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おいでませ妖精の里

神様の正座

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天に人差し指を向けてババーンと神様登場。

僕というターゲットを捕捉してダイブをしてくる。
僕は小さな悲鳴を上げて思わず妖精王さんの後ろに隠れてしまう。
妖精たる小柄な体格なのについ頼ってしまう。


ズザザザと顔面からスライディングをしたにも関わらず、傷一つなく起き上がりまた両手をワキワキしながら妖精王さんの後ろに目を光らせる。


もう一度僕目掛けてロケットダイブ。
飛びかかってくる神様の皮を被った獣に恐怖のあまり目を閉じてしまう。
でも、今度も僕に届くことは無かった。


妖精王さんが頭から突っ込んできた神様を頭ごと鷲掴みして止めてくれたから。
少女体型の神様とはいえ片手で受け止めるなんて妖精王の名は伊達じゃない。

大きな溜息と一緒にその掴む手に力が入っていくのが分かる。
だって、神様の頭から尋常じゃないベキゴキと軋めき音が聴こえているもの。

「い、痛いです!王ちゃん痛いですよー。知ってる?私神様ですよー!」

「はあ、お主は毎度毎度騒がしい。神様なのは知っておる。じゃが、この者を怯えさせて良い理由にはならん。あと、王ちゃん言うな!」


あの神様相手に一切引けを取ることなく対応している。片手に込める力も手加減している様子も無い。
流石は女神様。

「ちょっ、コータさん女神というなら私ですよー!‥って王ちゃんいい加減に離してくださいよ、痛いです。」

「だ・か・ら、王ちゃんと呼ぶなと言っておろうがっ!!」

轟く雷鳴のような怒号と共に神様の頭が今までのゴキゴキ音からコリンと小気味の良い音が虚しく響いた。
妖精王さんはパッと離すとそれはうつ伏せのまま動くことは無かった。

「こ、コータさん。神様をそれって流石にひどいで‥すよーバタリ。」

普通に生きていた。
嘘くさい演技で地面に倒れ臥す。

「そもそも此奴はこんなでも神様じゃ。痛みなど感じておらんだろうに。」

「まあそうなんですけどね。でも、なかなか頭への圧迫感は心に来ますよー。」


ガバリと何事も無く起き上がる。
けど、妖精王さんが足払いでそれを阻む。

ぶへぇと神様らしからぬ奇声を上げながらまた倒れる。

「王ちゃん、なんで‥」

「誰が立ち上がって良いと言った。正座せい正座を。まだ反省が足りとらん。あと、王ちゃん言うな。」

「は、はい。」


神様なのに大人しく正座をする。
それだけ妖精王さんの威圧は凄まじい。
僕もヴァルさんもちょっと震えているもん。



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