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前夜の攻防戦4

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アイリス率いる御一行は皆の主の貞操を奪うまであと一歩の所へやって来た。

護りの男配下を亡きものにしたらもう護りは無いに等しい。
でも、油断は出来ない。
主のヘタレさ奥手さは一騎当千レベル。

「アイリスこれからどうする?普通に突撃しても主君は股を開いてくれないと思うが…。」

「まずは予定通り全力で股間を襲いましょう。それで貞操をご馳走頂ければ良し、ですがもし駄目なら奥の手を使いましょう。」

なんとも酷い会話。
この場の誰もが咎めず聞き入っている。

「奥の手?」

「はい、それはゴニョゴニョゴニョゴニョ。」

ここでは謎の力が働きゴニョゴニョ部分を聞き取れない、女性陣にはちゃんと聞こえているから問題は無い。
どうせすぐに回収する伏線だ誰も気にしなくて良い。

「………なるほどそれなら主君も我々を襲いたくなるな。」

「アイリスそれ良い。主、興奮する。」

他の者たちも次々に賛同して奥の手をそれぞれのアイテムボックスに収納した。

さぁ、あとはご主人様から搾り取るだけだ!








「……………はっ!?」

唐突に覚めてしまった。
悪夢を見ていた記憶も無いのに汗をダラダラ流していた。
俺の危機察知がビンビンに反応してやがる。

もしかして危険な侵入者が我が家に押し入ってきたのか?

念の為、護衛をして貰っていたクロコに念話してみる。

『もしもしクロコ。家の様子はどう?何か嫌な予感がしたんだけど。』

『……………。』

返事が無い。
時間が時間だけに眠ったのかな?

『もしもーしクロコ?寝たの?』

『……………。』

やっぱり返事が無い。
ケンゾウと交代制で見張りをしてくれているのかもしれない。
だから、ケンゾウにも念話する。


しかし、クロコ同様返事が無い。
護衛を頼んで二人共が眠るなんて可能性はありえない何かが起きたんだ。

俺は急いで起き上がり、連絡の無いクロコ達の安否確認のため現場へ向かわねば。


「そんな心配は必要ありませんよご主人様。」


いざ向かおうって時に本来ならこの寝室で聞こえるはずのない声が。
声のする方は寝室の扉。

扉越しでも分かる病みの女神さん。
ギギギと鈍い音を立てながらゆっくり開いた扉から現れたのはやっぱりアイリス。
今は病みの部分が強く出ているのか瞳に光は無く俺の姿だけが映っている。

「お、お前がクロコ達に何かしたのか?」

「私?いえ私達ですよ、ニヤリ。」

すると、後ろからぞろぞろ入ってくる女性配下達。皆わざわざ律儀に入る度にニヤリと効果音を発してくれる。

そうか、こいつらが…。

「どうしてクロコ達を?」

理由はなんとなく分かる。
指揮官が性なる女神だもん、でも聞かずにはいられない。

「ご主人様ならお分かりでしょう。私達の愛の邪魔をする存在に躾をするのは筆頭としての務めです。」

務めじゃない。
筆頭の役割は戦闘での配下への指示出しであって仲間を排除する指揮ではない。

くそ、現実になるとこんなにも本領発揮するのかこの娘は。

「それでは早速愛の育みを致しましょう。なーにご主人様は天井の染みを数えてて下さい。私達総出で至極の時を過ごして頂きます。」

なにそれ凄い魅力的。
でも、それには乗れない。
俺がヘタレとかじゃなくて、その…そう!
クロコやケンゾウがやられているのに自分が欲に溺れるのはいけないと思うからです、はい。

決して緊張やビビリとかじゃないです、はい。

「お前ら…クロコ達に酷い仕打ちをしておきながら俺がきゃっほいする訳無いだろうが!!こんな暴挙を冒したお前達には罰を与えてやる!」

美女美少女に罰…いかんいかんまだ欲に流されている。
亡き配下クロコとケンゾウの笑顔を思い出せ。

「……やはり抗いますか。なら、私達は全力でご主人様のご寵愛を絞り尽くすのみです!全員戦闘配置に着いてください。狙うはご主人様の股間です。ひん剥いて貞操奪うのです!!」

「「「おう!!!」」」

もうなんて漢らしい娘達なんだ。
全員の視線が俺の下半身に集中する。唯一純情厨ニ少女であるメシアが顔を真っ赤にさせていた。
ほっこりはしないよ、結局ガン見してんだもん。


はぁ、初めてはラブロマンス溢れるものにしたいのに………こうなったら絶対に貞操は死守してやる!!

空から見守るクロコとケンゾウ見ててね、ヘタレの底力を。


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