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魔法国家ミストリア
土下座のち帰宅
しおりを挟む僕等の目の前で潔く土下座する岩竜さん。
その頭をポフポフと踏むチビうささん。
どうしてこうなったかといえば、至って単純。
何でもスパスパ切っちゃうサバイバルナイフで岩竜さんの両翼を断ち切ったから。
どんなに痛みに喜びを求める方でも死の危険を感じたらちゃんと負けてくれるんだ。
「グリースト、お前にしてはあっさりと降伏したのである。」
「いや、あの子可愛い顔して容赦ないですよ。翼を切り落とした後も表情一つ変えず次はどこ切ればいいかなって顔してましたし。」
「あー吾輩の友は対人以外では無敵である。人でないお前に怖がる要素なぞないからな。」
「イザベラ様以外で初めて怖いと思いましたよ。」
二匹でなにをこそこそ話しているんだろう。
あれだけ啖呵を切りあっていたのに仲が良さそう。やっぱり同種族同士だからかな。全部切らなくて良かった。
「ヴァルさん、もうお友達とのお話は終わったの?」
「「友達ではないのである(です)!!」」
やっぱり仲良しに見えるけど。
「えっとグリーストさんはまだヴァルさんを捕まえるつもりですか?」
「い、いえとても捕まえられると思えないので諦めます。」
「それでいいのである。で、どうして吾輩達がここに来ると分かった?よもや冒険ギルドにも手が回っておるのか?」
そうそこ気になる。
でも、あの時ギルド内にそんな雰囲気はなかった。
「いえそもそもそちらが自らやって来たのではないですか。」
「ん?」
「え?」
ここからお互いの見解の違いを確認する。
確認して分かったこと。
・グリーストさんは女王さんからヴァルさん捕獲包囲網の為ここに待機するように命じられていた。
・でもそれは約100年ほど前の話。その頃にはヴァルさんは森に引きこもっていた。
・引きこもり脱却したヴァルさん御一行と偶々鉢合わせした形となって現在に至る。
結局のところ、依頼を受けていなければ出会うことも無かったと。
なんとも運が悪い。
やっぱり呪われているのかもしれない。
過ぎたことはしょうがない。
問題はこの後だ。
「グリーストさんは今日のことをイザベラさんに伝えますか?」
「それは勿論伝えま‥せん!ですから、そのナイフをちらつかさないでくださいますか。」
あ、収めるの忘れてた。
でも、結果的に黙っててくれるらしい。
「あ、ありがとうございます。」
「うむ、良い心掛けである。」
「いえお礼など‥。この汚いお尻を蹴って頂くだけで十分です。はい、ありがとうございます!」
チビうささんが飛び前足蹴りをかました。
このドラゴンさん死にかけたのにブレない。
すごく変態さんなんですね。
最後まで土下座ではぁはぁする変態竜さんとお別れした。
このままバレずに済めばいいな。
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