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サルサでのんびり

逃げるが勝ち2

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あまりにも気持ち悪い存在につい電撃が走ってしまった。でも、不思議と後悔はない。けれど、今後の事を考えると血の気がちょこっと引いてしまう。

ピクピクしかしないオーク。
それにマーキングしようとするフワ子。

色々やばい。

ひとまずフワ子のおトイレが済むのを待とう。その間で心の整理をしよう。

『ご主人様、呆けていないで早く脱出するべきかと思います。その窓からであれば擦り傷程度で抜け出すことが可能です。』

自分の仕出かした状況にようやく追い付いてきた。
早く脱出しないといけない。

「うん!すぐにここから出よう。でも、ちょっと侘び料を頂いていこう。」

『…………流石です。』

この町で今後も生活しようと思ったのにそれを奪われた。慰謝料を貰っても許されるはずだ。金目の物で私の傷ついた繊細な心を癒やしたい。
とりあえず金になりそうな壺や飾られた絵画を次々と収納していく。
フワ子は小だけで飽き足らず大も始めている。いいぞ、やったれ。

「なっちゃん、部屋の中に隠し金庫的なものは無いかな?」

『ご主人様は以前の世界では盗賊かなにかだったのですか?』

「ううん、そんな訳ないよ。ただの普通の学生だったよ。」

『………そうですか。その角の植木鉢の下に隠し保管庫がありますよ。』

お、予想通り。
早速植木鉢を蹴飛ばして退かす。なっちゃんの言う通り小さなハッチがあった。

うへへと緩む顔を抑えて開けて見ると、大量の金貨に様々な書類がある。書類はどっかの貴族を暗殺する為の依頼書だったり、奴隷売買契約書だったりと真っ黒そう。

でも、現状私には関係ない。
まぁ、一応貰えるものは全部頂戴しますけどね。

幾分かスッキリとした部屋に満足してスッキリとしたフワ子を抱えて窓へ足をかける。
ちょっとだけ高さにビビるけれど意を決して飛び降りる。

無事怪我も無く着地。
そのままなっちゃんの案内を頼りに敷地内から確実に脱出した。
すぐに追手が来ないか不安。

『大丈夫です。あのオークが目覚めるまでしばらくは誰も気付かないでしょう。屋敷の者達は最中だと思い気を遣って部屋には入らないでしょうから。ですが、準備を整え次第すぐに町を出ることを推奨します。』

「うん、急いでここを出よう。」

私はなっちゃんに賛同して野菜やお肉を買い漁る。またしばらくはサバイバル生活が待っているんだろうな。


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