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森のクマさん

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「さて・・・この場合どうなるんだろう?」

 門を通らずに外に出た場合・・・もう一度門を通らずに街に入ればOK?
 それとも・・・正直に話して門から中に入る?・・・信じてもらえないよね?空をなんて・・・そもそも飛ばずに跳んでるしね?まぁ・・・今日はこのまま森で寝るとしますか・・・また明日考えよう!

~詰所にて~

「戻ったわ!何事もなかった?」

「副隊長!相変わらずのダンマリでした。ギルドは何と?」

 詰所には牢屋がないので、詰所の片隅に団子状で放り込まれている・・・

「ギルマスさんと話もつけてきたし、被害者の少年とも話をしてきたんだけど・・・」

「顔色が悪いですよ?また暴言吐いて真っ青に?」

「それもあるが、あの少年のJobがな・・・【測量士】だったんだ・・・なぁ?【測量士】って中級職のこいつらを一撃で倒せるのか?」

「・・・え?」

「「「「「・・・」」」」」

「この五人って【測量士】一人にやられたんですか?それ以前に、コレだけの天啓を授かっておいて、五人がかりで【測量士】一人に負けたんですか?」

「「「「「・・・・・」」」」」

「そう言ってやるな・・・あの少年が規格外なだけなんだろう・・・そうでないと・・・プッ・・・」

「ですよ・・・プッ・・・ね・・・」

「「「「「・・・」」」」」

「プッハッハッハ!!」
「笑ってやるな!」
「副隊長だって顔が・・・爆笑顔じゃないですか!」

 
「ヒー苦しい!・・・こんなに笑ったの久しぶりだ!」

「何事だ!外まで馬鹿笑いが聞こえてきたぞ!ミリア!夜勤明けご苦労と言いたいが、罰として今からフル装備で夜勤だ!ハンス!お前も付き合え!」

「「えぇぇぇぇぇ?!?」」

 運悪く隊長の出勤と重なって・・・罪を重ねたようだ・・・

「それで?そこのボロ雑巾はなんだ?」

「コイツらはですね・・・今日の夕方に門の近くで冒険者の少年を五人で襲って返り討ちにあい、明日奴隷落ちが決まった総合C+の・・・色々可哀想な奴らです」

「・・・情報量多いな・・・というか、少年を襲った?偏愛嗜好者か?」

 ショタ好き・・・ぃゃぃゃ・・・

「そういう意味でなく・・・ほら昨日隊長が自宅に連れ帰った少年がいたじゃないですか。その少年をって意味です」

 その話の流れでそう繋げると、隊長が偏愛嗜好者に聞こえる・・・

「・・・モーリアか?え?モーリアは無事なのか?」

「無事も何も返り討ちにしたって言ったじゃないですか」

 ハンスは隊長と会話しながら装備を取り出し、ミリアは脱ぎ捨てたばかりの装備を再び・・・

「返り討ちにした!?でも・・・モーリアのJobは・・・」

 ここで隊長は言っていいのかおし悩んでいると

「【測量士】だってんでしょ?それならさっきミリアがギルドで聞いてきましたよ。ってことは、隊長も知ってたんですか?それにしてもこいつらはその少年が【測量士】と知った上で五人で襲って返り討ちに・・・あぁそれでか!」

 ハンスは何か合点がいったように手を打ち

「ミリア!こいつらがダンマリしてる理由がわかったぞ!少年のJobが原因だ!」

 ミリアも装備をつけ終わったので戻ってくると

「なるほどねぇ・・・五人で【測量士】一人を襲って返り討ちにあったなんて・・・言えなかったってわけだね・・・」

「「「「「・・・」」」」」

 そこでハンスとミリアは再び五人に対して大笑いをして隊長に怒られるのだが・・・

「二人はその・・・モーリアが【測量士】だったと知って、どう思ったんだ?」

「別に?どんな上等なJobを授かっても、使うやつ次第じゃない?」

「ほんそれ。こいつらは腐っても総合C+でしょ?それに勝つなんて、【測量士】も捨てたもんじゃなさそうですね。どんなJobも流れには逆らえないし、逸れることもできない。ってことはその少年の姿は・・・【測量士】の流れの先にあるってことでしょ?」

 言われてみればそうだ・・・俺だって自分のJob以外の事・・・逸れたことは・・・なら・・・

「・・・もう一度話してみるか・・・」


~再び森~

「森で一泊するとして・・・どこかに拠点を構えるか?まだ街の中で宿屋を利用してないけど、話の限りだと・・・Jobを明かしたら泊まれない可能性もでてきたしなぁ・・・ん?」

 森の中頃まで歩き、ふと目についた巨木・・・地面から2mくらいのところに大きな穴が空いているが、樹は生命力に満ち溢れていた

「・・・あそこの穴・・・寝れるかな?」

 ジャンプして穴の入り口に立ち、中を覗くと。1m位の深さと奥行きも同じくらい・・・ボク一人なら軽く立って歩け・・・orz・・・自分で言ってて悲しくなってきた・・・

「さて、入口は適当に塞ぐとして・・・中にはほし草とか枯れ葉で・・・ベッドを作って・・・真っ暗だから蛍石を上の方に数個置いて・・・自然の明るさになったかな?」

 ベッドと言ってもボクが寝れる大きさなのでまだスペースは余っている。周辺の木に被害が出ないよう魔法でコーティングして、持ち運べる竈門を設置して火を起こし、メガビッグ種の肉を串に刺して

「豚ならぬ兎の丸焼きだ・・・熱風で自然回転するようにして・・・遠火でしばらく放置するかな。その間に入り口の扉になるようなものを探してくるか」

 1m位の穴を塞ぐ・・・そこそこの風にも耐えれるよう補強も考えないと・・・あれこれ考えながら森の中を散策し、目当ての木があれば加工して、似たような色合いの草等でカモフラージュしていくと、良いものができたような気がする!

「って、あそこにあるのは魔力操草!麻痺草も!月下草もあるじゃないか!」

 月下草は万能薬の材料ともなる貴重な草だが、なぜ月下草なのか・・・月の出ている夜にはその月の光を浴びて花を咲かせ、その花の蜜が万能薬の上位の材料となるのだが、そもそもそんな夜中に森に入るん事自体が自殺行為のため、あまり知られていないのだ

「強すぎる薬は毒に・・・そして調合する割合で毒も薬に・・・」

 毒消し草の根もまた、万能薬の材料の一つである・・・しかし、なぜそんなことを知っているかと言えば

「【測量士】ってなんなんだろうね・・・流れの先が多岐に分かれすぎてて・・・本質がわかんないや」

 謎なJobの影響だった

「おっとあまりゆっくりしてるとお肉が焦げるな・・・少し急ぐか・・・」

 肉を火に掛けっぱなしだった・・・

 程なくして巨木に戻ると、何やら気配が

「ん?何かいる?」

 剣を抜き、戦闘準備をして木の穴をそっと覗くと・・・ありぇ?

「・・・」

 小熊がクルクルと回り、いい匂いを作っている肉に釘付けになっていた

「・・・おーい、食べたいか?」

 何を思ったかぼくはそう声をかけ

「ガウ!」

 振り向いた小熊の顔は・・・笑顔だった


「いただきます」「ガウ~!」

 なんだろうねこの不思議空間は・・・今穴の中ではボクと小熊が向かい合って焼いたうさぎの肉を食べている。明らかに足りなさそうだったから、追加で肉を竈門にかけているけど・・・

「・・・美味いか?」

「ガウ!」

 ・・・会話が成立してる?まさか・・・これも流れの先なのか?って・・・多岐に分かれすぎだろ!

 ぺろりと食べてしまい、次の肉が焼けるのを眺めている・・・

「・・・生でいいならあるぞ?」

「ガーウ?」

 どうやら拒絶のようだ・・・コレはアカンやつではないか?今まで生肉だったのに、焼いたスパイシーな肉の味を覚えさせてしまった・・・

「・・・お前さ・・・戻れるか?」

「?x?」

 可愛いなコイツ
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