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そして始まる
しおりを挟むさて、ここはやはり
「門番さん、冒険者ギルドってどっちに行けばありますか?」
分からないとがあれば大人に聞くのが一番手っ取り早いよね?
「なんだ?ってさっき門の内側から出て来た少年じゃないか。色々ツッコミたいが、まずは質問に答えてやらんとな?冒険者ギルドならこの道を真っ直ぐ南下して噴水広場に突き当たったら東、盾の方角だな。に向かい突き当たった所が冒険者ギルドだ。目印は剣と鍬のマークだ」
ふむ、日本では茶碗を持つ方という左利きは?といった意味合いの事なんだろうな?じゃあ右は剣の方向って言い方するのかな?
「ありがとうお兄さん!」
ガキとかボウズとか言わずに少年と言われたのは嬉しかった。ただまぁ、門の内側から出て来たからかもしれないが、それでもキチンと対応してくれた事が嬉しかった。
「ハハっ!お兄さんか。礼儀に礼で返すのは良いことだが、冒険者ギルドに興味があるって事はなりたいんだろ?だったら言葉遣いもしっかり教えてもらえよ?」
「ん?」
「冒険者が丁寧に喋ると舐められるぞ?どうやら少年の胆力は強そうだから、その想いを出すタイミングを間違えないようにな」
この門番さんもここまで話すとか、普通じゃないな
「ありがとう!肝に銘じるよ!じゃあまたな!」
「隊長!先ほどの子は何だったのですか?」
「多分極秘裏に行われた召喚の被害者だろう。でなければ内側からここに来る事はないし、なにやりあの胆力だ。芯がブレてなかったからな。あれは強いぞ!」
「アレは敵対してよいものじゃないですね?」
「それに隊長が少し注意してそれを即座に理解実践する辺りも」
「ああ、先読みと妥協が混ざってはいるが、今後の事の助けに少しでもなるようならそれに越した事はないさ」
「なるほど、若干の下心もあったってわけだね?でも、不快な感じはしなかったし、あの城は一枚岩じゃないのなら、カードは多い程良いからね。よし、今日の所はドローン回収っと、こんな使い方も有りだよね?」
実は話を聞いた後コッソリと追従させてたドローンを門番のところで待機状態にして、僕が去った後の会話を撮らせていたのだ。気持ちとしては追手を心配した措置だったけれど、それは稀有で、逆に見抜く目を確認できたのは嬉しい誤算であった。
「さて冒険者ギルドの前に着いたけど、テンプレはどうかな?」
と言いつつ楽しみでもある。取り敢えず中に入って・・・カウンターに三人の受付けさん・・・左端はケモ耳のオッサン・・・真ん中は対応中で、右端のお姉さんが空いてるからそっちに・・・
「すみません、冒険者の登録をお願いします」
「んー?僕?規定では十五歳から登録できるから、もう少し待ってようか?」
と、頭をサワサワと撫でてくる(チョットくすぐったいけど気持ちいいな)
「僕はもう十五歳です!綺麗なお姉さんに頭を撫でてもらえたのは嬉しかったけ・・・しゃなくて!」
つい本音も出てしまった。これは舐められるなぁ・・・
「これは失礼をしました。登録可能か不可能かを見抜けなかった事は受付けとして勉強不足でした。本当に申し訳ありませんでした」
立ち上がり、丁寧なお辞儀をし、謝罪の言葉を言う。そんな事即座にできるのは、お姉さんの資質かギルドの教育の賜物かわからないが、ここなら安全だと直感で理解した
「いえ、そんなに丁寧に謝って貰えたのは驚きでしたが、謝罪を受け取りますので、これで終わりにしてください」
謝罪されて受け取ったらそれまで。そこから先は対等に近い関係で良いと思う。
「それで、登録は可能ですか?年齢はクリアしたと思いますが、後は登録料ですか?」
「登録料は要らないわよ?ただ、貴方の情報は見た目だけなので、試験を二つしてもらいます。あ、カインさん!ちょうどよかった、初心者試験お願いできますか?報酬は今日の依頼報酬額二割増で」
このお姉さんは隣の列で今日の達成報告でもしてたのであろう所を、急遽試験官に任命したようだが、果たしてそんな誰でもできる事なのだろうか?もしかして・・・
「ん?また俺か?ギルドに顔出す度に俺に振ってないか?受けるけどよ?」
常習者だった
「それでは試験は二種類、担当教官はAランク冒険者カイン。実力を見るだけなので、必ずしも勝たないといけないわけではないので、無理はしないように。それでは裏の訓練場でお願いします」
そのまま訓練場にドナドナされた
「十五歳であの反応対応は久々の有望株かしら?ギルマスに報告した方がいいよね?ギルマスの部屋から訓練場見えるから急がないと!」
「コンコンコン、ギルマス宜しいですか?」
「入れ」
「失礼します。先程冒険者登録に来た少年なんですが、もしかすると有望株になるかもしれないと言う報告と、今からカインに教官役で初心者試験をお願いしました。場所は訓練場です」
「ほう、君の眼鏡にかなったかね。それは興味深い」
と椅子から立ち上がり、背後の窓へ向かうと眼下には訓練場があり、一組の青年と少年があらわれた
「実力の程を見せて貰おうかの?場合によっては飛び級じゃな」
ただの登録試験のはずがギルマス公認の飛び級試験となってたのは本人の知らぬ所であった。その頃受付け嬢は・・・「久々の特別ボーナスかしら?」打算的であった。
「よっしボウズ・・・いやすまん、少年さっき隣でそんなやりとりあったな。失礼した」
このおっさんも礼儀あったんだな?
「そこ!俺はまだ二十五だからお兄さんだ!なんかおっさん呼ばわりされた気がしたからな」
やはり命のやり取りをしてるだけあってすごい直感だ
「はい!カイン兄さんよろしくお願いします!」
「ぉおう、じゃあ先ず最初の試験の説明だ。そこの袋をあそこの案山子わかるか?の隣の台まで運んでくれ。それだけだ」
引っかけ問題かな?でも袋は見た感じ二十キロ位だし、スキル使わなくても
「えい!」と、少し持ち上げて全体の重量を確認した後肩に担いで台の所まで歩いて行き、台の上に乗せた
「これでいいですか?」
「ぉぉぅ・・・合格だ」
何となく納得がいかなかったような返事だが、最初の試験はクリアしたようだ。
「さて、次は軽い戦闘試験だな。少年よ武器は持ってるか?」
しまったぁ・・・インベントリには沢山の武器あるけどここで出すわけにもいかないしな・・・と困ってると
「いや、別に持ってなくても構わないんだが、俺が二本ナイフを持ってるから一本貸してやるよ」
とカイン兄さんが腰に隠し持ってたナイフをコチラに放り投げて来た。当然鞘付きでなく抜身だ。
「あ、お借りします」
と、回転しながらこちらに来るナイフを受け取り、持ち方等のナイフの性能を確認してるとカイン兄さんは
Σ(゚д゚lll)からの( ゚д゚)になり、ハッと戻ってきて
「少年よ、ナイフの扱いに慣れてる感じだな?それに今重心の確認もしてたが、投げれるのか?」
ナイフには重心があり、それによっては投げ、突き、振りと、用途が分かれてくる、逆に万能なのもあるが、それでは困る場合が多い。ので、ナイフ使いは其々の専用ナイフを使っている。
「そうですね、ちょっとコレは投げ用には向かないけど・・・えい!」
話の途中だったけど、カイン兄さんから借りたナイフを徐に案山子の胴体に向かって投げてしまった。
「あ、カイン兄さん!ごめんなさい!つい投げちゃった!すぐ取ってきますから、次の試「いや、第二試験は合格だ。ナイフもそのままでいいぞ。受付に合格だったと伝えてこい」験お願いします!」
みんな被せるの好きだなぁ
「合格ですか?」
「あぁ、文句なしのな?」
「ありがとうございました!」
僕は一礼するとギルドホールに向かって走っていった
「なにもんだ?」
本人は十五歳と言ってたが、見た目はまんま十~十二歳にしか見えない。最初の試験は荷物を運ぶのだが、あの年齢だと袋を引き摺って運ぶ。そして台の下まで運ぶ。最後に台の上に乗せる。
この三段階だ
まず持てるかどうか
台の下までなら力がない
台に乗せれば力もある
だがあの少年は最初に担ぎ上げ、そこから担いだまま運び、そのまま台の上に置いたのだ。
登録試験としては初の出来事だった!
三段階其々の結果で受けることの出来る依頼も変化する。
持ち上げられなければ、街中のゴミ拾い位しか仕事は無い。
引き摺ってでも運べば根性は認めてもらえるが、ちょっと大きめのゴミ拾いになる位だ。
台の上に乗せれば軽目の荷物の運搬なら任せれる。
が、この少年は担いで運んで乗せた。外壁工事の荷運びも出来るだろうと思ってたが、何気なくナイフを投げ渡してしまった。これは受付けや他のメンバーにバレたらランクダウンもあり得るくらいの失態だ!だが、少年はナイフを空中で受け取り、そのままナイフの性能チェックと更には重心チェックまでし出した。そこで興味があって「投げれるか?」と聞くと即座(というかほぼ無意識)に案山子に向かって投げて、胴に半ばまでめり込ませた!これはもう驚きしかなかった!なんせココから的の案山子まで百メートルは離れてるのだから。俺はできないよ!
「合格だ!」それしか言えなかった。
そしてカイン君?その場所はギルマスの部屋から丸見えなんだよ?
カインの明日はどっちだ?
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