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忍ばない包囲網

姫さまは交渉人2

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僕に依頼を指名してきたのは、家族ぐるみで婚姻を迫ってきた姫さまでした。

あの日の記憶が鳥肌を通して教えてくれてたんだ。

「コータ様、そんなに怯えないでください。あの時は助けられた喜びで舞い上がっておりました。私達家族全員で深く反省いたしました。誠に申し訳ございません。」

真剣な面持ちで謝罪してくる。
一国のお姫さまなのに僕やゴートンさんの目の前で頭を下げるなんて、反省の本気具合が分かる。

「い、いえ分かってくれたなら、だ大丈夫です。あ、あの僕はもう普通に王都を訪れても大丈夫でしょうか?」

僕はあの日追われてると思い、すぐに王都から脱出した。
謝ってくれたってことは大丈夫だよね?

「はい、もちろんです。こちらの手違いでしたので何の問題もございません。」

「そうですそうです!姫様の言う通りだ!」

良かった、やっとまともな王都観光出来る。


「それでは本題に行かせていただきます。コータ様に二つお願いがございます。」

いよいよ依頼の話だ。
よ、よし断るぞ‥。

「あ、あの指名依頼の事なんですが、こ、断らせていた‥」

「コータ様‥そうですよね。あんな事をしでかしたんです。嫌われていて当然ですね。この依頼を通じて仲直りが出来ればとうぅ‥うぅ。」


姫さまは両手で顔を隠し、悲痛に泣き声を漏らす。
僕の頭はレッツパニック。
な、泣かせるつもりなかったのに、どどうしよう‥

ゴートンさんは後は若いもん同士でと途中退席したし。
女騎士さんは僕と同じようにオロオロしている。

「あ、あのー泣かないでください。い依頼を聞いてから答えを出しますので。頭ごなしに断ろうとしてすみませんでした。」


「うぅ‥ひぐっ‥ありがとうございます。一つ目の依頼は王都までの護衛をお願いしたいと思っております。行きで同行して頂いた冒険者の方々はサイデルにこのまま滞在するそうですので、ぜひ同い年のコータ様に帰りの護衛をお任せしたいです。仲直りなども兼ねております。」

「は、はい。」

泣き止んでもらえたみたい。
途中からスラスラと説明してくれる。

「そして、二つ目ですが王都で開かれる闘技大会に出て頂きたいのです。各国から選出された者達でトーナメント式に戦います。」

「え、なんで僕が?」

当然の疑問。

「私達の知る限り優勝出来る可能性が一番高いからです。あと、他の候補にしていた方達は放浪癖のある方ばかりで連絡がつかないのです。ここに、まだコータ様がいらっしゃると聞いてお願いに参ったのです。」

い、嫌だ‥

「はっきり言えば国の面子のためという一面もございます。このような事に巻き込もうとして申し訳ございません。ですが、私は姫としてこの国の為に動かなければなりません。」

真剣な雰囲気がしっかりと伝わってくる。
でも、こ断ろう。
護衛までならいけると思ったけど闘技大会は無理でしゅ。

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