37 / 266
豚司教に教育を
豚司教に殴打を捧げる3
しおりを挟むやっとここまで来れた。
侵入や貴族に対して殴り込みとかで犯罪者になってしまっただろうけど、気にしない気にしない。
「き、貴様、貴族である儂にこのような事をしてタダで済むと思っておるのか!聖女といえどし死刑だ、死刑じゃぞ!」
だからなに?
貴方を一発も殴り潰さないで、ぬくぬく生きる道を俺が選ぶ訳無いでしょう。
「死刑でも何でも結構。貴方の犯した罪を放置したままで生きるくらいなら死んだ方が余程ましでしょう?」
罪には罰を。
これは世界の常識だよ、ぶたさん。
「貴方はこれまでロコルさんだけでなく他の人にも絶望を届けていたのでしょう。だから、私も届けます。あいにく絶望は持ち合わせていないのでこの拳を届けます。」
「ぶひぃっ!」
拳を眼前に突き出す。
安心してね、例えこの身が滅びようとも必ずお届けいたします。
「い、良いのか‥儂の後ろには王族もいる。いや、貴族に手を出すのだ。貴族全員を敵にまわすぞ。」
しつこいなぁ、関係ないっての。
「構いませんよ。私は一つ決めている事があります。大切なものを守るためなら誰だろうと相手になります。王族?貴族?私は神様だって相手になる覚悟ですよ。」
「ぐっ‥生意気な小娘がぁ!」
隠し持ってたつもりの短剣を手に俺の顔目掛けて突っ込んでくる。
そんな太った体で来ても黒装束の人達よりも数倍は劣る動きだよ。
一応、刃が迫って来ているので短剣を握る手を蹴り上げる。
激痛と衝撃で司教の手から短剣が離れていく。
そのまま痛みで床を転げ回っている。
加減はしたつもりだけど折れたかな。
「き、貴様‥そんな貧相な体にどうしてこれほどの力が‥」
うわ、レディーに対して失礼。
これから成長予定なんだぞ。
「ふふ、今時の女の子はよく鍛えているものですよ。」
「ぐっ‥野蛮な平民めが‥」
この状況でも強気なのはある意味賞賛に値するよ。
はい、パチパチパチパチ。
じゃあ、もう終わろうね。
「くっ、こっち来るな!」
近づく俺に天井の欠片を投げてくる。
避ける気も起きないよ。
「ぶひっ、来るな来るな!」
欠片が頬や肩、腕に当たって血が流れるけどそれだけだ。
傷を負う姿を見て余裕が出てきたところ悪いけど、俺を止めるには全然足りない。
一歩、また一歩と近づく。
流石に司教は一向に歩みが止まることないことに焦っている。
無駄に流れる汗が飛び散ってますよ。
終了の時がやってきた。
本来の身長差なら俺が見上げるけど、今回は立場逆転だね。
貴方のおかげで血塗れの笑顔を見せることになっちゃった。
はいはい、怖いね。
額にある聖女の証が輝き出し俺を包み込む。
ほい元通り。
「ゆ、許してくれ。悪かった。そ、そうだお前に金をやろう。うむ、地位も与える。お前が望むもの全てやろう。だから、ゆ許すのだ。」
それは貴方には無理でしょう。
俺が幼い頃から欲しかったものは金でも地位でもない。
本当に欲しいものはもう手の届かないところにある。
でも‥
「私が望むものはこの王都、いえ聖女になった日から多くの人達に頂いております。とても大切で暖かいものを。」
俺はこれまでに出会った人達を思い出す。
みんな俺に懐かしい何かを与えてくれた。
「でも、貴方はそんな人達に悲しみを絶望を与えた。だから、許さない。私は決して貴方を許さない!」
「ぶひぃっ!?」
恐ろしく部屋に充満する威圧が司教に重くのしかかる。
強く握りしめる拳と息を合わすように額も輝く。
今は聖女の力使ってないんだけどなぁ。
「しっかり歯を喰いしばりなさい。そして、今までの悪行をしっかりと懺悔するようにね。」
がちがちと歯を鳴らす司教の葡萄酒でたっぷりと肥えたお腹に、振りかぶった拳が深々と突き刺さる。
よほど脂肪を蓄えていたのか拳が埋まったよ。
とても鈍い衝撃音と腹から湧き出る激痛を側に添えて見事に飛んでいく。
そのまま大好きな葡萄酒が沢山備えられた棚と熱い抱擁。
そして一緒に崩れ落ちる。
司教はピクリとも動かなくなった。
殺してはないよ、ちゃんと生きて悔い改めて貰わないといけないからね。
しばらくはまともな食事は出来なくなるだろうけど。
おおう、いくつか割れた葡萄酒が司教にぶっかかってる。
ほ、本望かな?
はい、ごめんなさい。
終了の合図にけたたましく鳴り響く足音が扉のあった場所まで訪れた。
0
お気に入りに追加
951
あなたにおすすめの小説
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
王命を忘れた恋
須木 水夏
恋愛
『君はあの子よりも強いから』
そう言って貴方は私を見ることなく、この関係性を終わらせた。
強くいなければ、貴方のそばにいれなかったのに?貴方のそばにいる為に強くいたのに?
そんな痛む心を隠し。ユリアーナはただ静かに微笑むと、承知を告げた。
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
【本編完結】ただの平凡令嬢なので、姉に婚約者を取られました。
138ネコ@書籍化&コミカライズしました
ファンタジー
「誰にも出来ないような事は求めないから、せめて人並みになってくれ」
お父様にそう言われ、平凡になるためにたゆまぬ努力をしたつもりです。
賢者様が使ったとされる神級魔法を会得し、復活した魔王をかつての勇者様のように倒し、領民に慕われた名領主のように領地を治めました。
誰にも出来ないような事は、私には出来ません。私に出来るのは、誰かがやれる事を平凡に努めてきただけ。
そんな平凡な私だから、非凡な姉に婚約者を奪われてしまうのは、仕方がない事なのです。
諦めきれない私は、せめて平凡なりに仕返しをしてみようと思います。
婚約者のいる側近と婚約させられた私は悪の聖女と呼ばれています。
鈴木べにこ
恋愛
幼い頃から一緒に育ってきた婚約者の王子ギルフォードから婚約破棄を言い渡された聖女マリーベル。
突然の出来事に困惑するマリーベルをよそに、王子は自身の代わりに側近である宰相の息子ロイドとマリーベルを王命で強制的に婚約させたと言い出したのであった。
ロイドに愛する婚約者がいるの事を知っていたマリーベルはギルフォードに王命を取り下げるように訴えるが聞いてもらえず・・・。
カクヨム、小説家になろうでも連載中。
※最初の数話はイジメ表現のようなキツイ描写が出てくるので注意。
初投稿です。
勢いで書いてるので誤字脱字や変な表現が多いし、余裕で気付かないの時があるのでお気軽に教えてくださるとありがたいです٩( 'ω' )و
気分転換もかねて、他の作品と同時連載をしています。
【書庫の幽霊王妃は、貴方を愛することができない。】
という作品も同時に書いているので、この作品が気に入りましたら是非読んでみてください。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
冷宮の人形姫
りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。
幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。
※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。
※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので)
そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる