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第4章 狂気の王国と古代魔法の秘密
『132、モックルデン伯爵邸 (Ⅰ)』
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あれから、黒龍騎士に見つからないように隠蔽魔法をかけた馬車は疾走。
俺たちはモックルデン伯爵の屋敷に来ていた。
「ここが僕の家です。ツバーナ王女御一行の目的は古代魔法の情報ですよね?」
「ええ。でも、まずは伯爵に挨拶しないと」
黒い笑みを浮かべるツバーナに気圧された様子の少年は、ゆっくりとドアに手をかけた。
ドアノブから妙な音が響く。
「待って。ドアノブに何かが仕掛けられているよ。恐らくは魔導具の類だろうけど」
「えっ・・・こんなの計画になかったのに・・・」
狼狽える少年を尻目にアスネお姉さまがドアを一瞥したと思うと、手をドアにかざす。
そして魔法の詠唱を紡いだ。
「我に眠る魔法の根源、魔力よ。我のもとに集いて風の刃となれ。エアースラッシュ!」
「グアッ・・・敵襲か!?」
三日月型の風が容赦なくドアを吹き飛ばす。
するとドアの向こうで待ち構えていたと思われる男性のエルフが飛び出してきた。
彼がモックルデン伯爵だな。
怯えたように辺りを見回す伯爵を無視して、ツバーナが魔導具の破片を確かめる。
「爆発型の魔導具ね。作成は禁止されていたはずですが」
「僕だけならともかく、姉やツバーナ殿に危害を与えようとするのは見過ごせませんね」
「ツバーナ王女にグラッザド王国の王太子だとっ!?」
半眼で睨む俺とツバーナに気づいた伯爵は、顔を青ざめさせて後退りを始めた。
ある程度、後退したところで反転して駆けだす。
「仲間を傷つけようとした悪徳貴族を逃がすわけないでしょ。バウンド!」
「闇魔法は効かん!」
拘束用の魔法を放ったが、伯爵の胸にあるネックレスに阻まれる。
聖属性の付与か・・・。
あれを相手がつけていると俺の魔法でも弾かれるから厄介だ。
毎回、結構な魔力を込めているはずなのにどうして弾かれちゃうんだろう?
「我に眠る魔法の根源、魔力よ。彼のもとに集いて土の壁となれ。ランド・ウォール!」
「我に眠る魔法の根源、魔力よ。彼のもとに集いて氷の針となれ。アイス・ニードル!」
俺の魔法が弾かれるや否や、お姉さま2人の魔法が伯爵を襲う。
逃げ場を土の壁に阻まれた伯爵は、足を氷の釘で固定されて動くことが不可能に。
伯爵の息子である少年が持って来たロープで拘束された。
「ツバーナ、魔導具なんかを持っていないか確かめた方が良いんじゃない?」
「そうね。この人は男だからリレンに任せるわ」
そう言い残してツバーナはお姉さまたちと一緒に屋敷の修理に取り掛かる。
俺は伯爵の服を改めた。
すると、ズボンのポケットから拳大の黄色に光る石が出て来た。
「これは・・・連絡用の石?」
「光っているということは連絡が来ているんだろう。私に貸してくれないか?」
伯爵を無視して連絡用の石に魔力を込めると、空中に数枚の透明の板が浮かぶ。
空中に何枚もの板が浮かぶ様はファンタジー色に溢れているな。
俺は1枚目の板に書かれた文字を目で追っていく。
『古代魔法と呼ばれる魔法は全部で3つの種類に分かれている。1つは龍魔法だ』
『龍魔法は地下に封印されているという黒龍の力を奪うための魔法である』
『もし、黒龍が地上に出現した場合は龍魔法を不特定多数の人にかけることで対策可能』
重要なのはこのくらいだろうか。
つまり、古代魔法を貴族に行使した人間はグラッザドに出現した黒龍を消そうとした?
それならグラッザド王国だったのも頷ける。
相手が出て来ると分かっている場所で使うのが一番だろうからね。
俺は謎の違和感を覚えつつ、次の板へと目を移す。
俺たちはモックルデン伯爵の屋敷に来ていた。
「ここが僕の家です。ツバーナ王女御一行の目的は古代魔法の情報ですよね?」
「ええ。でも、まずは伯爵に挨拶しないと」
黒い笑みを浮かべるツバーナに気圧された様子の少年は、ゆっくりとドアに手をかけた。
ドアノブから妙な音が響く。
「待って。ドアノブに何かが仕掛けられているよ。恐らくは魔導具の類だろうけど」
「えっ・・・こんなの計画になかったのに・・・」
狼狽える少年を尻目にアスネお姉さまがドアを一瞥したと思うと、手をドアにかざす。
そして魔法の詠唱を紡いだ。
「我に眠る魔法の根源、魔力よ。我のもとに集いて風の刃となれ。エアースラッシュ!」
「グアッ・・・敵襲か!?」
三日月型の風が容赦なくドアを吹き飛ばす。
するとドアの向こうで待ち構えていたと思われる男性のエルフが飛び出してきた。
彼がモックルデン伯爵だな。
怯えたように辺りを見回す伯爵を無視して、ツバーナが魔導具の破片を確かめる。
「爆発型の魔導具ね。作成は禁止されていたはずですが」
「僕だけならともかく、姉やツバーナ殿に危害を与えようとするのは見過ごせませんね」
「ツバーナ王女にグラッザド王国の王太子だとっ!?」
半眼で睨む俺とツバーナに気づいた伯爵は、顔を青ざめさせて後退りを始めた。
ある程度、後退したところで反転して駆けだす。
「仲間を傷つけようとした悪徳貴族を逃がすわけないでしょ。バウンド!」
「闇魔法は効かん!」
拘束用の魔法を放ったが、伯爵の胸にあるネックレスに阻まれる。
聖属性の付与か・・・。
あれを相手がつけていると俺の魔法でも弾かれるから厄介だ。
毎回、結構な魔力を込めているはずなのにどうして弾かれちゃうんだろう?
「我に眠る魔法の根源、魔力よ。彼のもとに集いて土の壁となれ。ランド・ウォール!」
「我に眠る魔法の根源、魔力よ。彼のもとに集いて氷の針となれ。アイス・ニードル!」
俺の魔法が弾かれるや否や、お姉さま2人の魔法が伯爵を襲う。
逃げ場を土の壁に阻まれた伯爵は、足を氷の釘で固定されて動くことが不可能に。
伯爵の息子である少年が持って来たロープで拘束された。
「ツバーナ、魔導具なんかを持っていないか確かめた方が良いんじゃない?」
「そうね。この人は男だからリレンに任せるわ」
そう言い残してツバーナはお姉さまたちと一緒に屋敷の修理に取り掛かる。
俺は伯爵の服を改めた。
すると、ズボンのポケットから拳大の黄色に光る石が出て来た。
「これは・・・連絡用の石?」
「光っているということは連絡が来ているんだろう。私に貸してくれないか?」
伯爵を無視して連絡用の石に魔力を込めると、空中に数枚の透明の板が浮かぶ。
空中に何枚もの板が浮かぶ様はファンタジー色に溢れているな。
俺は1枚目の板に書かれた文字を目で追っていく。
『古代魔法と呼ばれる魔法は全部で3つの種類に分かれている。1つは龍魔法だ』
『龍魔法は地下に封印されているという黒龍の力を奪うための魔法である』
『もし、黒龍が地上に出現した場合は龍魔法を不特定多数の人にかけることで対策可能』
重要なのはこのくらいだろうか。
つまり、古代魔法を貴族に行使した人間はグラッザドに出現した黒龍を消そうとした?
それならグラッザド王国だったのも頷ける。
相手が出て来ると分かっている場所で使うのが一番だろうからね。
俺は謎の違和感を覚えつつ、次の板へと目を移す。
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