対人恐怖症は異世界でも下を向きがち

おいでませ妖精の里

国境前で一休み

国境近くの町までやってきた。
今まで訪れた場所に比べれば小規模な町だけど、のどかそうな所だね。人通りが少ないけれどお店同士仲良く談笑したりと、住人みんなが一丸となって楽しく暮らしていることがよく分かる。


今日はこの町で一晩過ごして、明日境界を越えよう。
ユーリルからここまで野宿生活だったから久しぶりの宿泊にちょっと気分が高まっている。
これまでに比べて人が少ないから結構心にゆとりが出来ているのかな。
思ったよりもびくびくすることが無い。ちゃんと僕も成長を遂げているんだね。


まだお昼前なので冒険者ギルドで何か簡単な依頼でもこなして行こう。
もちろん、サイデルや王都よりは小さいけどちゃんとギルドは存在している。

中に入ると、僕ぐらいの年齢の子がギルドに来るのは少し珍しいのか多くの視線を貰いました。
成長はしたけどやっぱり下を向かせて頂きます。
恐る恐る掲示板を確認する。

高クラス向けの依頼は全く無い。
うん、この町の様子じゃある訳ないか。
とりあえずこのオーク討伐をやろう。


受付のおばさんに依頼の受領を済ます。
僕がオーク討伐に行く事を凄い心配されたけど、ギルドカードを提示したら呆気にとられた顔で二度見どころか三度見されてようやく納得してくれた。
高クラスなので大丈夫ですって何度も言っても全然信じてくれなかった、ひどいよ。

そんなに僕はひ弱に見えるかな。

結局、納得してくれてもギルドを出る最後まで心配する声をかけてくれた。


町を出てオーク探し。
この平原のどこかにいるらしい。
索敵の魔法でちゃっちゃと終わらせましょう。
三つほど反応がある。全部オーク。
一体倒せば完了のお仕事だけど、過剰に倒しても問題無い。

近くまで近づくと、どうやら三体仲良く行動しているみたい。
僕としては手間がかからず助かります。

ヴァルさんが頭の上から手伝おうかと顔を覗いてくるけど、僕は大丈夫だと伝える。
僕は魔物との戦いでは今のところ困った事が起きたこと無いからね。

宣言通りサバイバルナイフでサクサクと終わらす。


他にも近くにモウウルフも居たので、旅の食材の足しとして討伐していく。
倒し過ぎたら、この町の冒険者さん達の仕事を無くすからほどほどにしとこう。


依頼を終えて町に戻る。
ギルドに入る僕を見つけた受付のおばさんがホッと安心したように息を吐いている。
いくら言ってもこんな子供では心配を拭えなかったみたい。


そして、過剰に倒したオークにまた驚くおばさんから報酬金を受け取り宿屋に帰る。
食事を終えてもうお休み。
野宿以外では久しぶりのうさぎの着ぐるみを着て就寝。


サイデルや王都で活動していた時に感じた視線や気配は、ここ最近一切感じることが無かった。
お陰でゆっくり眠ることが出来ました。