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闘技大会と‥

小話 クロウのその後

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俺はクロウ。オルスタル帝国でも随一の冒険者‥だった。
そうもう冒険者は引退だ。
何故かって?
冒険者とは自由に各地で依頼をこなす職業だ。
そんな自由はもう俺には無いからな。

あの闘技大会で本妻になってしまったエルザ王女に負けたからだ。
数年前までの稽古中に行なった試合では俺が勝っていた。だから、いけると思ったのにまさかあれほどの成長を遂げているとはな。

俺は戦況を見余った愚かな敗者。
大会終了から婚姻の証として首に付けられた首輪。それに繋がれた鎖の先に大きな鉄球が備え付けられている。
俺の婚約者達の誰かが戻ってくれば鉄球を外される。その代わり鎖は握られるけどな。

まるで奴隷。
衣食住全てを彼女達の監視下に置かれて俺は何も出来ない。何かをする資格を奪われたからな。
唯一出来ることは、彼女達の相手をすることだけだ。
今も大人しくエルザ王女が用意した愛の籠。要は彼女達と暮らしているお屋敷だ。

冒険者時代の俺では高額な依頼を何十件も受けないと無理な物件。
こんな所に住めるのはある意味幸せかもな。


はは、涙が止まらない。これが幸福から来るものなのか分からない。

涙は俺の残された自由の一つだ。
黙って流させてくれ。



そういえば、俺が冒険時代最後に出会えたあいつは大丈夫だろうか。
俺の境遇と同じことを味わい、俺の為に泣いてくれた友。
あいつは俺よりも気弱そうだ。
もしかしたら既に俺と同じように自由を剥奪されているかもしれない。


あいつに希望を残してやれなかった、それだけが無念だ。

どうか逃げて逃げてお前の平穏を手に入れて欲しい。
俺はこの牢獄でお前の幸せを願っている。



「あなた、このエルザ帰ってまいりましたわ。途中でサフィともお会いしましたの、さあ3人で語り合いましょう。」

「あぁ‥」


俺は鎖を引っ張られて強制的に妻達を出迎える。
外は美人美少女、中身は魔王悪魔の類。

そんな彼女達と今日も愛の語らい。
鎖を持たれて妻達と居間に向かう。



コータ、元気でやれよ‥

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