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終末のダンジョン
リク話 僕のトラウマ 後
しおりを挟む僕の私物を盗んでいた人物は、僕が誰よりも信頼していた親友でした。
でも、何かの間違いだとその時は思った。大方、僕のノートを使って宿題を終わらせたいとかそんな理由で漁ってたんだと思う。
明日、あいつに問い詰めてやろう。素直に貸してって言ってくれれれば貸すのに。
次の日。
いつになく表情の暗い親友がいた。
さっそく聞いてみる。
「ねぇ、どうして昨日僕の机漁ってたの?宿題とかあったっけ?」
「……………。」
彼は無言を貫く。
いつもと違う親友の面持ちが少し怖く感じる。
「ね、ねぇどうしたの?僕、別に勝手に持っていったこと怒ってないよ。でも、返してくれると助かるな。」
「…………ごめん。」
「だから怒ってないよ。宿題やり忘れてたんなら、一緒にやる?」
「ごめん、そうじゃないんだ。俺は宿題の為にお前のノートを取った訳じゃない。」
?
「え、えーとじゃあどうして?」
「………頼まれたから盗んだ。」
親友の意味不明な独白に呆気にとられた。
「もうなんで言うのかしら、使えないわね。ふーお父様に言っちゃおうかしら。うちで働かせてあげてる貴方のお父様が怒られちゃうかもね、ふふ。」
タイミングを合わせたかのように教室の扉が開き、苦手な幼馴染が入ってきた。
親友を見つめる彼女の瞳はどこまでも冷めて感情が乗っていない。
「ま、待ってくれ!今までちゃんと渡してたじゃないか!」
渡す?
誰の何を?
「バレたら駄目でしょう、お馬鹿さん。」
「た、頼むよ…。俺ら家族の生活を奪わないでくれ。」
「うーんどうしよっかなー。ふふ、奪われたくない今までの日常を?」
「あぁ、頼むから…。」
彼女の瞳が愉快に笑う。
僕は二人のやり取りを理解出来ぬまま聞くしかない。
すると、彼女は親友を手招きする。
大人しく言う事を聞く彼の耳元に近寄り囁いた。
何を囁いているか聞こえないけど、囁き終えた後、親友だった彼は僕を一度見た。
とても苦しげで悲しそう。どうしてそんな表情を僕に向けるの?
その疑問に彼は二度と答えてくれることは無くなった。
「………ごめんな。」
その絞り出したような小さな呟きは僕に届くことは無かった。
そして、その日から親友は親友でなくなり、クラスメイト達と同様に無視する様になった。
代わりに幼馴染の彼女があからさまにまとわりつくようになった。
「一人ぼっちになって可哀想なコータ。大丈夫だよ、私がいるから。コータは私だけを見てれば良いんだよ。貴方の世界に居ていいのはわたしだけ。」
毎日毎日呪縛のように語りかけられた僕が学校に行かなくなるのももう時間の問題。
人が怖い。
彼と目が合った最後の日からもう怖い。人の目が怖くなったんだ。
それが僕のトラウマ。
とても小学生の会話とは思えなくてドン引きです。
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