4 / 75
プロローグ
交渉時々脅迫のち出発
しおりを挟む一ノ瀬楓は地球での生を終えて、新たな世界エスティアでの生活を決意した。
まだブルブルしている土下座を放置して話を進めます。
「では、色々と決めていきましょう。まず肉体ですが地球での姿をそっくりにお造り致しましょうか?もし性別を変えたいなど女の武器強化など注文がございましたら受け付けしますよ。」
性別は女のままで良い。男の子になってもどうしたらいいか分からないもん。
でも、女の武器強化に関してはちょっとだけ、ね。
恥ずかしいのでおずおずとエスちゃんさんにこそこそっと耳打ちする。
「……を3割増しでお願いします。」
「はい、お任せ下さい。最優先で調整致します。」
ありがとう。
私はエスちゃん様を信仰します。
結果、肉体は元の体型からさほど変わらず完成。およそAからCへと限界突破しました。
それとエスちゃん様の助言でこの世界の独り立ち平均年齢を考慮して18から15へと若返りしました。
何かと理由付けにしやすくなる。
続いては、肉体に付与する能力。
エスティアはみっちゃん曰く剣と魔法の世界、いや弓矢とか斧とかもあるけど。
「あの、私でも魔法って使えますか?」
「はい、もちろんです。肉体をエスティア産にしたので魔力を宿しております。安心して下さい。さて付与する能力ですが、私からはエスティア共通言語の読み書きが出来るように致しますね。あと、私の加護も付けておきましょう。これで保有魔力量が増えましたよ。精神耐性もこれで高くなりました。地球と違って血生臭いことがかなり身近になりますので高い方が宜しいでしょう。」
痒いところまで手が届く親切な神様、ありがたやありがたや。
「あとはお兄様からお詫びも兼ねて何か一つ能力をお付けさせます。ほら、お兄様いい加減シャキッとしなさい!」
失意の底にいた土下座を足蹴によって無理矢理覚醒させる。
「は、はいぃぃ。何なりとお申しつけ下さいませ!」
この人も神様なのにこの場にいる誰よりも地位が低い。
まぁそれはどうでもいいとして、望んだ能力を一つか。
どうしよう…。
みっちゃんならどうするかな?
自分の将来に関わる大事な能力。
岩をも砕き馬よりも速いそんな身体能力、いやそれだと私の女子力値が下がりそう。少なくとも笑顔で岩を握り潰してる女性が居たら私なら引いちゃう。
なら大金を………いやいやいずれ尽きてしまう可能性があるのは不安。治安は地球より悪いらしいし寝てる間に盗まれることだってあるかも。
それからまた悩んで悩んで悩みまくって行き着いた私の望むもの。
「決まりました。土下座じゃなかったチーさん、私が欲しいのは何でも知ってる頼もしいナビゲーターです!!」
「ナビゲーターですか?」
私の願いを聞いた土下座は、頭にハテナマークを浮かべて首を傾げる。
「はい、ナビゲーターです。何にも知らない世界に行くのです。歴史から地理、その他異世界のおばあちゃんの知恵袋まで知り尽くした頼もしいナビです。駄目ですか?ねぇ、駄目でしょうか?」
難しいお願いかもしれない。
でも、異世界初心者の私には必要な存在になる。申し訳無いと思いつつスタンガンをバチバチとチラつかせて懸命に懇願する。
「は、はいひぃっ大丈夫ですから大丈夫ですから!」
私の想いは通じたようで青くした顔で必死で頷いてくれました。
「で、ではそのナビゲーターとやらを作りますので、それがどんなものか頭の中で想像してください。その思念を元に造りますから。」
「はい、分かりました。」
目を閉じて想像する。
ナビのイメージは、さっきも述べたように何でも知っていて頼りになる存在。
よし、あとは任せたよ土下座。
「はい、では直ちに作ります。出来上がりは転移してからのお楽しみです。」
ちゃんと土下座に伝わったか不安だけどこれで新たな生活の準備は一応整った。
むふふCかぁ、エスティアの大地に降り立ったらすぐに確認しよう。高校生になっても成長しなかったあの哀しみから解放される。
楓は比較的前向き。頭の中はさっきまでの悲観は無くなり、もう無理だと諦めていたものをモミモミする自分でいっぱい。
妄想にふけている間で神様兄妹の作業が終わった。
「それではカエデさん。私の愚かなミスで本当に申し訳ありませんでした。これからの新たな世界でのカエデさんの輝かしい未来を心より祈っております。」
「カエデさん、愚かで情けないお兄様が大変ご迷惑をお掛けしました。私もエスティアで楽しい日々が過ごせるよう祈っております。」
「土下座にエスちゃん様…本当にありがとうございます。最初は悲しみいっぱいの絶望だらけで荒んでましたが、一部の成長やまた新たに人生を歩めることや一部の成長でもう大丈夫になりました。本当にありがとうございました。」
腰を直角に曲げて心からの感謝を述べた。
「「それでは良い人生を!!」」
「行ってきます!」
大きな声でお別れをして一ノ瀬楓は、地球からエスティアという新たな世界へと出発するのであった。
「さてお兄様、カエデさんとの約束ですのでお仕置きの続きをしましょうね。」
「……………………地球の管理があるから散!!」
ダッダダダ……ガシッゴン、ズルズルズルズル。
この先は、酷い悲鳴と不快音ばかりとなりますので省略いたします。
0
お気に入りに追加
122
あなたにおすすめの小説
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
美しい姉と痩せこけた妹
サイコちゃん
ファンタジー
若き公爵は虐待を受けた姉妹を引き取ることにした。やがて訪れたのは美しい姉と痩せこけた妹だった。姉が夢中でケーキを食べる中、妹はそれがケーキだと分からない。姉がドレスのプレゼントに喜ぶ中、妹はそれがドレスだと分からない。公爵はあまりに差のある姉妹に疑念を抱いた――
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。
木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。
因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。
そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。
彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。
晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。
それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。
幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。
二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。
カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。
こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる