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殴り込み=旅行
しおりを挟む怒りに任せて冒険者&ギルド員を本当にゲーム感覚で殺してしまった。
罪悪感が一欠片も無いのは少し怖い。
家の前が一面血の池、遠巻きに見ていた一般人は悲鳴を上げて去っていく。これは衛兵を呼ばれるかもしれないな。
出来れば少しは親しくなったモルドさんと戦いたくない。
「ご主人様、庭先の汚れは私達が掃除しておきますのでご安心下さいませ。」
さっきまでの戦闘シーンが嘘のように日常へ戻って行く。
塵を掃くように死体を箒で転がすのはどうかと思う。
今後あのギルマスがどう動くかは放っておいて、そこのケモ耳のお嬢ちゃんちょっとこっちへおいで。
美味しいお菓子をあげるから。
手招きにおどろおどろしいようににじり寄って来てくれた。宣言通りクックお手製のクッキーをあげます。
クッキーという未知の美味しさに用件を忘れてケモ耳様とお尻尾様をフリフリしてくださっている、有り難や有り難や。
お菓子に満足したようで本日訪れたご用件をお聞かせ下さい。
「それで今回来たのはあのお馬鹿な王子様が俺を犯罪者にしたことかな?」
「う………うぅ、はい。申し訳ございません。」
「大丈夫大丈夫、特に気にしていないから。」
「姫様は…姫様は必死にお止めになったのです!ですが…。」
王様も王子様も聞く耳を持たなかったと。
親も兄妹も愚かって最悪な家庭環境だね。
「それでその…今、王都にてユウ殿をと、討伐する為の精鋭を招集しているようでして…。」
「招集?」
「はい。王都にある冒険者ギルドや王国騎士の中から選抜しているみたいです。流石に軍を率いる真似はしないようですが…。」
うん、一個人に軍を引っ張って来たらもう大馬鹿認定だよ。
「じゃあ、そのうちその精鋭とやらがここにやって来るってこと?」
「はい。ですのですぐにお逃げ下さい。まだ他国であれば」
「そんな事我らが主君たる御方がする訳無かろう。幾らでもやって来れば良い。全てを亡きものにして主君に跪かせてやるわ。」
俺のアイドルであるリンちゃんの台詞を遮ってシルヴィアが断言しちゃった。
ちょっと面倒くさいから逃げよっかなって案もチラついてたのに。
ま、まぁ俺は逃げないけどね。
全員返り討ちにしてやるんだからね。
「お、おう。どんな奴が来ても俺達への障害になる事は無い。だから、逃げるつもりはないよ。」
これは目を泳がせているんじゃない、ちょっと左右にオロオロさせたかっただけだ。
「主、待つよりも攻める?殺す?」
え、わざわざ行くの?
うんそうだね、セーフティア時代は率先してモンスター退治に行ってたもんね。
「お、おう。殺すかどうかはその時に考えるとして待つだけじゃ退屈だもんな。い、行くか?」
「「「はっ!!!」」」
やべぇ、配下達の殺る気がMAX。
この場で俺とリンちゃんだけが取り残されている、気持ち的に。
「あ、あの…その、あぅ…。」
「リンちゃんや、諦めなさい。もう俺の配下達の火は消せそうにない。まぁ、姫様には危害加える気ないから気楽に考えなよ。」
慰めたつもりなのに愕然とするリンちゃん。
何もしていない姫様にも俺らが何かするって思われたかな?
大丈夫、俺が苛ついているのは姫様のお兄ちゃんとお父ちゃんだけだから。
「リンちゃんは一緒に王都行く?それとも先行ってる?俺達は数日旅行の準備して向かうけど。」
「りょ、旅行?………………はぁ私は先に姫様の元へ報告に向かいます。」
リンちゃんの溜息頂きました!
これだけで俺のやる気も上がるってもんだ。
さっさと片付けて王都で配下達とリンちゃん皆で観光としよう。
ついでにリンちゃんから呆れと諦めのジト目も頂き、リンちゃんはお家へ帰って行った。
じゃあ、あとは準備と連れて行く配下を決めて行こう。
念の為、コロックさんにも旅行に行くことを伝えておこうかな。
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