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1章

疑いの目と『影』

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「随分ですね…」

「ええ」

「誰かが横領しているのでは?」 

「そうかもしれない…けど」

「けど?」

「誰がこんな大それたことをできる?」

「…領地の人間には厳しいと思います」

「やっぱり!ここ見て」

提示された資料を見る

「無理ですね」

領地の方の余剰決算は月に50。

とても400なんて出せない

「つまり、管理をする…ここの人間なの」

「この公爵邸の中…か」

「そういうこと…更に言うなら」

「予算管理をするような偉い人ですね」

「例えば」

「「アイザック(様)…」」

「…」

「…」

「ほ、他には」

「ええと…うーんと」

「公爵様に相談する?」

「そうですね」

アイザック様じゃないって信じてるけど

シエル様…貴方なら分かってくれますよね



「あのメイドは…彼女だ」

彼女…『俺』の元婚約者のユリ

俺と同い年の彼女は9歳で留学に来た

同い年だったにも関わらず夏休みには俺に難しい政治やマナー、勉強等を教えてくれた彼女

彼女は天才だった

彼女に勝つことを見つけるのは難しかった

俺の婚約者にふさわしいと思い、あの父帝の前で婚約をお願いした…

「旦那様、お疲れでしょう」

音もなく忍び寄る俺の従者

「ああ、アイザックか…」

俺の好きな東方のグリーンティーを注ぐ

「…おいしい」

「彼女というのは」

「前にも話しただろう?」

「その彼女なんですよね」

「ああ…多分、な」

「しかし…調べたんですか?」

「シエル・デクリオン、知ってるか?」

「聞いた事ありま…せんね」

「だよな」



「マリーという女が大事なのか」



「マリー…マリーという女が大切な女なのか?」

「大切そうに語っていましたよ」

「ふむ…面白い」

「どうします?」

「まだ…そのままでいい」

「えっ」

執事の格好をした男は不満そうに声を漏らした

「何だ?」

王冠を被った男は傲慢に聞きかえす

「いえなんでも」

「そうか…影3(ジェン)」

『影』が出てくる

「はっ!」

「お前も忍びこめ…我が弟の家に」

「行動は起こしますか?」

「おこすな」

「わかりました」

『影』は皇帝の横にいるもう1人の『影』の方へ勝ち誇った笑みを浮かべる

「影3(ジェン)は本当に影1(ダン)が好きだな」

影は1が1番強く、1番弱いのは102番

影のトップは主の護衛が仕事だ

「影3…ミスをしたら許さない」

影1は暗い瞳を向ける

「貴様に言われたくはない…影1」

「影3…口が過ぎる黙れ」

「そうだ…隠していた執事表…あそこにこいつと怪しまれないため他の新人を入れろ」

「はい」

「じゃあこれで解散だ」



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