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忍ばない包囲網

姫さまとヴァルさん

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ヴァルさんが姫さまの誘いを断ってくれるらしい。
多分、また威圧をかけて脅かすつもりだね。ヴァルさんは学ばない。

「ヴァヴァー!ヴァルルル(吾輩の凄まじい迫力に恐れ慄くがいいわ!)」


残念、姫さまをちらりと見たけどキラキラ目を輝かせてたよ。

「まあ、なんと勇猛な出で立ちでしょうか。小さなお体からは計り知れぬ偉大さを感じますわ。」

「ヴァル?ヴァルルヴァル(ほう?なかなか言うではないか小娘よ)」

あーあ、顔が緩くなり始めちゃった。

「その翼も細部まで綺麗に手入れをされていて凛々しいですわ」

「ヴァヴァル?ヴァルルヴァル(わかる?見所あるではないかもっと褒めるがよい)」

「まぁ、じっくりと拝見させて頂けるなんてとてもチョロ‥こほん、素敵なお方ですね。」

「ヴァーヴァヴァヴァ!(わーはっはっは)」


ヴァルさん陥落。
だらしなく緩みきった終焉の黒炎竜さん。
姫さまのニヤリと微笑む姿が見えてないようです。

僕の頭の上のチビうささんは女騎士さんに気持ちよさそうに撫でられている。

すでに退路は断たれていたんだね。


いつかのように連行されるがまま馬車へ。
姫さまなんだからせめて隣に座るのはやめてほしいです。

「私今は、友人のお屋敷に泊まっていますの。そこでお茶に致しましょう。」

「え?そそのご友人にご迷惑では‥」

「いえいえ、問題ないと思います。大いに喜んでいただけるはずですから。(むしろ感謝されるでしょうね)」


お屋敷かぁ。
姫さまの友人だし貴族だよね。でも、その友達と話が夢中になって僕を放置してくれるかもしれない。
僅かな希望に賭けよう。


馬車に揺られてようやく到着。
ちなみにヴァルさんは姫さまの膝の上で撫でられるがままになっていました。


やっぱり貴族のお屋敷だ。
僕の泊まっている宿屋の何倍もの大きさ。圧倒される。

馬車を降りて門まで向かう途中、遠くからこちらを騎士風のお兄さんが見ている。でもすぐに走って屋敷の裏の方に行ってしまった。

どこか見覚えあるなぁ‥


でも、そんな考え事はすぐに吹き飛んだ。
唐突に姫さまが腕を組んできた。仲直りも兼ねてですと言葉を重ねて。

もうパニック。

ど、どうにゃるんだろぅ‥



そういえば、ララお姉ちゃんですがゴートンさんが最近の行動が目に余るということでしばらく謹慎にしたそうです。
足を震わしながら教えてくれました。
相当な勇気が必要だったんですね。

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