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新しく始まる日常
しおりを挟むまだまとめ役4人の検証が始まったばかりなので、他の同級生達は実際の所暇を持て余してる感じだ。中にはスキルの検証を独自に始める者。魂の抜けたような者。コミュニティを拡げようとあちらこちらに話(ナンパ)に走る者。頑として殻にこもる者。だが大多数はやはり何をすれば良いかわからず右往左往する者
「やっぱり想像通りになるよね?」
15歳はまだまだ子供である。衣食住は与えられるもので、学ぶこともまた強制されるのが殆どである。中には塾や習い事をしている者もいるが、やはり外的要因によってやらされている感は否めないと思う。
やはりあの4人には早目に何かしらのスキルを習得してもらって、他の皆に希望と目標を与えてもらったほうがいいな。でもまずは・・・
「衛士さーん!何もしてないと暇で気力体力共に低下しちゃうんで、運動する場所とか指導してくれる方っていませんか?」
近くにいた衛士さんに周りにも聞こえるように質問したところ
「そうだな、軽い運動ならこの中庭でも良いが、やはり修練場の方が良いと思うな」
やっぱりあるよね?修練場。ある程度の衛士さんがいるから、交代制で訓練してるんじゃないかな?とへ想定してたけど
「利用には許可が必要ですか?」
「いや、必要は無いと思うが、一応上に聞いてくるから待ってもらえるか?刃を潰した武器もあるからね」
そうして他の衛士さんにこの場を任せて、話を聞いてくれた衛士さんは走っていくのであったが・・・
「フル装備でないとはいえ、走るの遅く無いか?」
急用でもないから本気で走る必要はないが、それでも・・・と、数分待つと少し鎧の意匠が良くなった年配の衛士さんを伴って戻ってきて
「待たせたな。こちらがこのエリアの衛士長を任されている」
「衛士長のジョン・コールマンだ。ジョンでもオッサンでも好きに呼ぶと良い」
「ちょ!おやっさん!そこは衛士長って呼ばせないと駄目でしょ!」
いや、お前もそこでおやっさんは拙いじゃないか・・・ここって結構ユルイんだろうか?食堂での説明の時も侍女がナナリー様の事を・・・魔法撃った時も逃げようとしてたヤツもいたし・・・
「こんな感じで部下からも敬ってもらえてないから、好きにすると良い。それで修練場の使用許可だったかな?それ自体は構わないが、まずは場所と注意事項の説明が先じゃな」
確かに、素人が扱うには危険なモノや、壊して怒られるモノと怒られないモノがあるだろうし、やはり人数制限もあるだろうからね。100人位で押しかけても芋洗いになったら意味ないしな
「という訳で、ボウズの他に興味のあるヤツは居るか?居るなら一緒について来い!」
ボウズではないけど・・・おやっさんの後ろをついて行くと何人かは興味を持ったのかついてきたが・・・相変わらず目に覇気が無い・・・流されるままといった感じだな
最初にいた中庭からちょうど建物の反対側かな?に移動すると扉があり、その両サイドには何故か汗だくの衛士さんが
「なんでスクワットしてるんですか?」
扉の横でスクワットしてる衛士さんがいました。何故?罰ゲームか?
「交代制なんだけど、暇で眠くなりそうだったから運動してたんだよ!そんなかわいそうなモノを見る目はヤメテ!」
やっぱ色々ユルイでしょ?ココ
「「「「「( ゚д゚)」」」」」
「で、今日か明日から今回召喚されたボウズ共が利用しに来ると思うから、暇ではなくなるな。後でカードでも作るから、入退場のチェックも仕事に組み込まれると思うから、逆に忙しくなるぞ!」
おやっさんのセリフに汗だくで高揚してた顔が青くなっていく様は・・・申し訳ないが面白かった
門番?の衛士さんが扉に手をかけ
「ようこそ修練場へ」
両開きの扉を横にスライドさせて開けると縦にサッカー場を並べたような長広いスペースが現れた
おいおいまさかの引き戸かよ!
「縦50横200位か?周りは高さ5m位に囲まれて、所々に部屋?の扉があるけど、倉庫とかかな?」
「ほう、ボウズ達は長さの単位なども理解してるのか?そうじゃな、騎馬訓練もあるから長めには取ってあるが、日と時間で分けて魔法訓練や対人・対魔物・対想定外との訓練項目もあるからの。これからはその合間にボウズ達の時間も組み込んでもらうとするかの」
「そうですね、僕たちがこれまでに使ってた筋肉の動きとこれから必要になるであろう筋肉の使い方は全く違ってくると思うので、是非とも指導して下さると助かります」
「筋肉の使い方とな?それはどういう事じゃ?」
「僕たちの世界では対人訓練も場合によってはありましたが、あくまで安全第一としてのルールの中での対人戦であり、こちらでいえば演舞ですかね?殺さずの戦いです」
この世界での動きは勿論の事殺し合いだ。コンティニューも復活の呪文もセーブポイントもない。死ねば終わり。転生?変な期待はしない方がいい。今日までに食事で出てきた肉もここでは狩って確保している。向こうみたいに飼って無いのだから。そこには命のやり取りが存在している
「安全な世界だったんだな。だが、そういった事なら確かに筋肉の使い方は変わってくるだろうが、ボウズ達はまだ14~5かそこらだろ?それならまだ筋肉も柔らかく鍛え直しも可能だ!具体的には追って決めるとして、今日は設備の説明にしておこうかの」
後ろでは
「動物殺すの?野蛮人のすること?」
「対人って人殺すのかよ」
「肉ってなんの肉食わされてたんだ?俺ら」
「やっとこの手で・・・」
「アイラさんは俺が守る!」
誰だよアイラって・・・そういえば昨夜の衛士も言ってたけど・・・後で調べておこう
「簡単に武器庫と着替え場所と倉庫と・・・負傷したときの部屋ってところですか?」
軽く聞いてみると
「それで正解じゃが、知っておったのか?」
ラノベでは至極当然の設備だったのでつい・・・
「いえ、僕たちの世界には無いモノですけど、空想の読み物としては多岐にわたって存在するので、知識としてのみですが、知ってただけですよ」
と茶を濁しておく
「では軽く運動するので、よろしければ後ろの同級生の面倒を見ておいてもらえませんか?刃潰しとはいえ男心を擽る武器もある事ですし」
「そうじゃの、で、ボウズはいいのか?ボウズも武器には男心擽るんじゃないのか?」
確かに、壁に立てかけてある刃潰しの武器には一瞬心奪われかけはしたものの、自前の武器があるので用意すると
「ボウズ!それは今何処から出したのじゃ!?しかもその形は・・・国宝指定されとるカタナでは無いのか?」
過去にも勇者召喚があったとして、何故か殆どが日本人のパターン故か、この世界にも刀は存在していたようだ。しかも国宝として
「コレについては後日説明の場を設けたいと思いますので」
茶を濁して、前方の的に向かって腰を落とし・・・所謂居合抜刀術の態勢ををつくるも的までは100m以上離れており、ジャパニメーションや漫画で見知った光景でも、同級生も衛士さん達も首を傾げ・・・
「シッ!」
一足のもと的までの距離半分を詰め、それでも刀の射程よりは遠い位置から抜刀!そして納刀・・・残心から振り返り、おやっさんの顔を見ると、まだ首を傾げたまま・・・
「どうされました?」
聞くも動かず・・・
数秒後・・・
的は細切れに崩れ落ちた
背後の壁と共に
「「「「「( ゚д゚)!?」」」」」
「・・・あっ!・・・ゴメンなさい」
壁のところまで駆けて行き手を当てて
「スキル修復!」
壁は何事もなかったように修復され
「んー、心許ないからスキル強化!」
よし、これで頑丈になったな
振り返るとそこには・・・
「「「「「「「「「「( ゚д゚)」」」」」」」」」」
「やっちゃいましたか?」
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