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ギルドにて

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「こんにちわー」

 朝食の後Jobについての話をしていたので、ギルドについたのは昼前くらいだ

「この時間なら依頼に出かけているだろうから人も少なく・・・ないな」

 酒場が併設されているわけで、それなりに広いギルドホール・・・の半分以上に人がいる・・・仕事無いの?

「アンジェさんは・・・」

 他の受付嬢は忙しく対応し、順番待ちも発生しているが、アンジェさんの前には・・・誰もいなかった

「アンジェさんこんにちわ。暇そうですね?」

 例え暇そうにしていても、欠伸や形相を崩したりはしない。乙女の嗜みだ!と言わんばかりに笑顔だ

「あ~らモーリアちゃんじゃないの。今日はどうしたの?それと・・なんで私の前に並ぶのかしら?」

 それをボクに言う?職務怠慢発言でしょ?

「だってここが対応してくれる受付だったから?並ぶ必要ないしね?」

 冒険者なら時間は大事でしょ?薬草にしろ魔物にしろ、一日中同じ所に同じ状態でいるわけなじゃないし、『討伐に行ったけどそこにいませんでした』って言っても、それは単なる依頼失敗でしかないからね?薬草だって、到着が遅ければ魔物や動物に食い荒らされてないとも言い切れないからね?怪我をした動物は自然治癒のみ?イヤイヤ、回復手段として薬草を経口摂取したり、湯治することもあるんだしんさ・・・そこでクダ巻いててもお金と筋肉量が減って肝臓が悪くなるだけでしょ?ギルド評価も・・・アンジェさんがチェックしてるよ?多分

「モーリアちゃん・・・あなた本当に何者なの?」

「今日はその件は置いておいてもらえますか?ギルマスに面会したいんですけど、申請してからどれくらいで会えますか?実は急ぎなんですが・・・」

「ギルマスならいつも暇してるから、大丈夫よ?そこの階段から2階に上がって一番奥の部屋だから行ってみるといいわ」

 普通・・・案内したり、先に伺いを立てるよね?そんな友達の家に行くような感覚で案内されても・・・まぁ、何か言われたら今言われたことを正直に話すかないよね?アンジェさんの査定が真っ青にならなければ良いけど・・・

 一応ノックして・・・

「入れ」

「失礼します」

「「・・・・・」」 

 互いに黙って見つめ合うこと数秒・・・

「・・・ここは一冒険者が軽々しく来ても良い部屋ではないのだが?」

「デスヨネー?でも、さっき受付でアンジェさんにギルマスへの面会希望を伝えたら、勝手に行けって・・・言われたので・・・」

「・・・青・・・紫でもいいか・・・」

 給与査定額かな?

「それで?何か用があったのなら・・・来たついでに聞いてやるが?言ってみな」

「・・・それでは失礼しまして・・・」

 部屋に入り、応接テーブルの上にいつものコップと氷入れと飲み物を出し

「飲み物と軽食を用意しました。どうですか?」

 促すと、職務机からこちらに移動してくれて

「・・・普通は逆なんだがな・・・色々と・・・まぁ良い・・・君も座りなさい」

 そう言って互いに向き合って座り、見た目ロリ・・・なギルマスさんにフルーツジュースを差し出し

「どうぞ。こちらのお菓子も・・・気に入ってもらえれば・・・」
 
 所謂ポテチだ・・・ツノ兎の柔らかジャーキーも添えてある

「ほう・・・みたことのない・・・ん!?これは!?」

 パリパリ食感が新しいのと、魔物肉のジャーキーですからね・・・しばしギルマスのパリパリ咀嚼音をBGMに・・・って、そんな趣味はないんだよ!ロリ咀嚼音とか誰得だよ!

「ん?今不穏な気配を感じたが・・・」

「いえいえどうぞどうぞ・・・飲み物も冷たくて美味しい・・・ぁ、エールにしましょうか?」

 見た目はボクより年下だが、確実に年上・・・当然飲めるはずだから、キンキンに冷えたエールを別の大きめの器に注ぐと

「・・・貴様は・・・」

 その後は何も喋らずにエールを一気に飲み干し、無言でこちらに差し出す・・・お代わりかな?再度注ぐとまたも一気に・・・絵面だけ見たら確実に逮捕されそうな絵ですね・・・


 結局サイズ的には中ジョッキで十杯分は飲み、ポテチやジャーキーも追加で出すほどに・・・これアカンやつじゃ?

「安心しろ。この程度、寝起きの食前酒程度だ・・・で?話ってのなんだい?」

 ここから話し始めるのか・・・酒で喉の滑りが良くなったのかな?部屋に入った時より微妙に言葉の端が柔らかくなってるような感じがする・・・

「まず大前提として・・・少し前にボク以外に【測量士】の少年が登録に来た事は知ってますか?」

 ピクッとギルマスの眉が動く

「その少年をホールにいた数人の冒険者がボコボコにして・・・追い出したことは?」

 ピクピクっと

「ボクの時もそうでしたが、ギルド職員も面白がって事は?」

「何が言いたい・・・」

 ギルマスの表情が徐々に険しく・・・

「そしてその登録に来た少年が『イボール隊長の息子さん』と言うことは、ご存知ですか?」

「!!!∑(゚Д゚)( ゚д゚)なんだと!?」

 流石にこれは知らなかった様子で・・・口元に持っていっていたコップを落とし・・・テーブルに手をついてこちらに食いつかんばかりに・・・

「最後のは知らなかったようですね・・・では、最後以外のことは・・・容認していたと言うことで構いませんか?まぁ、それが今のこの世界のあり様なんでしょうけど・・・ますね?その時の冒険者が誰かわかりますか?『今となってはわからない』なんて言い訳が出てくるなら・・・ボクも容赦はできなくなりますけど?」

 少しだけ威圧を込めて至近距離にあるギルマスの可愛い顔の見開いた両眼を見つめ返すと・・・なぜこのタイミングで顔を赤くするの?

「そ・・・それは・・・」

「ギルマスさん・・・ボクはこの街に来るまで【測量士】について何も知りませんでした。そして思いだしましたが、村にいる間、院長先生も村の大人達も誰も・・・こんな扱いをしていませんでした・・・【鉄拳】も・・・ギルマスさんは・・・変わってしまったのですか?」

 このタイミングで院長先生の名前・・・【鉄拳】のJobを出してみると・・・効果的面で・・・ストンと椅子に腰を落とし

「・・・師匠・・・貴方もそのJobについては知っていたはず・・・それを・・・そんな彼を・・・こんなに真っ直ぐに育てるなんて・・・私が間違って・・・そうだね・・・きさ・・・モーリア・・・ありがとう」

 最初に会った時から何か常にピリピリした雰囲気だったギルマスさんだったが、憑き物が落ちた様に・・・

「・・・【蹴撃】ですか・・・まだ上級・・・特級にはまだ届かない様子ですね?超級は・・・長命種ならば可能でしょうが・・・今の感じでしたら・・・無理かもしれませんね」

 ギルマスさんを鑑定した結果です

「何故!∑(゚Д゚)Jobは明かしているが、流れは・・・」

「簡単なことです。ボクは【鑑定士】の流れの先・・・『超級』を獲得していますので、他人の流れの先も・・・見ることができるんです」

「な!?【測量士】ではないのか!?」

「ですよ?そうですね・・・ギルマスさんはこの部屋の中の書物でで覚えている物はありますか?」

 ギルマスさんは「何言い出すんだ?」な顔をしながらも、執務机の引き出しから小さ目の本・・・ラノベ?サイズを取り出し

「これなら覚えておる!」

 自信満々だったので

「それを今から声に出さなくても良いので全部読んでもらえますか?」

 顔は相変わらず???だったが、言われるがままに読み終えたようなので

「そしてもう一度その内容を本を見ないで読んでもらえますか?」

 そしてまた言われるがままに・・・そして数分後・・・

「な!なんだこれは!」

 どうやら無事獲得したようだ
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