対人恐怖症は異世界でも下を向きがち

終末のダンジョン

絶望が愛を叫ぶ

チビうささんがパズルを解くまであと少し。
けれども、恐怖は待ってくれない。
待ってと言って待ってくれる人達じゃない。
よく見ると、ララお姉ちゃんだけでなく今まで出会った怪物さん達も居た。ヴァルさん達がふるふるとトラウマを再燃させてしまうから勘弁して欲しいです。

「やっと会えましたね、コータくん。」

「ラ…ララお姉ちゃんどうしてここに？」

分かってても聞かずにはいられない。

「もちろんそんなの決まってます。愛するコータさんに会う為です！」

ニコリと微笑む姿は思わず見惚れる………訳がない怖い怖いです。
どこの世界に好きだからって国を出てダンジョンの最奥までやって来る人がいるの。
ここにうじゃうじゃ居るけど。


恐怖が心を壊していく。
でも、僕には仲間がいる。だから、今度こそトラウマを越えてみせる。

怯えた瞳に少しずつ闘気を燃やしていく。
神様にも言ってみせた様にララお姉ちゃんにだって言ってやる。

「ぼ、僕はあ、あ…………っ、会いたくなかったです！もううんざりです！僕に関わらないで下さいどうかお願いします！」

僕なりに結構強気に懇切丁寧にお願いしてみた。
あれ一瞬、ララお姉ちゃんの瞳から光が消えたような。

「コータくん…私にはコータくんが何を言っているのか分かりません。あんなに愛し合ったのに（魔物を討伐しあったのに）、意味が分かりません。」

全く見に覚えのない愛。
この世界は神様を含めて思い込みが激しい。

「僕は平穏にゆっくりと生きたかっただけなのに…。め、迷惑です！き、き、き…嫌いです！」

唇が物凄く震えた。ついでに膝も。
目の前の怪物に対して明確に拒絶を示せた。
横で見ていたクロウさんやヴァルさんから尊敬の眼差しを貰った。

そして、ララお姉ちゃんは。

「…………………嘘です。そんなことコータくんは言いません。貴方は何か幻術にでも掛かっているのです。そうです、今私が救ってみせます。ワタシガアナタノメヲサマシマス。」

あ、完全に瞳から光が消失した。
沢山の男性冒険者さんを怯えさせた怪物がついに僕へと牙を向けてきた。
本当に僕の目を覚ますだけのオーラには見えない。頑張って殺されないように倒そう。


それぞれがそれぞれの愛しき人とドラゴンと対峙する。