につき

「「・・・五人目はモリスお前か?」」

 別にギルマス呼んでもいいよ?


 食後のOHANASHIタイム

「先にネタバラシしますね?まず鑑定士になるには“一日一冊本を読む”事と“一週間以内に丸暗記する”事で、どんなJob持ちでも【鑑定士】初級になれます。そして初級の能力は、名前がわかる・・・これは人もですが、アイテム類もそうです。なので各ギルドや商店では重宝されます。次に中級に上がるためには“十冊丸暗記”です。同様?に上級になる為には“百冊丸暗記”となるのですが、これにはいろいろな裏技がありまして、“一日で初級と中級の条件を満たす”といったことができた場合、ボーナスとしてそのまま上級に昇級できるんです。その凄技を用いて、モリスさんとギルマスさんが今日のうちに鑑定士上級になったと言うわけです」

 一息に説明して、乾いた口内と喉を水分で潤す

「・・・それじゃぁ・・・私も明日一日で丸暗記すれば・・・鑑定士上級になれるの?」

「いいえ?十一冊ではありません」

「え?」

で良いんです」

「???」

「まだ鑑定士初級にもなっていないのであれば、裏技を知り様もありませんが、中級に上がる際の十冊に初級での一冊をなんてひと言も書かれておりませんので」

「「!?」」

「これが裏技であり、先程言った“一日で~”が凄技です。この方法は他のJobでも適用されるので、よく説明を読めば・・・あぁそうでしたね・・・まずはその説明を読むために・・・【鑑定士】にならなければいけませんでしたね」

 カシューは自室の本をあれこれ考えている様子だ

「裏技は併用できます。まず、十冊を丸暗記します。その内の一冊を黙読して初級条件を満たし、すぐ様中級条件の残り九冊と、初級獲得に用いた一冊をを・・・そうすれば一気に上級になれます」

 そこまで話すと、イボールさんとカシューは完全に黙り込んでしまい

「ナッツにはこの条件を伝え忘れてたから、残念ながら飛級はできなくなっちゃったけど、それよりも有益なが見れたでしょ?」 

 ナッツは初級鑑定士となった事から、自分の等級の昇級方法を知ることができるようになった。他の人も、初級鑑定士の条件さえ満たせば、誰でもなれるし、その先・・・努力する方向性を見つけられるのだ・・・例えば【剣士】の中級への昇級条件は“素振り”なのだが、かな~り変わってて、“手の豆が潰れるまで素振り”となっている・・・期間も回数も特に指定はないのだ。因みに初級獲得条件は、”毎日素振り千回“で”手に豆がまで“なのだ・・・つまり?手に豆ができる(初級獲得)→そのまま素振り続けて豆潰れる(中級昇級)→ボーナス(上級昇級)なんてコンボが・・・

「流石にボクとナッツ以外は、初級鑑定士の場合、自身のその流れしか見えてないけど、上級になれば他人の流れも見える・・・つまり・・・他のJobの獲得条件も見れるってことなんだ・・・この意味わかるよね?」

 【測量士】がなぜ最初から数多くのJob獲得のがあるのかは謎だけど、獲得条件を一般に開示すれば、個々の能力アップや、国力アップにも繋がるのだが・・・そこはやはり!なんて思いが先に出てくるんだろうね・・・?どこまで天啓とJobについて判明してるかにもよるんだろうけど・・・でも・・・

 今この食卓・・・家族が一つに纏まった感じが・・・ヒシヒシと伝わってくるから・・・一先ずはOKかな?
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