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王都でのんびり
幾ら欲情しても手を出さない
しおりを挟む過去の男もとい王様と改めて再会する。
ごめんなさい、もう私は貴方を好きにはならないわフッ。
『流石はご主人様です。人を苛つかせる事に関しては天才的です。私が生き物であったならば確実に殺意の衝動が芽生えた事でしょう。』
なっちゃん…。
扉の前で直立不動した騎士様二人に会釈して中に通してもらう。
すると、王様はもちろんのことフローラ様まで居る。私を見てフワリと笑うそのお姿に王妃様によりボッコボコにされた心が癒やされていく。
何で私は女の子いえ美少女なんだろう。
私が男だったら拘束覚悟で襲っていたよ。
女である今でも襲いたくなるもん。
「カエデお姉様、先日振りです!こちらにいらっしゃると聞いてつい我儘言っちゃいました。」
ちろりと小さな舌を出してごめんなさいする姫様。
可愛い…ムラムラしちゃう。
『流石はご主人様です。幼い子供しかも同性に対して恐るべき変態性です。どうか牢屋の中でも健やかに暮らして下さい。』
なっちゃん、私はまだ捕まらないよ。
それにそれはもう牢獄行きよりも斬首台行き確定だから。
幾ら欲情してもフローラ様に手なんて出さないよ、うん出さない出さない。
いや、本当だよ。
「すまないな。娘がどうしてもそなたに会いたいと言って聞かなくてな。」
「いえ、私もまたお会い出来て嬉しいです。」
「お姉様…私もとっても嬉しいです!!」
もう!!何なのこの子は!!
私に襲ってくれって言っているようなものだよ。
『一度病院に行かれては?もしくは自主的に頭を城の角にでもぶつけてみては?』
なっちゃんが本気のトーンで心配してくれる。
安心して、私は至って正常だから。
カエデは通常が異常。
そんな危険人物に王様は気付かず話を続ける。
「さて今日そなたを呼んだのは、いくつか物件の候補を見つけた。それでだ、その中から選んでもらおうと思った訳だ。」
なっちゃんの言ってた通りだ。
「こんなに早く見つけて下さるとは思いませんでした、ありがとうございます!」
「娘の命の恩人だ、報いるのは当然だろう。では、これらの中から好きなのを選ぶといい。時間はあるからゆっくり選びなさい。」
王様は近くに控えていた文官っぽい人に視線を送る。
すると、送られたその人は私の目の前のテーブルに数枚の紙を並べていく。
私でも分かる、これらは物件の詳細情報だろう。
一体どんなのがあるか楽しみ。
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