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奴隷落ち

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「さて、お前達はなんであの少年を襲ったんだ?」

 今目の前に五人の冒険者が拘束された状態で転がされている

「・・・」

 その姿は何かと戦闘をして明らかに姿で、腹部には五人とも綺麗に三本の切れ込みが・・・皮一枚で入っていた

「私が直接みたわけじゃないが、同僚からの報告では、街の近くであの少年に後ろから襲いかかり、で返り討ちにされたと・・・間違いないか?」

「・・・」

 あの少年・・・モーリアは【鉄拳】縁の者だ・・・どのようなJobを授かっているかはわからないが、きっと素晴らしいものに違いない。でなければ五人の冒険者を一振りで倒すことなんてできないのだから・・・しかし・・・

「いつまでも黙っていれば通る話でもないんだが・・・まぁ、そのまま黙っているのなら、状況証拠と証言だけでも十分は確実だな。ギルド証内の金銭や宿屋に残している財産と、その装備も全て没収の後、然るべき奴隷商人に引き渡すことになる・・・勿論だがな」

 冒険者は誰でもなれるが、その影響力もまた大きく、子供達の憧れでなければならない。しかし、現状は・・・ならず者が多い・・・力に溺れ・・・自分よりモノとは戦わず・・・一般民には強がる・・・それが現状の冒険者の姿だ・・・勿論人々の手本となる存在もいるが、それも全冒険者のひと握りでしかないのが、残念な・・・

「さて、ダンマリされてもな・・・気絶してる際にギルド証は回収してるが・・・【短双剣士】【ナイフ使い】【急所狙い】【短槍士】【投擲(極)】と・・・中級職のパーティーか・・・総合ランクC+っと・・・こりゃかなり高額な奴隷だな・・・あの子もギルドもウッハウハじゃないか?」

 犯罪奴隷落ちはギルドにとっても不利益なので、そのお金の一部がギルドに入るのだが、総合C+ともなれば、一人金貨十枚位にはなるだろう。1割としてもギルドに金貨五枚。少年に四十五枚・・・

「本当にこのままダンマリを続けるつもりか?それならそれでも構わないぞ?

 おーい、私はギルドに話をつけに行ってくるから、こいつら監視しておいてくれ!」

 そう言ってミリアは五人のギルド証と武器防具の全装備を持って行った・・・ちなみに宿屋はその日暮らしで他に財産的な物は持っていないことが判明している。


「門番のミリアだけど、アンジェいる?」

 ギルマスとの話し合いが終わったくらいのタイミングでミリアさんが入ってきた

「ミリアさん。昨日はどうも。フル装備夜勤大丈夫でしたか?」

 心なしか顔色が・・・・って125cm上空の顔色なんてわかるか!

「あら、件の少年・・・今回は災難だったわね」

 少年?あぁそうかミリアさんにはまだ名乗ってなかったな

「ミリアさん。ボクはモーリアと言います。よろしくお願いしますね」
 
「そういえば名前聞いてなかったわね。モーリアね?宜しく。昨日は隊長の家どうだった?カシューちゃん可愛かったでしょ?」

「・・・えぇ・・・そうですね・・・」

 可愛いのは確かだったけど、昨日のことを思い出して・・・少しだけ・・・ね

「なんだ?元気がないぞ?
 っと、ギルマスいたんだね?小さくてわかんなかったよ!」

 この人は・・・イボール隊長に対してもそうだったけど、ギルマスさんにも・・・大丈夫だろうか?

「・・・相変わらずミリアは身長も態度も巨人族真っ青だな・・・ついでに今の暴言をイボールに伝えて、給料の中身も真っ青にしてもらおうか?」

 給料の中身って真っ青って表現するのか・・・ぁ、数歩下がったらなんとか顔が見え・・・真っ青だ・・・

「や、やだなぁ~ギルマスは相変わらず美人さんだにゃー」
 
「・・・まぁいい。それで?犯罪奴隷の報告にきたんだろ?」

「少年・・・モーリアを襲った五人は、【短双剣士】【ナイフ使い】【急所狙い】【短槍士】【投擲(極)】の中級職のパーティーで、総合ランクC+でした。そんな相手を一撃で・・・モーリアのJobは何だったんですか?」

 へぇ~あの人たち恵まれたJobだったんだなぁ・・・真面目に頑張ってれば・・・って、もう思い出すこともないだろうけど

「ほぅ・・・コレはギルドにとってかなりの損失だな・・・大体ひとり金貨十枚といったところか?ギルドの取り分は金貨五枚か・・・」
 
「え?1割でいいんですか?てっきり3:7位と思ってたんですが・・・」

「まぁ、モーリアがそれで良いって言うのなら、それでも構わんぞ?」

 そこは当人同士で要相談って感じですか?奴隷金額の話・・・既に彼らは人としての・・・いや扱いされているが・・・仕方ないよね?

「それでギルマスさん?このメンツを倒したモーリアのJobが気になって仕方ないんだけど・・・教えてもらうわけにはいかないかな?」

 ミリアさんがその巨大な背中を丸めて、ギルマスに・・・っていうかさ?

「ミリアよ・・・本人が目の前にいるんだから、直接聞けばいいだろ?」

 デスヨネーなんでこの人・・・あぁ栄養が肉体構成にばっかりいって、脳に・・・うん・・・そうなんじゃないかな?

「・・・言われてみればその通りだ・・・何で私そんな簡単なことに気が付かなかったんだろう?」

 脳筋だから?二つ名【脳筋のミリア】爆誕!

「・・・今何か失礼なこと考えてなかった?」

「いいえ?そんなことはないですよ?
 で、えっと?Jobですか?ボクのJobはコレですよ?」

 そういってギルド証を渡すと

「・・・・ん?夜勤明けで目が疲れてるのかな?」

「どうした?老眼が始まったのか?」

「ギルマスさんじゃあるまいに・・・」

 給料真っ青確定ですね・・・

「それで合ってますよ?ボクのJobは【測量士】ですよ?」

「いやいやいやいや・・・【測量士】?が総合C+五人を瞬殺!?夜勤明けで私寝ぼけてたのかな?」 

 何なら今ここで昏倒ますか?

「ミリアよ・・・信じられないのはお主だけではないが・・・タリスマンの鑑定をしたのであろう?儂もモーリアが師の技を使う様を見たが、未だに信じられん・・・今度一緒に討伐依頼に行ってみてはどうだ?」

「・・・そんな!こんな子供と・・・でも男の子・・・!?」

 ・・・拳で愛を語るつもりですか?

「それはまだ早かろう・・・そもそもその身長差が・・・何も知らぬ者から見たらかどわかしに・・・それこそ仲間に捕縛されるぞ?」

「私が隊長以外に捕縛?まっさかぁ~」

 なるほど・・・ミリアさんはお強い・・・っと・・・

「流石ね・・・その自信を折られないようにね」

 副隊長???ぁ、でも昨日隊長をちゃったしなぁ・・・

「と、とりあえずボク用事があるので詳しいお金の話は明日でもいいですか?
 それとギルマス、隊長のさんの話を明日教えてくださいね?」

「ん?イボールの息子だと?」

 何か考え始めたのでその隙にギルドを後にする・・・そして商店街で調味料等の買い物をしてイボールさんの家に・・・門番さんは笑顔で通してくれたけど・・・バレる前にモリスさんに渡して帰れば良いよね?裏口から・・・

「モーリアさん?」

 裏庭で剪定をしてたモリスさんに出会ったので

「こんにちわ。カシューに見つかる前に・・・これを・・・」

 渡したのはKINGの肉だ

「これは?」

「ツノウサキングの肉です。煮て良し焼いて良し揚げて良しの最強肉です。今日取れたてで、即血抜きしてあるので、美味しいですよ!」

 目を見開いているモリスさんを残して、一気に喋ると

「カシューに見つかるとアレなんで、またきますね!」

 そう言って脚に魔力を纏わせて『脚力強化』『瞬動』・・・ジャンプ一発『虚空瞬動』・・・

「ちょっと飛びすぎたな・・・」

 森の手前に着地した・・・
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