上 下
53 / 124

思惑

しおりを挟む
 うっすらと陽がカーテンの隙間から差し込み始める頃、ティナとレムのブラッシングが終わり、俺も・・・2人に毛繕いされて・・・こっそりクリーンの魔法を後で・・・・・・

「朝は何がいい?俺は気分的にシリアルなんだけど」

「「カイザーと一緒で」」

 リビングテーブルに数種類のシリアルを出して、好みのタイプをよそって食べる様にしたら、少しずつ全種類を食べたいと言い出したので「仰せのままに」と、準備してあげると、レムは普通のシリアルとチョコ味や苺味が気に入ったようで、ティナはフルーツグランーラが気に入ったそうだ。そしてこれはごじつだんだが、ティナはこれを普段も小分けに収納庫に入れて、オヤツとしてポリポリムシャムシャし出す様になって、俺の肩はいつも白い粉が・・・(フケちゃうわぁぁぁぁぁ!)

「さてどうしようかねぇ?」

「カイザーは答えに行き着いたのか?」

「そうだね、レムのいないと「大丈夫だよ?」ころ・・・で・・・なんで俺に関わった子は皆被せが好きになるのかねぇ?じゃぁ、レムの了承も出たことだし、俺の行き着いた考えを言うね?」

 一息深呼吸をして

「どこでどうやって知ったかは知らないけど、レムが上位存在『ハイビースト』であることそ知ったうえで、この村の守り神か何かに祭り上げようとしてるね。母親って名乗ってた人も、鑑定したら【偽装】って見えたし、そもそもレムからは母親も姉の存在も聞いてない。コレは単にレムが記憶喪失的な症状かもしれないけど、周りもちょっと必死すぎた。これが違和感の正体かな?」
 
 ここまで喋ってティナに視線を向けると

「概ね同じじゃの。我も同じ様な空気を感じたし、レムお姉ちゃんも見たけど、嫌な感じはしなかったよ?あのおばちゃんたち以外は」

「レムはどう感じた?やっぱり母親?」

「いえ・・・あの人にはそういった懐かしさや親しみは感じなかったにゃ」

 こういう時はそういった直観の方が優秀かもしれないしね

「なら、数日はこのまま接してみて、ボロを出せばそこを、そうでなくても情報収集をするってことでいいかな?最悪は強制転移で見限りをつけるってことで」

「良いにゃ」「そうじゃの」

 そうと決まれば、家の外でどうしようか戸惑ってる人たちと会話なり情報収集をしましょうかね




~そ~れから?~

「結果は黒も黒真っ黒でした」

「そうじゃろうて」

「やっぱりにゃー」

 到着の翌朝の家族会議から数日、レム母(偽)はれむを連れて村の中を練り歩いては「覚えてる?あそこはね」とか、「ここであなたは生まれて」とか案内するんだけど、一切レムの心に残っていた場所ではなく、レムの反応は芳しく無かった。それについても、レムのいないところで俺に対して

「卑しい人族がレムを奴隷にして洗脳したんでしょ!」

 等言ってきたので、こちらは早々に冷めて、例えこの人が本当にレムの母親であっても、任せられないと見切りをつけていた。さらに、その時の会話はレムにまる聞こえであり

「カイザーにあんなこという人は親であってもおやじゃにゃいにゃ!」

 と、かなりの御立腹で、宥めて機嫌を直してくれるまでに時間がかかった。

「我は他の者を見てきたが、あっさりとボロを出しおっての?見えてないところでは色々言うてたぞ?やれ「これで守り神になってくれれば村も安泰」とか「巫女様のいうこと聞いてればこれまで通り間違いがない」とかの?巫女様の正体も見てきたが・・・酷いもんじゃった」

 猿知恵を与えたのはこの村に住むという巫女様と呼ばれる存在だった。ティナの見立てでは、上位存在になり損なった狐の半端者ということらしい。御告げと呼ばれるスキルを持っているらしく、それを使って少し先の時間を先読みして周囲に伝えることで、今の地位を確立したらしい。そのまま今回のレムや俺たちの来訪を知り、今回の計画を考えついたそうだが・・・

「まさか上位存在が3人同時に来るとは思ってなかったみたいだね。しかもターゲットは周囲の見た目からレムだけで、俺とティナも上位存在であることを見抜けなかったってのがマヌケな話だな」

 そう、まさかの・・・・レムだけを上位存在と思い込んだがため、俺とティナは放置。最初にこちらのこともしっかり考えて探ってればこんなことにはならなかったであろうに、完全に俺たちはレムの従者とでも思ってたんだろうね。
 そんな訳だから、まっくろくろs・・ゲフンゲフン・・・真っ黒と判明したらこんなところにいたくないしね?

「じゃぁ、明日の朝にでも帰るか」

「そうにゃ!カイザーを悪く言う村は嫌いにゃ!」

「まったくじゃ。レムお姉ちゃんが可哀想じゃ」

 なぜ改めて決意表明みたいなことそてるかって?窓の外で聞いてる存在がいるのが分かったからさ。だめだよ?そんなことしちゃ(君が言うの?)


~翌朝~

 家の外には多くの猫猫猫猫・・・村長にレム母(偽)と巫女様(半獣狐)が・・・

「朝早くからどうしました?俺たちは今日で帰りますけど?」

 玄関から顔を出して、集まってた方々に挨拶をすると

「この人攫い!レムを返せ!」

 レム母(偽)の言葉を皮切りに、周囲の猫がニャーニャーと・・・いや、そうだそうだ!と叫ぶが

「貴女とレムの間には親子関係はありませんよね?そもそも・・・そこの狐の甘言に唆されてるだけでしょ?認めるなら俺もこれ以上は干渉しないので、これまで通りに自由に生活なさっても構いませんよ?」

「な!巫女様を狐などと!この劣等種が!レムもなんでこんな卑劣で劣等種な男を連れているのか」

 と、ここで背後にいるレムから殺気が漏れ始めるが、ティナが抑えてくれた

「おいそこの猫と狐!いや、猫には無理か・・・上位種になり損ないの狐!『鑑定』してみろよ」

 俺がそう言うと、ハッとして「今までそんなこと忘れてた」みたいな顔でこっちを見たので、俺も変に抵抗しないで、鑑定されるがままになってみた。

「・・・こ・・こ・・・」

 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた

杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。 なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。 婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。 勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。 「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」 その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺! ◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。 婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。 ◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。 ◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。 ◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます! 10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

空間魔法って実は凄いんです

真理亜
ファンタジー
伯爵令嬢のカリナは10歳の誕生日に実の父親から勘当される。後継者には浮気相手の継母の娘ダリヤが指名された。そして家に置いて欲しければ使用人として働けと言われ、屋根裏部屋に押し込まれた。普通のご令嬢ならここで絶望に打ちひしがれるところだが、カリナは違った。「その言葉を待ってました!」実の母マリナから託された伯爵家の財産。その金庫の鍵はカリナの身に不幸が訪れた時。まさに今がその瞬間。虐待される前にスタコラサッサと逃げ出します。あとは野となれ山となれ。空間魔法を駆使して冒険者として生きていくので何も問題ありません。婚約者のイアンのことだけが気掛かりだけど、私の事は死んだ者と思って忘れて下さい。しばらくは恋愛してる暇なんかないと思ってたら、成り行きで隣国の王子様を助けちゃったら、なぜか懐かれました。しかも元婚約者のイアンがまだ私の事を探してるって? いやこれどーなっちゃうの!?

【完結】婚約破棄されて修道院へ送られたので、今後は自分のために頑張ります!

猫石
ファンタジー
「ミズリーシャ・ザナスリー。 公爵の家門を盾に他者を蹂躙し、悪逆非道を尽くしたお前の所業! 決して許してはおけない! よって我がの名の元にお前にはここで婚約破棄を言い渡す! 今後は修道女としてその身を神を捧げ、生涯後悔しながら生きていくがいい!」 無実の罪を着せられた私は、その瞬間に前世の記憶を取り戻した。 色々と足りない王太子殿下と婚約破棄でき、その後の自由も確約されると踏んだ私は、意気揚々と王都のはずれにある小さな修道院へ向かったのだった。 注意⚠️このお話には、妊娠出産、新生児育児のお話がバリバリ出てきます。(訳ありもあります)お嫌いな方は自衛をお願いします! 2023/10/12 作者の気持ち的に、断罪部分を最後の番外にしました。 2023/10/31第16回ファンタジー小説大賞奨励賞頂きました。応援・投票ありがとうございました! ☆このお話は完全フィクションです、創作です、妄想の作り話です。現実世界と混同せず、あぁ、ファンタジーだもんな、と、念頭に置いてお読みください。 ☆作者の趣味嗜好作品です。イラッとしたり、ムカッとしたりした時には、そっと別の素敵な作家さんの作品を検索してお読みください。(自己防衛大事!) ☆誤字脱字、誤変換が多いのは、作者のせいです。頑張って音読してチェックして!頑張ってますが、ごめんなさい、許してください。 ★小説家になろう様でも公開しています。

屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。

彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。 父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。 わー、凄いテンプレ展開ですね! ふふふ、私はこの時を待っていた! いざ行かん、正義の旅へ! え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。 でも……美味しいは正義、ですよね? 2021/02/19 第一部完結 2021/02/21 第二部連載開始 2021/05/05 第二部完結

【完結】帝国滅亡の『大災厄』、飼い始めました

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
 大陸を制覇し、全盛を極めたアティン帝国を一夜にして滅ぼした『大災厄』―――正体のわからぬ大災害の話は、御伽噺として世に広まっていた。  うっかり『大災厄』の正体を知った魔術師――ルリアージェ――は、大陸9つの国のうち、3つの国から追われることになる。逃亡生活の邪魔にしかならない絶世の美形を連れた彼女は、徐々に覇権争いに巻き込まれていく。  まさか『大災厄』を飼うことになるなんて―――。  真面目なようで、不真面目なファンタジーが今始まる! 【同時掲載】アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、小説家になろう ※2022/05/13  第10回ネット小説大賞、一次選考通過 ※2019年春、エブリスタ長編ファンタジー特集に選ばれました(o´-ω-)o)ペコッ

【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?

つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。 平民の我が家でいいのですか? 疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。 義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。 学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。 必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。 勉強嫌いの義妹。 この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。 両親に駄々をこねているようです。 私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。 しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。 なろう、カクヨム、にも公開中。

「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。

桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。 「不細工なお前とは婚約破棄したい」 この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。 ※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。 ※1回の投稿文字数は少な目です。 ※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。 表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。 ❇❇❇❇❇❇❇❇❇ 2024年10月追記 お読みいただき、ありがとうございます。 こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。 1ページの文字数は少な目です。 約4500文字程度の番外編です。 バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`) ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑) ※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

処理中です...