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終末のダンジョン
それを無視していざ中へ
しおりを挟むヴァルさん達と西へ進むこと数日、おそらくお目当てのダンジョンまで辿り着いたと思う。
断定しづらいのは、妖精王さんが言ってた像が一つではなく二つあったから。
一つは長方形でなんか古い文字が彫られている。
そしてもう一つが神様を模した石像。ただ僕の知っている神様よりも何と言うか上半身のとある部分がやたらと突出し美化されていた。両手で手紙のような物を持っている。
「なぁ、あれってフィルロード神の像か?聖国の大聖堂で見掛けたのにそっくりだ。このダンジョンと関係あるのか?」
「ど、どうなんですかね…。」
「なにか紙を持っているみたいだ、俺が取ろう。」
そう言うとクロウさんは神様(理想)像に近付き、両手に挟まれた手紙を抜こうとした。
けれど、どんなに引っ張っても外す事が出来ない。
さっきから着信コールのように事典がうるさいからきっと僕が読まないと駄目なんだろうなぁ。
「ぐうぅ…はぁ、全然外せねぇ。」
「…………次は僕がやってみましょう。」
選手交代。
クロウさんと入れ替わるように神様(願望)像に近寄る。
そして何の抵抗も無く抜き取った、ですよね。
「おぉ、やっぱりコータは俺より力があるなぁ。」
「は、ははは…。」
感心に力無い笑いで返し、手紙を開く。
拝啓、愛しき私の旦那様へ。
プリチィーでキュートな可憐美少女の神様はずっと待ってました。
なのに、あなたったら全然来てくれないですねー。忘れてませんよね、妻とのお・や・く・そ・く。そうです、無抵抗膝枕権です!ずっと24時間全裸体制で待機していたのに来ないなんて酷いですよー。でもでも、深窓の令嬢風美少女は許します。その像の前でお祈りすれば全裸待機する私の前までやって来れます。さぁ、さぁさぁさぁ!
……………忘れてた。
僕は全部読み終わり、手紙をそっと元の位置に戻す。
「なぁ、なんて書いてあったんだ?」
「え、えーあの古代の文字で書かれていたのでその…読めなかったです。」
「そっか、だったら仕方ないな。」
「は、はい仕方ないです。」
しどろもどろに誤魔化す。
「よし、時間が惜しい。とっととダンジョンに挑みますか!」
「あ、はい!」
神様ごめんなさい。
全裸の貴方に会いたくありません。とても怖いです。
僕は像から視線を外しつつ、進み始めたクロウさん達の後をついていく。
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