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終末のダンジョン
王ちゃんのお悩み相談室2
しおりを挟むついされるがままに抱擁された僕。
すぐにびっくりして慌ててしまう。
けど、神様相手みたいに恐怖も震えもない。
むしろ受け入れてしまう自分がいる。
妖精さんなのに人肌のような温もりを感じて心地よい。
「お主はよく頑張っておる。じゃが、一人で抱え込みすぎじゃ。周りに心配掛けたくない気持ちも分かる。お主はバカを付けたくなるほど優しいからのう。」
抱きつかれるがままだから表情が読めない。
でも、耳へと伝わる一つ一つの言葉が僕の心へ染み渡っていく。
「でも、今はこんな状況だから…。皆に不安を与えたくないんです。」
「ふ、このたわけ…。」
全く悪意の感じない罵倒。
「お主はまだ本当の友や仲間というものを分かっとらん。こんな状況?不安を与えたくない?何を言っとるか。友とは愚痴を言い合ったり時には馬鹿をやったり、そしてお互いに助け合う。それが友ってやつじゃろう?」
「で、でも…。」
抱擁が終わったと思えば、両頬をむぎゅと押さえられる。
「でももへったくれもない。儂が言いたいのはのぅもっと愚痴を吐け。嫌いなやつの悪口でも言え。そして………もっと儂らを頼ってくれ。」
妖精王さんは僕以上に辛そうな表情で伝えてきた。
上手く言葉が出ない。
だって仕方がない。
友達なんてこの世界に来る前は小学校の時に少しの間だけだった。
ほぼ経験値ゼロの僕がどう接すれば良い?
分からなくて人が怖くなっていった僕に何が出来る。何がある。
「お主は自分が思っとるよりも何でも出来るぞ。お主は行動を起こせる勇気がある。お主は友を労り慈しむ心がある。お主は友の心に寄り添いそっと手を添える優しさがある。どうじゃ、お主にはいっぱいあるじゃろ?」
両頬から手を離し人差し指を向けてニカッと笑う。
沢山褒められて嬉しいはずなのに瞳から涙が制止してくれない。
僕は止まらない涙を隠すように俯く。
「ほれ、少しは愚痴りやすくなったかのう。吐いてみい、目の前の友達にな。」
「………うん。」
僕は俯いたまま溜まった全てを吐き出すために口を開く。
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