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楽しい旅行3

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王都入る前からグロテスク。
ゆっくりほのぼのが無さ過ぎる。
恐怖に慄く人々の視線を一身に浴びて無事王都内部へ。
行列で起きた惨劇をまだ知らないのか、行き交う人から悲鳴を聞くことはない。
でも、時間の問題だろう。

いずれ大騒ぎになるのは必須、だったらさっさと王城へ乗り込むとしよう。

場所は分かりやすい。
王様の住まうお家だけあってここからでも見える。

「じゃあ、皆行くとしますか。クロコは周囲に影を放って索敵よろしく。これだけ人が多いと誰が敵だか分かんないからね、もし敵っぽいのが近寄って来たら教えてね。」

『へい!!』

俺の足元から沢山の影があっちこっちに散らばっていく。
これで不意をつかれる心配をしなくて済む。

一応、あちらさんは精鋭を揃えているらしいからもしかしたら俺達に匹敵する輩が出てくるかもしれない。
用心に越したことはない。

配下達に警戒をしっかりさせて真っ直ぐ王城を目指す。
途中で屋台に寄り道するのも忘れない、人数分のぶつ切りされた肉串を買っていく。

お肉を口いっぱいに頬張りながら進んでいるとクロコから最初の敵情報。

『旦那、前方から13名ほど人間が待機しておりやす。格好からして冒険者ではねぇかと思いやす。』

冒険者ねぇ…。

「それは明らかに俺達を狙っている感じ?」

『へい。門での出来事がもうギルドに伝わっているみたいでして王城への通り道にいくつか待機させているようですぜ。』

ってことは目の前に居るらしい奴らを排除してもまた次のが湧いてくるのか。
やっぱり面倒事ばかりだ。

「強そうだった?」

『いえ、どいつもこいつも有象無象の雑魚ばかりっす。』

クロコが言うならそうなんだろう。

「そっか、皆一応十分に警戒しておいてね。あと、無駄だろうけど諦めてくれるか伝えるだけ伝えるからね。」

「ご主人様は慈悲深い御方です。素敵です、今晩どうでしょうか?」

「あ、うん。また今度ね。」

油断も隙も無いなこの子は。
ひとまず今後かち合うであろう面倒事に対しての対処法は決定した。
じゃあ、出会いに行くとしましょう。





「そこで止まれ犯罪者!!」

もう完全に俺の顔は出回っているようだ。
間髪入れずに怒声を放って来た。
あの怒鳴った男は残念ながら死亡確定。うちの配下達の怒りゲージへ点火させてしまった。
これで初対面に対する接し方の良い教訓となってくれる。

「えーと、無理だろうけど聞きますね。俺達を殺すだの捕らえるだのもう考えずに知らんぷりして通らせてもらえませんか?」

男は鼻で笑う。
ちょっとイラッてくる。

「ふん、誰が犯罪者の言葉など聞き入れるか。それにお前みたいな餓鬼を殺すだけでたんまり金が手に入るんだ。そんな美味しい依頼を見逃す訳無いだろう。」

ですよね。
男達はそれに留まらず配下達に視線を送る。

「まぁでも、後ろの女共は殺さないでやろう。へへ、全員上玉じゃねぇか。俺達の物にしてやるぜ。」

イラッからのプチン。
スキル『レーザー』の発動。

俺の目の前にあの苛つく野郎共人数分の光の玉が出現した。
それらは男達の心臓へ狙いを定めて光の線を走らせる。

出会ってほんの数分。
もう彼らのムカつく言葉を二度と聞くことは無い。

「うちの配下達はモノじゃないからな。」

フンスと鼻息荒げてもうただの屍達に言い捨てる。
それと同時に背後から感じる沢山の熱い視線。

これはまた夜が恐ろしい。


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