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止まった時間

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「さてどうしたもんかな・・・」 

 現在隣には2mの巨像が・・・

「動かすにしてもアチコチ触るわけにもね・・・一応女性なんだし・・・」

 ん~どうしよう・・・ん?幸い目的地まで直線で障害物は無い・・・

「ガイアコントロール!」

 大層な名前だが、要するに地属性魔法の総称だ。今回は戦闘用でなく、用なので、操作性を重視する為・・・まずはミリアさんを後ろから半分ん包み込む感じで地面の土を操作して、ゆりかごの様なものを作り、次に足元の地面を隆起させ、4~5mの高さに、その際にミリアさんが入ったゆりかごの角度を調整して・・・目的地まで緩やかなを作っていき

「摩擦係数を限りなくゼロに・・・」

 途中で目を覚まされてもめんど・・・いや、説明がめんど・・・いやいや・・・まぁ行くか!

「傾斜まで少し押して・・・よっし乗り込んで!Goー!」

 ボブスレーですね・・・乗員の一人は気絶してますし、カーブの無いストレートだけど・・・思いの外スピードが出るな・・・

「・・・n・・んn?」

 ヤバ・・・覚醒しかけてる!?

「彼の者に安らぎと安寧を与えん・・・スリープ!」

 気絶から睡眠へ移行させてもらいました・・・ごめんね?

「さて・・・速度は十分。視界も良好。どうやって止まろうか?」

 そこまで考えてなかった・・・テヘ?

「・・・終点が目の前だ・・・って、周囲が凍ってるんなら・・・アイスコントロール!」

 終点は氷の世界となっていて、地面を操作するよりも氷を操作して・・・造作した方が・・・終点からスパイラルなカーブを延長して・・・若干の抵抗を作ってスピードを落としていき・・・

「よっし、無事?到着!」

 ゆりかごの中でミリアさんは安らかな寝息を・・・

「今のうちに解体を進めておこうかな」

 ミリアさんが入ったゆりかごボブスレーを移動させて、氷漬けのツノ兎達を順次解体していく・・・が・・・

「しまったなぁ・・・氷漬けだから血抜きが・・・」

 常温まで戻してもめぐりが悪ければね・・・

「今回は肉は諦めるか・・・」

 ツノだけ回収して他は穴を開けてそこに放り込み、火葬にした。理由?ミリアさんが寝ながらクシャミをしたからね?寒いと思って・・・

「・・・さて、竈門とテーブルと椅子・・・肉はこの前のやつ・・・小熊の残した焼いた奴でなく生肉だが・・・彼みたいに煮込んでみるか・・・」

 香草と野菜と一口大のツノ兎の肉を鍋で煮込んで・・・串焼きも作っておく

「・・・ん?んn・・・」

 今度こそ覚醒・・・今度は邪魔しないよ?

「あれ?ここは?なんで私???」

「おはようございます。ちょっとだけショッキングな出来事があったんですね?それとも睡眠不足と疲れが溜まってたんですかね?」

 そういえばフル装備で夜勤二連勤だったっけか・・・

「いや・・・何かショッキングな事があったような・・・」

「まぁまぁ、そのままだと寒いでしょうから、こっちであったかい物でもどうですか?煮込み料理なので、体の内側からあったまると思いますよ?」

 ゆりかごは起き上がったタイミングで土に還して、起き上がるのを手を貸して・・・ってォィ!人の頭を杖のように支えにして立ち上がるな!ちょうどいい高さだったって?・・・

「このテーブルと椅子は?」

「さっき作りました。今回は用意してなかったもので・・・っと、いい感じに・・・味見は・・・うん。【料理人】さんほどでは無いけど、美味しくできたぞ!」

 そして腰鞄から取り出した木の皿に装って差し出し

「串の方はもう少しかかりそうなので、先に食べましょうか」

「いただきます」

「・・・?」

「これは食べ物となった生き物や作った人への感謝の気持ちを・・・っと、先に食べましょう!冷めると味も変わるので」

 香草と塩胡椒のみの味付けだけど、肉の出汁?元からの旨味で

「・・・ホ~・・・肉も野菜も柔らかくて・・・安心する味だな・・・確かに先ほどまで寒かった体が内側からあったまってきたぞ」

「それはよかったです・・・っと、串肉もいい感じに焼けましたね。どうぞ」

 別に用意した皿に串肉を乗せて差し出すと

「この煮込みとは別の・・・食欲をそそられる香りだね・・・どれ・・・」

 未知の味の様で、目を見開いたり、閉じて考え込むような素振りになったりと・・・忙しそうだったから自分の分の煮込みと串焼きを食べ

「やっぱりこれは広めなきゃね~?」

「・・・そうだよ!」

「ミリアさん?」

 突然ミリアさんが叫び出した

「この肉はどこから?基本的に干し肉と硬いパン位しか・・・なのにこんな暖かい料理に柔らかい肉・・・君は生肉を持って来のか?」

「はい。現地調達のつもりでしたが、今回はボクの浅慮で・・・数日前の生肉を使いました」

「・・・数日前の?」

「安心してください。院長先生から貰ったこの腰鞄は時間が緩やかになるので、数日前と言っても実際は数時間前に獲った生肉です」

「それなら安心か・・・ってォィ!」

 ノリツッコミかな?

「・・・調のつもりだったらしいが・・・そもそもの肉なのかな?」

「え?当然・・・の肉ですよ?」

 ・・・今日二回目の気絶・・・だけど、流石に火の近くだから・・・ちょっと強めに威圧を?『エイ!』

「ハッ!敵か!?」

 一瞬で立ち上がり身構える・・・流石は街を守る副隊長さん・・・

「大丈夫ですか?今日二度目の気絶だったので、気付けにちょっとだけ威圧してみました。流石は副隊長さんですね?」

「威圧って・・・完全に不意打ちで敵襲かと思ったぞ・・・で、なんで私は気絶を?」

 記憶障害ですか?

「それはですね?ぁ、冷める前に食べ切ってから話しませんか?」

「そうだったな・・・美味しいうちに食べないと、作った人に失礼だからな」

 そう言って残りの料理を食べ

「ごちそうさまでした」

「・・・それも何かの?」

「そうですね。つい癖で・・・それで・・・美味しかったですか?」

「美味しかった!モーリアはいいお嫁さんになれるな」

 美味しかったそうだが・・・何か妙なこと口走ったぞ?この人・・・

「じゃぁさっきの気絶の理由なんですけど」

「そうそれ!何が原因だったんだろう・・・」

「それは・・・先ほど食べた料理の肉が、の肉だった・・・というところですね?」

 気絶するかな?三回目かな?いやいや流石に耐性がついてるだろう・・・

「・・・本当に?」

「はい。先ほど魔法で倒したツノ兎を解体して、使うつもりだったんですけど、つい・・・広域殲滅魔法で氷漬けにしてしまったので、血抜きができずに・・・もったいない事をしました。なので、せめてもの供養にと、今回は火葬とさせてもらいました」

 じっくり火を通す訳では無いので、氷すらも蒸発させる超火力で・・・

「・・・美味しかったんですよね?」

「認めるしか無いのね・・・美味しかったわ・・・魔物の肉を食べたなんて・・・」

 まだどこか・・・

「アンジェさんも食べましたし、イボールさんも・・・カシューも食べましたよ?美味しかったと絶賛されましたが?」

「アンジェ?隊長も!?カシューちゃんも!?え?え?」

「他にも【料理人】のJobを持つ冒険者も、とても美味しい料理を作ってくれました」

 ミリアさんは色々考えているようだ・・・

「あれ?気絶とか言ってたわよね?」

 ぁ思い出したかな?

「そうですね。ミリアさんはここに来る前に一回気絶してますね」

「・・・嫌な予感がするんだけど・・・」

 流石は副隊長さん?

「この場に大量のツノ兎がいたので、200m手前から広域殲滅魔法で倒した時に・・・ミリアさんは一回目の気絶をしました」

「・・・犯人はお前かぁぁぁぁぁ!」

 テヘペロ?
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