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召喚の間
しおりを挟む草木もねむる丑三つ時・・・
「って何時だっけ?」
「知らんがな!」
「お姉さんは・・・そもそも異世界人でしたね、失礼失礼。それはそれとして、想定通り三人ですか・・・」
「おう、邪魔かい?」
「いえいえ、せっかくのギリムさんとお姉さんの時間を邪魔したのは僕の方ですし」
「だ~か~ら~、なんで君がその事を知ってるのかな?」
「そうだぞ?その件は自分とギリムとアリーゼしか知らないことだ。なんでその事実をお前が知ってるんだ?」
「ぁ、やっぱりお二人はお付き合いし始めたんですね?アン隊長が焚きつけたとはいえ」
「・・・どこまで知ってやがる・・・」
「そうですねぇ・・・“解除”こうすれば理解できますか?」
僕はわざわざみんなの前まで移動させてからドローンのインビジブルを解除した
「「「おい」」」
「ギリムさんは知ってますよね?アンさんが外に出てからの映像を映し出してますから。アレをそのまま場内に待機させてただけですから。常時というわけでもないですけど、場内を徘徊させてましたので、大抵の情報は入手済ですよ」
ドローンである。太陽光自家発電で長時間稼働も可能。あらかじめ設定しておいた人物を自動追尾し録画&転送も可能。しかもインビジブルで無音だ。機械なので気配もない
「まさか初日からそれで盗み見してたってぇのか?」
「全部が全部じゃないですけど。晴れた昼間は充電の為、屋上にいますけど、それ以外はほとんどつきっきりでしたよ?隊長さんに」
「なんてこった」(パンナコッタ)
「ん?なんか言ったか?」
「いえ?特には。それはそれとして、約束を破ったお姉さんには向こう半年無休で無給奉仕してもらう形でいいですか?監視用に別のドローン付けておきますので」
「ぃゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「待ってくれ、アリーゼは当然のことをしたんだ。報告義務というな。罰をうけるなら自分が責任持って受けよう!あの時の約束も結局守れなかったしな」
あれま律儀なことで・・・だからこそ周りから慕われてるんだろうね
「OK、これ以上は僕が悪者に成り下がるだけだから、隊長さんの顔に免じて
不問としますよ。それに、隊長さんクラスが見届けてくれるなら、これ以上のことはないからね」
さって、時間も押してることだし、さっさと目的を達成して帰りましょうかね
「それじゃぁ今から召喚の儀を執り行います。
目標は召喚から漏れた存在の召喚。魔法陣自体が同じ物で、召喚時の魔力が完全に消え去ってないことが条件。
アレから結構な日数が経ってるけど、召喚時に莫大な魔力を注いだせいで魔力残滓も色濃く残ってるようだ。
ここに僕の魔力を注いで強化すれば、僕にゆかりのある存在の召喚も可能だと思う。あくまで思う程度なんだけどね。
それでも・・・やらなきゃいけないんだ・・・」
「・・・少年・・・」
「さって、一応入口は結界で強化して封鎖してあるけど、隊長さんはメインの入り口付近で待機、カップルズは窓際の方お願いね?」
「「誰が!?」」
「これ以上にないほど息ぴったりじゃない・・・んで、ポチ!?」
「なんや?でばんかいな・・・それで、何を撃ち滅ぼせばええんや?」
「物騒だなぁ、まずは警護かな?今から無防備になるから、万が一に備えて僕の背後を頼むよ。ポチなら安心して任せられるからさ」
「し、しゃーないなぁ、ドーンと守ったるさかい、安心せぇ」
ん?照れてる?
「それじゃぁ始めるね。まずは機動用の魔力補充から・・・僕らがもらったスキルは想いの力で何にでも変化する、何でも出来る!その想いを込めて・・・対象を強く想い、強く求め、引き寄せる・・・」
「ぉぃぉぃ、なんだその魔力量は!普通に城一つ消し飛ばせるんじゃないか?」
まだだ、まだ確実に掴んだ感覚がない・・・どこだ・・・ん?これか?・・・よしっ!
「掴んだ!もう離さないぞ!最後に魔力を定着させて・・・」『召喚』!
魔法陣から光が溢れると、魔法陣の幽王に光が集まり始めて・・・五つの塊が現れ、徐々に形を成していった
「ん?掴んだ感触は一つだけだったはずだが・・・何か巻き込んだのか?ハッ!!“巻き込まれ召喚”!?」
そうする間に光の輪郭がはっきりとしだし、色が付き、しっかりと認識できて驚いた
「なんでお前らがいるんだ?」
魔法陣の光から現れたのは、香織と先輩たち四人であった・・・なぜ?
「ぉぃぉぃ、五人も召喚しやがったぞ!アレだけの魔力を込めて五人だと?前に生徒たち四十人を召喚した時の魔力量の比じゃなかったんだが・・・この物たちはそれ以上の能力を持ってるということか?」
なんか隊長がブツブツ言いだしてるけどほっとこう。今はそれよりもなぜこの四人がついてきたかが大事だ。単純に巻き込まれた?女神様が介入してきた?
それとも何か他のお因果が・・・
「ショウ様!会いたかったです! 例え数分でも離れてしまったのは・・・申し訳ありませんでした」
数分?あれから数ヶ月は経ってるんだが・・・まずは事情聴取からだな、だがその前に
「アントニオ隊長、無事召喚は終わったよ。ちょっと想定外の出来事が起こったけど、概ね成功だ。この五人は全員僕の関係者で間違いがないよ。
ただ、魔力が若干見解を上回って漏れたらしく、数名の気配がこっちに向かってるんで、僕らはお暇しようと思うんだ。
もちろんお礼はする。が、数日待ってほしい。お礼の内容は召喚された他の者の即戦力となるアイテムや武器、スキルの検証結果等々用意してある。
が、まずはこの状況をなんとかしようと思うので、隊長とギリムと奥さんもこっちに近寄ってほしい。当然お前達もな?」
そして僕の半径一メートル以内にあつまったのをかくにんすると、スキルを発動し、場外へと転移した。
「ここは?」
流石は隊長さんだ。想定外の事が起こったのんいすぐ復帰し、現状把握に努めるとは
「ここはさっきの場所から数百キロ離れた森の中ですよ。緊急避難先に設定してある場所・・・セーフハウスですね。此処の周囲には各種結界や罠も設置してあるので、不用意に動かないでくださいね?半径二十メートルくらいは安全ですけど」
周囲には森が見え、その中心には巨大な樹が聳えているだけだが、なぜかその気にはファスナーがついており
「取り敢えず話は中でしようか」
と促すが、隊長以下二名は動かず、僕他五名はサッサとファスナーの中に入ろうとする。面倒だから後ろから思いっきり押して中に放り込んだけど・・・
「な、なんだここは!」
「先ほど外から見たファスナーの中ですよ?これは他のファスナーですけど」
アイテムボックスからファスナーだけを取り出し見せると余計に不思議な顔をしたので、近くの壁にファスナーを貼り付け開き、中を見せると・・・
「なんじゃこりゃぁぁぁぁぁ!」
大丈夫お腹に穴は空いてないし、血も出てないからね?
「そういう空間だと思ってください。このファスナーは特別製で、ちょっとだけ容量が大きいですけど・・・あぁ、さっきまでいたお城の三倍くらいですね?下手に奥に行くと迷子になるので御注意を」
以前ダンジョンに興味があったときに作った特殊空間で、奥に行けば数々のトラップや敵が設置されているが、これこそ死蔵品候補ナンバーワンだ。
今いるところは準備スペースとして、敵が入ってこれない様になってるが、それだけでもかなりの広さがある。
「まぁ、立ち話もなんだし座ってよ」
王宮の応接セットのような椅子やテーブルと、ティーセット等を準備しようとすると
「ショウ様、私がします」
と香織が言うので
「久しぶりに香織の淹れたの飲んでみたいし、お願いしようかな。みんなも自由に座って」
軽く説明中・・・
あまり長い時間をかけると隊長達の嫌疑が深まるので、詳しい説明は後日ということにして、ひとまず三人は転移で城に戻しておく。
実際隊長以外はまだ夢の中にいる様な感じだったしね。
「さて、多少は落ち着いたか?こっちとしては想定外の事が起きすぎてて、平静を装ってはいるが、かなりパニックなんだよね。
色々説明してもらってもいいかな?」
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