上 下
146 / 218
魔法国家ミストリア

長生きな女王様

しおりを挟む

やや閑散気味のギルド。
高難度以外は護衛ばかりなら仕方ない。
僕らは多少難易度高くても問題ないけど新人の冒険者達には厳しい環境だ。
僕のカードに驚いていた受付さんにびくびく聞いてみる。

「あ、あのどうして依頼がご護衛以外難しいのしか無いんですか?」

恐る恐る聞いた質問に受付さんは大きくため息を吐く。
聞いたら不味いことかな?

「この国の魔法師団が優秀なんです。あの女王様の指揮下でこの王都周辺の魔物を掃討するので、魔物がほとんど現れないのです。」

「じょ、女王様?」

「ああ別の地からの方でしたね。この国の女王様は生ける伝説と呼ばれるくらい凄い御方ですよ。ただ謎の多い人ですけどね。何百年も生きてるとか、いつ見ても容貌が変わらないとか。一つの魔法で街を壊滅出来るなど数え出したらきりが無いです。」


それは本当に人間?

「そその人はエルフさんですか?」

「いいえ、見た目は人間ですよ。でも、吸血鬼かもって噂はありますね。」

どんな人なんだろう?
遠くからで良いからチラッとだけ見てみたいな、がっつり会いたくはないけど。

「その女王様の名前はな何て言うんですか?」

「イザベラ様です。気高くて
強い同じ女性として尊敬致しております。」

へぇ、イザベラさんかぁ。
すると、僕の頭がガクガクと震えた。ヴァルさんが小刻みに震え怯えている。

様子がおかしい。
僕は説明してくれた受付さんにお礼を言って急いで一旦宿屋に戻る。
ちゃんと依頼は忘れず受けてきたよ。


宿屋に戻り、ずっと怯え続けるヴァルさんをベッドの上にそっと置く。
心配するチビうささんと一緒に落ち着いてくれるまで撫で続ける。


およそ30分後、まだブルブルするものの焦点が合ってきたヴァルさんに話し掛ける。


「ヴァルさん、どうしたの?体調悪いの?何かあったの?」

「す、すまぬ…。我輩の知り合いの名に似てて怖くなったのである。」

「イザベラ?」

「ひぃっ!そ、そうである。偶然だと思うが、彼奴はしつこかったのである。」

ヴァルさんが言うには何年何十年としつこく迫ってきた雌ドラゴンの名前と一緒らしい。
それでトラウマが蘇ったとのこと。

「ヴァルさん、でもこの国の女王様は人間の姿だよ。だ、大丈夫だよ。」

「ドラゴンは人化も出来る。じゃが、悲観してばかりはおれん。き、気のせいと思い込むのである!」

「そ、そうその意気だよ!」

「「はっはっは……はぁ。」」

偶然と信じたい気持ちと裏腹にため息が漏れる。
もし万が一仮に女王様がヴァルさんを狙ってた雌ドラゴンさんでもそうそう会うことはないはず。
相手は女王、こっちはしがない冒険者。


そうそう会うことは無いはず。……そうであれ。


しおりを挟む
感想 333

あなたにおすすめの小説

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

俺は善人にはなれない

気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

転生令嬢は現状を語る。

みなせ
ファンタジー
目が覚めたら悪役令嬢でした。 よくある話だけど、 私の話を聞いてほしい。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

処理中です...