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第2章
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(ミカエル様…とても強かった…)
時刻は日付が変わる少し前。魔物を倒した後村に戻ると、ルネとミカエルはレントに村の空き家に案内された。
「空き家と言っても、先日まで人が住んでいましたのできれいだと思います。何か気になったことがあったら言ってください。必要なものがあれば用意しますから。とりあえず何泊か出来るくらいの食料とか道具とかは揃えてあります」
「ありがとうございます」
ルネが笑顔でそう言い頭を下げると、レントは申し訳なさそうに頭をかく。
「いえ、こちらこそ。もう魔物を倒されたなんて、お強いのですね?」
「え?あ、いえ、倒したのはミカエル様で、私は見ていただけですから」
「おふたりは一緒に戦ったりするパートナーなのでは?」
「違います。私は、その、あまり魔法が強くないので」
「そうなのですか?では、あなたはミカエルさん専用の救護役とかですか?」
「い、いえ」
レントの問いかけに、ルネは嫌な雰囲気を感じ取って胸の前で手を組んだ。
「では、ルネさんはミカエルさんの護衛対象とかですか?」
「…今は、そんなところです」
「今は?というと?」
「それは…」
「あ、すみません。立ち入りすぎましたね。謝ります」
「いいえ。大丈夫です」
「それにしても、ミカエルさん、かなり上級の魔法使いなのではないですか?私も実際ホーンベアを見ましたが、かなり大きくて、何よりあの長い手が厄介だったのを覚えています」
「そうですね。ミカエル様は、すごく強い猫さんです」
ルネが花のような笑顔でそう言うと、レントはその隣で顔を赤くした。
ルネの見た目は変えているが、顔の作りは変えていない。大きな瞳も形のいい鼻と、小さな口も、それが完璧におさまっている、まるで人形のような面をしているのだ。
「あの、ルネさんはどこかのお嬢様とかですか?」
「え?どうしてですか?」
「いえ、言葉遣いとか、仕草とかでなんとなくそうかなと…」
ルネはどう返してよいか迷って、押し黙る。レントは慌てた。
「あ、いや、答えたくないならいいんです!ほんとに!すみません、聞きすぎてしまって」
「いいえこちらこそ。あの、ミカエル様はどちらですか?」
「え?ミカエルさんですか?あの猫なら村の外を一周してくるとかで、行っちゃいましたけど」
「そうですか…」
途端に不安になる。
(ミカエル様が近くにいない。手の届く範囲にいろって言っていたのに)
「ルネさん?」
「いいえ、何でもないです」
笑顔を取り繕って、ルネはレントと別れた。
用意された部屋は思ったよりも綺麗で、ルネは掃除の必要は無さそうねと嘆息をこぼす。キッチンには何種類かの野菜や肉、魚、果物まであった。ルネはミカエルに教えてもらったばかりの料理を始めた。
ミカエルは料理はあまりしないほうだと言っていたが、任務で野営をすることもあるらしく、簡単なスープや焼き物なら出来ると言って、教えてくれたのだ。
「料理、ミカエル様の為にちゃんと研究しようかしら。私に出来るのなんてそれくらいだし」
野菜を洗いながら、ルネはレントとの会話を思い出す。
(私はミカエル様にとってお荷物でしかないのよね。それに、貴族だって見る人が見たらすぐに分かってしまうし、私も魔法をちゃんと強くして、ミカエル様と一緒に旅をして、自信をつけるのよ。そうしたら、きっと今のこの不安定な感情も、あの家のこともなんとも思わない日が来る。私は絶対戻らない。あの人達から逃げ続ける。捕まえられないくらい強くなってみせる)
ルネの瞳の色が段々と暗くなっていく。それはルネの心を表すように、揺らめいていた。
時刻は日付が変わる少し前。魔物を倒した後村に戻ると、ルネとミカエルはレントに村の空き家に案内された。
「空き家と言っても、先日まで人が住んでいましたのできれいだと思います。何か気になったことがあったら言ってください。必要なものがあれば用意しますから。とりあえず何泊か出来るくらいの食料とか道具とかは揃えてあります」
「ありがとうございます」
ルネが笑顔でそう言い頭を下げると、レントは申し訳なさそうに頭をかく。
「いえ、こちらこそ。もう魔物を倒されたなんて、お強いのですね?」
「え?あ、いえ、倒したのはミカエル様で、私は見ていただけですから」
「おふたりは一緒に戦ったりするパートナーなのでは?」
「違います。私は、その、あまり魔法が強くないので」
「そうなのですか?では、あなたはミカエルさん専用の救護役とかですか?」
「い、いえ」
レントの問いかけに、ルネは嫌な雰囲気を感じ取って胸の前で手を組んだ。
「では、ルネさんはミカエルさんの護衛対象とかですか?」
「…今は、そんなところです」
「今は?というと?」
「それは…」
「あ、すみません。立ち入りすぎましたね。謝ります」
「いいえ。大丈夫です」
「それにしても、ミカエルさん、かなり上級の魔法使いなのではないですか?私も実際ホーンベアを見ましたが、かなり大きくて、何よりあの長い手が厄介だったのを覚えています」
「そうですね。ミカエル様は、すごく強い猫さんです」
ルネが花のような笑顔でそう言うと、レントはその隣で顔を赤くした。
ルネの見た目は変えているが、顔の作りは変えていない。大きな瞳も形のいい鼻と、小さな口も、それが完璧におさまっている、まるで人形のような面をしているのだ。
「あの、ルネさんはどこかのお嬢様とかですか?」
「え?どうしてですか?」
「いえ、言葉遣いとか、仕草とかでなんとなくそうかなと…」
ルネはどう返してよいか迷って、押し黙る。レントは慌てた。
「あ、いや、答えたくないならいいんです!ほんとに!すみません、聞きすぎてしまって」
「いいえこちらこそ。あの、ミカエル様はどちらですか?」
「え?ミカエルさんですか?あの猫なら村の外を一周してくるとかで、行っちゃいましたけど」
「そうですか…」
途端に不安になる。
(ミカエル様が近くにいない。手の届く範囲にいろって言っていたのに)
「ルネさん?」
「いいえ、何でもないです」
笑顔を取り繕って、ルネはレントと別れた。
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(私はミカエル様にとってお荷物でしかないのよね。それに、貴族だって見る人が見たらすぐに分かってしまうし、私も魔法をちゃんと強くして、ミカエル様と一緒に旅をして、自信をつけるのよ。そうしたら、きっと今のこの不安定な感情も、あの家のこともなんとも思わない日が来る。私は絶対戻らない。あの人達から逃げ続ける。捕まえられないくらい強くなってみせる)
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