14 / 23
1章
疑いの目と『影』
しおりを挟む
「随分ですね…」
「ええ」
「誰かが横領しているのでは?」
「そうかもしれない…けど」
「けど?」
「誰がこんな大それたことをできる?」
「…領地の人間には厳しいと思います」
「やっぱり!ここ見て」
提示された資料を見る
「無理ですね」
領地の方の余剰決算は月に50。
とても400なんて出せない
「つまり、管理をする…ここの人間なの」
「この公爵邸の中…か」
「そういうこと…更に言うなら」
「予算管理をするような偉い人ですね」
「例えば」
「「アイザック(様)…」」
「…」
「…」
「ほ、他には」
「ええと…うーんと」
「公爵様に相談する?」
「そうですね」
アイザック様じゃないって信じてるけど
シエル様…貴方なら分かってくれますよね
「あのメイドは…彼女だ」
彼女…『俺』の元婚約者のユリ
俺と同い年の彼女は9歳で留学に来た
同い年だったにも関わらず夏休みには俺に難しい政治やマナー、勉強等を教えてくれた彼女
彼女は天才だった
彼女に勝つことを見つけるのは難しかった
俺の婚約者にふさわしいと思い、あの父帝の前で婚約をお願いした…
「旦那様、お疲れでしょう」
音もなく忍び寄る俺の従者
「ああ、アイザックか…」
俺の好きな東方のグリーンティーを注ぐ
「…おいしい」
「彼女というのは」
「前にも話しただろう?」
「その彼女なんですよね」
「ああ…多分、な」
「しかし…調べたんですか?」
「シエル・デクリオン、知ってるか?」
「聞いた事ありま…せんね」
「だよな」
「マリーという女が大事なのか」
「マリー…マリーという女が大切な女なのか?」
「大切そうに語っていましたよ」
「ふむ…面白い」
「どうします?」
「まだ…そのままでいい」
「えっ」
執事の格好をした男は不満そうに声を漏らした
「何だ?」
王冠を被った男は傲慢に聞きかえす
「いえなんでも」
「そうか…影3(ジェン)」
『影』が出てくる
「はっ!」
「お前も忍びこめ…我が弟の家に」
「行動は起こしますか?」
「おこすな」
「わかりました」
『影』は皇帝の横にいるもう1人の『影』の方へ勝ち誇った笑みを浮かべる
「影3(ジェン)は本当に影1(ダン)が好きだな」
影は1が1番強く、1番弱いのは102番
影のトップは主の護衛が仕事だ
「影3…ミスをしたら許さない」
影1は暗い瞳を向ける
「貴様に言われたくはない…影1」
「影3…口が過ぎる黙れ」
「そうだ…隠していた執事表…あそこにこいつと怪しまれないため他の新人を入れろ」
「はい」
「じゃあこれで解散だ」
「ええ」
「誰かが横領しているのでは?」
「そうかもしれない…けど」
「けど?」
「誰がこんな大それたことをできる?」
「…領地の人間には厳しいと思います」
「やっぱり!ここ見て」
提示された資料を見る
「無理ですね」
領地の方の余剰決算は月に50。
とても400なんて出せない
「つまり、管理をする…ここの人間なの」
「この公爵邸の中…か」
「そういうこと…更に言うなら」
「予算管理をするような偉い人ですね」
「例えば」
「「アイザック(様)…」」
「…」
「…」
「ほ、他には」
「ええと…うーんと」
「公爵様に相談する?」
「そうですね」
アイザック様じゃないって信じてるけど
シエル様…貴方なら分かってくれますよね
「あのメイドは…彼女だ」
彼女…『俺』の元婚約者のユリ
俺と同い年の彼女は9歳で留学に来た
同い年だったにも関わらず夏休みには俺に難しい政治やマナー、勉強等を教えてくれた彼女
彼女は天才だった
彼女に勝つことを見つけるのは難しかった
俺の婚約者にふさわしいと思い、あの父帝の前で婚約をお願いした…
「旦那様、お疲れでしょう」
音もなく忍び寄る俺の従者
「ああ、アイザックか…」
俺の好きな東方のグリーンティーを注ぐ
「…おいしい」
「彼女というのは」
「前にも話しただろう?」
「その彼女なんですよね」
「ああ…多分、な」
「しかし…調べたんですか?」
「シエル・デクリオン、知ってるか?」
「聞いた事ありま…せんね」
「だよな」
「マリーという女が大事なのか」
「マリー…マリーという女が大切な女なのか?」
「大切そうに語っていましたよ」
「ふむ…面白い」
「どうします?」
「まだ…そのままでいい」
「えっ」
執事の格好をした男は不満そうに声を漏らした
「何だ?」
王冠を被った男は傲慢に聞きかえす
「いえなんでも」
「そうか…影3(ジェン)」
『影』が出てくる
「はっ!」
「お前も忍びこめ…我が弟の家に」
「行動は起こしますか?」
「おこすな」
「わかりました」
『影』は皇帝の横にいるもう1人の『影』の方へ勝ち誇った笑みを浮かべる
「影3(ジェン)は本当に影1(ダン)が好きだな」
影は1が1番強く、1番弱いのは102番
影のトップは主の護衛が仕事だ
「影3…ミスをしたら許さない」
影1は暗い瞳を向ける
「貴様に言われたくはない…影1」
「影3…口が過ぎる黙れ」
「そうだ…隠していた執事表…あそこにこいつと怪しまれないため他の新人を入れろ」
「はい」
「じゃあこれで解散だ」
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
【完結】殿下、自由にさせていただきます。
なか
恋愛
「出て行ってくれリルレット。王宮に君が住む必要はなくなった」
その言葉と同時に私の五年間に及ぶ初恋は終わりを告げた。
アルフレッド殿下の妃候補として選ばれ、心の底から喜んでいた私はもういない。
髪を綺麗だと言ってくれた口からは、私を貶める言葉しか出てこない。
見惚れてしまう程の笑みは、もう見せてもくれない。
私………貴方に嫌われた理由が分からないよ。
初夜を私一人だけにしたあの日から、貴方はどうして変わってしまったの?
恋心は砕かれた私は死さえ考えたが、過去に見知らぬ男性から渡された本をきっかけに騎士を目指す。
しかし、正騎士団は女人禁制。
故に私は男性と性別を偽って生きていく事を決めたのに……。
晴れて騎士となった私を待っていたのは、全てを見抜いて笑う副団長であった。
身分を明かせない私は、全てを知っている彼と秘密の恋をする事になる。
そして、騎士として王宮内で起きた変死事件やアルフレッドの奇行に大きく関わり、やがて王宮に蔓延る謎と対峙する。
これは、私の初恋が終わり。
僕として新たな人生を歩みだした話。
浮気くらいで騒ぐなとおっしゃるなら、そのとおり従ってあげましょう。
Hibah
恋愛
私の夫エルキュールは、王位継承権がある王子ではないものの、その勇敢さと知性で知られた高貴な男性でした。貴族社会では珍しいことに、私たちは婚約の段階で互いに恋に落ち、幸せな結婚生活へと進みました。しかし、ある日を境に、夫は私以外の女性を部屋に連れ込むようになります。そして「男なら誰でもやっている」と、浮気を肯定し、開き直ってしまいます。私は夫のその態度に心から苦しみました。夫を愛していないわけではなく、愛し続けているからこそ、辛いのです。しかし、夫は変わってしまいました。もうどうしようもないので、私も変わることにします。
「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。
木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。
因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。
そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。
彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。
晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。
それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。
幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。
二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。
カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。
こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。
心の声が聞こえる私は、婚約者から嫌われていることを知っている。
木山楽斗
恋愛
人の心の声が聞こえるカルミアは、婚約者が自分のことを嫌っていることを知っていた。
そんな婚約者といつまでも一緒にいるつもりはない。そう思っていたカルミアは、彼といつか婚約破棄すると決めていた。
ある時、カルミアは婚約者が浮気していることを心の声によって知った。
そこで、カルミアは、友人のロウィードに協力してもらい、浮気の証拠を集めて、婚約者に突きつけたのである。
こうして、カルミアは婚約破棄して、自分を嫌っている婚約者から解放されるのだった。
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
政略結婚の約束すら守ってもらえませんでした。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
「すまない、やっぱり君の事は抱けない」初夜のベットの中で、恋焦がれた初恋の人にそう言われてしまいました。私の心は砕け散ってしまいました。初恋の人が妹を愛していると知った時、妹が死んでしまって、政略結婚でいいから結婚して欲しいと言われた時、そして今。三度もの痛手に私の心は耐えられませんでした。
旦那様、私は全てを知っているのですよ?
やぎや
恋愛
私の愛しい旦那様が、一緒にお茶をしようと誘ってくださいました。
普段食事も一緒にしないような仲ですのに、珍しいこと。
私はそれに応じました。
テラスへと行き、旦那様が引いてくださった椅子に座って、ティーセットを誰かが持ってきてくれるのを待ちました。
旦那がお話しするのは、日常のたわいもないこと。
………でも、旦那様? 脂汗をかいていましてよ……?
それに、可笑しな表情をしていらっしゃるわ。
私は侍女がティーセットを運んできた時、なぜ旦那様が可笑しな様子なのか、全てに気がつきました。
その侍女は、私が嫁入りする際についてきてもらった侍女。
ーーー旦那様と恋仲だと、噂されている、私の専属侍女。
旦那様はいつも菓子に手を付けませんので、大方私の好きな甘い菓子に毒でも入ってあるのでしょう。
…………それほどまでに、この子に入れ込んでいるのね。
馬鹿な旦那様。
でも、もう、いいわ……。
私は旦那様を愛しているから、騙されてあげる。
そうして私は菓子を口に入れた。
R15は保険です。
小説家になろう様にも投稿しております。
【完結】捨てられ正妃は思い出す。
なか
恋愛
「お前に食指が動くことはない、後はしみったれた余生でも過ごしてくれ」
そんな言葉を最後に婚約者のランドルフ・ファルムンド王子はデイジー・ルドウィンを捨ててしまう。
人生の全てをかけて愛してくれていた彼女をあっさりと。
正妃教育のため幼き頃より人生を捧げて生きていた彼女に味方はおらず、学園ではいじめられ、再び愛した男性にも「遊びだった」と同じように捨てられてしまう。
人生に楽しみも、生きる気力も失った彼女は自分の意志で…自死を選んだ。
再び意識を取り戻すと見知った光景と聞き覚えのある言葉の数々。
デイジーは確信をした、これは二度目の人生なのだと。
確信したと同時に再びあの酷い日々を過ごす事になる事に絶望した、そんなデイジーを変えたのは他でもなく、前世での彼女自身の願いであった。
––次の人生は後悔もない、幸福な日々を––
他でもない、自分自身の願いを叶えるために彼女は二度目の人生を立ち上がる。
前のような弱気な生き方を捨てて、怒りに滾って奮い立つ彼女はこのくそったれな人生を生きていく事を決めた。
彼女に起きた心境の変化、それによって起こる小さな波紋はやがて波となり…この王国でさえ変える大きな波となる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる