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豚司教に教育を
ただいま信者量産中
しおりを挟む帰るのが怖い。
物理的なことなら魔物で慣れてるけど、怒られたことは殆ど覚えていない。
今回の屋敷単独特攻は確実に説教案件。
足取りが重いよ。
「こんだけ暴れ回った嬢ちゃんでも、怒られるのは怖いんだな。」
ブラッドさん笑わないでよ。
本当に憂鬱なんだからね。
ちなみに現在馬車の中。
ブラッドさんと一緒に教会へ向かい中。
アルフとノートンはあのまま屋敷に残っている。もっと他に余罪が無いか、屋敷中を捜索しまくるらしい。
あの二人はやたら王城関連に詳しかったからおそらく関係者だろう。
貴族っぽい雰囲気だったし後は任せよう。
また近いうちに会おうって約束したし、その時に聞いてみるのもアリだね。
そんな事よりもこれから待っている説教だ。
お土産を買って帰れば、少しは軽減されるかな。
それは無いだろと横から否定が飛んでくる。ですよねー。
「おいおい何だあの人だかりは?」
もうすぐ到着というところでブラッドさんが何かをみっけた。
ひょこっと馬車の窓から覗き込む。
うわ、本当に教会の正門に人の大群が押し寄せている。
なんだなんだお祭りかい?
「あーあ、嬢ちゃんのせいだぞ。」
いきなりの責任の押し付け。
なにこの人だかりは俺のせいって言いたいの?
「私のせいって‥。確かに街中をロコルお姉ちゃんを抱いて歩いてちょっとした騒ぎになりましたけど、それだけですよ。」
む、なんなのさ、その呆れた目は。
「嬢ちゃん、この王都に住む住人達からどう思われてるかちゃんと理解してないな。」
「治療好きな女の子とか、もしくは王都中の屋台を食べ歩く食通少女とかですか?」
ますます呆れた目で深いため息を吐かれる。
食通少女は冗談だとしても、勘のいい人には聖女ってバレてるかもね。
「いいか、嬢ちゃんはもう聖女を越えて女神様って崇拝されているんだぞ。」
そういや、アルフが前に女神って言ってきたな。
冗談でしょう、俺はただの廃れた村の女の子だよ。
「またまたぁ。私はどこにでもいる女の子ですよ。女神な訳無いでしょう。大方、さっきの騒ぎがまだ収まってないだけですよ。」
「いや、あんだけ多くの人を助けて来たんだから、崇拝もされるだろうよ‥」
ブラッドさんがなんか反論を言ってくるけど放っておこう。
このまま馬車では通れそうにないし、歩いて教会に入ろう。
後ろからやめた方がいいぞと忠告が入る。
だいじょーぶだって、いいから行くよ。
馬車から降りた俺に一人また一人と押し寄せていた住人達が気づいていく。
よく見たら、ミーナちゃんやアモスさん達もいる。
というか、治療を施した人達が多く紛れているな。
俺に気づいた人達から片膝をつき、頭を垂れる。
それが波のように周りに伝染していく。
マジかよ、本当に俺を崇拝しているように見えるんだけど‥。
ブラッドさんのどうだ本当だろうと言いたげなしたり顔がむかつく。
どうすっかなぁ
「えーみなさん、お顔をお上げください。」
「し、しかし女神様に対し失礼かと‥」
「私は治療が出来るだけの女の子です。一応、聖女の肩書きがありますけど、神様認定されても困るだけです。皆様とはこれからも手の届く身近な存在であり続けたいので、普通に接してもらえると嬉しいです。」
チラチラとミーナちゃんを見る。
視線に気づいたミーナちゃんは、水を得た魚のように突撃してきた。
それでこそミーナちゃん。
「お姉さまぁ、ご無事でなによりでずぅ。凄く心配したよ、お姉様お姉様お姉様‥」
泣きながら抱きついてくる。
そのまま私の胸に顔を埋める。
ちょ、ちょっと鼻水が‥って、匂い嗅いでない!?
「み、ミーナちゃん心配かけてごめんね。も、もう大丈夫だからね。」
「お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様」
なおも埋めようとする顔を無理矢理引き剥がす。なにがミーナちゃんをここまで駆り立てるのか。
この光景を微笑ましく見ていた信者もどき達はもう無事だと悟り、口々に良かった良かったと安堵する。
おい、女神様は永遠に不滅なりって言ったやつ誰だ!
ブラッドさん腹を抱えて笑うな!
も、もういいもんね、教会の中に行くもんね。
俺が教会に進もうとすると、信者もどき達が二方向に分かれて道が誕生する。
どうぞどうぞとキラキラ笑顔で勧めてくる。
今までこんなにも通りたくない道があっただろうか。
もう仕方ないと渋々謎の聖女ロードを通過する。
勝手に額が光りだす演出のおかげで結局通り終わるまでみんな跪いてたよ。
教会に入ると、そこにはトーラスさん。それと眠りから覚めたロコルお姉ちゃんが待っていた。
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