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出発

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朝起きて階段降りた先にどんより陰鬱な表情を浮かべて体育座りするシルヴィアが居た、鎧姿で器用だね。
顔アザだったり所々傷付いて何かあったのだろうか?

「ねぇアイリス、シルヴィアに何かあったの?というかエーロとかも顔に擦り傷出来ているけど…。」

「ご主人様お気になさらず。防衛訓練が少々激しくなっただけでございます。」

「そ、そう。皆無理しないようにね。」

「労いのお言葉頂きありがとうございます。シルヴィア達もそのうち元気になるでしょう。」

恨めしそうに何故かアイリスを睨んでいるけど本当に大丈夫かな?
でも、なんか関わったらまた嫌な予感しかしないからこれ以上は追及しない。

いつも通り朝食を終えてさっさと出発だ。


「じゃあ昨日の晩のうちに一緒に行くメンバーも決まったみたいなので、ここに残るメンバーはしっかりこの家を護ってね。特にニト勝手に侵入して来た奴が居たら遠慮なく木にするか恥ずかしい動画を撮って良いからね。」

「は、はい!頑張って辱めます!」

「うん頑張って。では、それぞれ準備が整ったら玄関に集合で。」

「しゅ、主君!!」

話を切り上げようとしたところでシルヴィアが挙手しながら立ち上がる。

「ん?どうしたの?」

「や、やはり私も行きた」

「シルヴィア、敗者に権利は無いですよ。」

「うっ、うぅ…アイリスぅ…。」

全てが繋がった。
どうしてシルヴィア達がボロボロなのか。
どうやって王都行きメンバーを決めたのか。

でも、前述に述べた通り触れない。
王都組と居残り組のテンションの差に大きく開きがあるのも触れない。
この前の夜の防衛戦で疲れたもん。




陰鬱と殺伐が蔓延する配下達を居間に残して出発準備を。

とはいっても、荷物はアイテムボックスに一通り詰め込んである。いざとなれば地球の食材を解放すればいいから何ら問題も無い。
本当に道中で問題なのは人間関係だろうね…………はっ、いかんいかん遠い目になってしまった。
旅の間はひたすらクロコやココちゃんを撫でて癒やされよう。
王都に着いたら嫌でも戦闘だらけになるだろうから。





準備と称してのんびりし始めてから一時間ほど経った、そろそろ玄関に向かおう。
途中で未だ意識を失い悪夢にうなされるクロコを拾い上げるのを忘れない。

よっぽどのトラウマを経験したんだろう、早く目覚めて欲しい。
それまではしっかり俺がモフモフしながら看病しよう。

玄関に到着。
もう既に王都組の配下は全員集合していた。俺と同じで収納用のスキルを持っているから準備が早い。
居残り組も全員見送りの為か待機している。居残り組全員頬を赤い線が二本垂れている、血じゃないあれは血じゃない。

「じゃあ、行きますか。」

「「「はい!!!」」」

「エーロ達は俺達が居ない間ここの守りはしっかり頼むよ。」

「「「くっ……はい!!」」」

「そ、それでは行ってきます。」

「「「う、うぅ…いっでらっじゃいまぜ…ズビビ……。」」」

凄い行きづらい。
けれど行く、このまま残る方が居心地悪い。



こうして王都への旅行が始まりました。
もし可能ならば戦いではなく観光を中心に出来たら嬉しいなぁ。



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