対人恐怖症は異世界でも下を向きがち

終末のダンジョン

邪な神様を感じる

僕達はついに悲願とも言えるストーカーの撃退に成功した。思いっきり今までの感情をぶちまけたけどかろうじで生きてはいる。
もうこれに懲りて反省もしくは関わってこない事をお祈りしとこう。

僕ら３人想いは一緒なのか仲良く手を合わせ、倒れたストーカーさん達に黙祷。


「クゥー！」

我らのお姫様の元気いっぱいの声。その声のトーンでもう理解出来る。振り向けば、片方の前足をズビシと高らかに掲げて自慢げに鼻を鳴らしていた。

石版パズルの解除に成功したようだ。

早速、閉じられていた蓋の所まで皆で移動。ようやくユーリル大森林にいるうさぎさんと再会出来るそう思うと涙がホロリ。
頑張ったチビうささんの頭をひとしきり撫で終えて、いよいよ開封。



開けてみるとそこには拳大の石が入っていた。これがおそらく転移石。大層な箱に入ってた割に小さい。でも、その価値は計り知れないんだろうな。
丁寧に保管されたその石に手を伸ばした時、突然扉が開かれた。撃退出来た喜びで近付いて来ていた気配に気付かなかった。


僕等はすぐに警戒して開けられた扉の方を向く。
現れたのは改心したと思うミストリア女王のイザベラさんにクロウさんの元嫁のロアナさん。
まさか結局諦めきれず襲いに来たの？


「待つのだ！わらわ達はこやつらを止めに来ただけなのだ！」

「そうです。信じてとは言いません。これらを連れてすぐに帰ります。」

警戒する僕らに慌てたように弁明してくる。彼女達の目は以前と比べて正常みたい。ヴァルさん達と頷き合って警戒心を緩めた。
有言実行するように回収しようとした時だった。

でも、倒したストーカー達に異変が起き始めた。明らかに危険な黒い煙が変態達に纏わり付いてゆく。
ありえない事態は続く。確実にララお姉ちゃん達の意識を狩ったのにゆっくりとでも確実に起き上がってきた。

その目は変わらず虚ろながら真っ赤に充血していた。現実は映画や小説以上にホラー。
さっきまで以上に感じる絶望感。強さの桁が変わった。


そんな状況下で目に留まってしまったもの。
ロアナさんが手に持つ像。
ダンジョン前から何度も見かけた神様像。
優しく微笑んでいた像は裂けんばかりにニンマリと妖しく笑っていた。


あれが間違いなく犯人だ。