上 下
8 / 11
部活動、いいですか?

体育館で部活動 卓球部リベンジ編2

しおりを挟む

写真撮影に来たはず。
なのに、唐突な卓球対決に変わってしまった。


これも我儘を通した卓球部員達のせいだ。大人しく撮られれば良いものを。

対決は我ら写真部に合わせて5対5のシングルスの予定が、鳴瀬姉妹の私達は2人で一つという謎の要望でダブルスになった。
所詮、卓球部部長も男。
あざとくても一応可愛い女の子2人の上目遣いには勝てなかったか。

最終対決だけシングルスになりました。


第1試合は超絶美少女アイドル鳴瀬姉妹(本人談)が先鋒を担う。

対するは卓球部員A君とB君。
超絶美少女アイドル姉妹のダブルウインクにたじたじの様子。
見かけは可愛いからな、動揺するのも当然だ。
あの姉妹は自分達がどういう角度でどのポーズがより可愛くなるか熟知したプロのナルシストだ。
本日も絶好のあざと可愛い。


お互いのラケット確認では、間違えて手を握ってしまいましたとしっかりと基盤を作る。
見ろ、A君もB君も勝手にありもしない恋の予感を感じてドキドキしている。さっきまでの怒り心頭はどこかに行ってしまっている。


先攻は卓球部から。
一投目のサーブに鳴瀬姉妹は仲良く尻餅をつく。

「「ふぇ‥凄く速くて、怖いよぅ‥」」

息の合ったコンビネーションにAB君も罪悪感を隠せない。

二投目は軽くコンと勢いも回転も何もないサーブを放る。
それを拙いように見せつつ返す鳴瀬 姉。

けれど、楽しんでますよというアピールも忘れずに心掛けている。
今頃、AB君は俺達青春してるという気分で至福のひとときを過ごしていることだろう。

どうか気づけ、鳴瀬姉妹は背中を向ける度に悪魔のような笑みを浮かべているぞ。



騙されているAB君が手加減してくれるおかげでお互いに9点あとどちらかが先に2点先取すれば1勝目が決まる。
ここからは幾ら姉妹にデレデレでも本気を出そうとするだろう。

だが、甘い。

鳴瀬妹のサーブ。
でも、その前に手が滑ったようにピン球が相手側に転がる。
ここからはまるで少女漫画のよう。転がるピン球を拾おうと鳴瀬妹とB君が手を伸ばす。お互いの手が触れ合う。

そこで鳴瀬妹の恥ずかしそうな照れ笑い。
はい、堕ちました。
女子に対する免疫が全く無いB君は、一人ラブコメの世界に入っていく。

実質1人になったA君も鳴瀬姉に微笑みかけられ最後まで楽しもうねと言われ、心はもう雲より上に浮ついている。

チョロい、チョロすぎる。
それ程までに耐性もなく飢えていたんだね。


一試合目 9対11で鳴瀬姉妹の勝利。

未だにAB君は夢の中。
決して告白しに行ったらいけないよ。
君達のピュアな心が砕け散るからさ。

もう鳴瀬姉妹は対戦相手に全く興味がないようでお互いの顔を褒め合っている。


そして、2試合目は俺と薩摩部長のダブルス。
写真部でもお互いの利害が一致して意気投合している仲良しコンビに死角など無い。
どこからでもかかってくるがいい!


相手は卓球部部長とC君。

相手にとって不足無し。俺達のチームワークにひれ伏すがいい。



結果は2対11と惨敗。
これも部長のせいだ。俺がバスケ女子の足を目で追っていたら普通はその間フォローするのが定石。
なのに、部長までガン見していてプレーに集中していない。
怒った俺はサーブと称してラケットで部長の後頭部にお仕置き。
それに対して逆切れする部長が、相手が放ったピン球をあろうことか俺の眼球に器用に当ててきた。

そこからは卓球しながら味方へのラフプレーの応酬。


終わってみれば血だらけのぼろぼろ。
何がチームワークを心掛けようだ。
この‥

「「クソ野郎がっ!!」」

息ぴったりの怒声と共に振り向きざまに互いの右ストレートがクロスしながら見事に頬を打ち抜く。

どうだ、これが俺達のコンビネーションだ。

そのまま仰向けに倒れ、意識を放り捨てた。


目を覚ますとここは何処かの教室。
両膝にかかる重さで徐々に意識がはっきりしてくる。

ここは‥生徒指導室。

俺は正座をさせられ膝の上には重石が乗せられている。
腕は拘束され解けない。
隣にいた薩摩部長も目を覚ましたようで事態に気が付き青ざめている。

「ようお前ら、今日もよく来てくれたな。」


重石をいくつも片手に装備し無邪気に笑うゴリラがいた。

「待ってくれゴリラ先生。俺は何も膝にヒビが出来るほど痛い!」

部長が意見を述べる前に重石を一つ追加してきた。血も涙も無いのかこのゴリラ。
あ、俺の膝にも追加してきた。

「なんか失礼なこと考えていただろう。」


勘のいいゴリラは嫌いだ痛い痛い痛い!
もう一つサービスしてもらった。


本日も日が暮れるまで膝が壊れるほどの熱血指導を頂きました。



卓球部との対決ですが、熊くるみ先輩の持ち前の身体能力で最終戦は圧勝。
さすが先輩です。

卓球部部長も薩摩部長という蛆が湧いてない事で普通に撮影許可を出したそうな。
俺らは叱られ損。
この恨みを薩摩先輩と今度晴らすことを誓った。

楽しみにしててね。





最後に目撃談。

体育館裏で膝と両手を地面につけて、泣き崩れるA君とB君の姿があったそうです。

だから言ったのに。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

AV研は今日もハレンチ

楠富 つかさ
キャラ文芸
あなたが好きなAVはAudioVisual? それともAdultVideo? AV研はオーディオヴィジュアル研究会の略称で、音楽や動画などメディア媒体の歴史を研究する集まり……というのは建前で、実はとんでもないものを研究していて―― 薄暗い過去をちょっとショッキングなピンクで塗りつぶしていくネジの足りない群像劇、ここに開演!!

百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話

釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。 文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。 そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。 工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。 むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。 “特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。 工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。 兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。 工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。 スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。 二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。 零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。 かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。 ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

バスケットボール

つむぎ
キャラ文芸
ガタガタバスケットチームを立て直すお話

まる男の青春

大林和正
キャラ文芸
ほぼ1話完結となってるシリーズモノです どれから読んでも大丈夫です 1973年生まれのまる男は小学校1年の頃から、ある理由でプロも通うボクシングジムで学校以外、ボクシング漬けだった。そして、中学校、友達に誘われて野球部に入る。運動神経は怪物だけど、常識のだいぶずれた少年と少し奥手な仲間たちの物語である

モナリザの君

michael
キャラ文芸
みなさんは、レオナルド・ダ・ヴィンチの名作の一つである『モナリザの微笑み』を知っているだろうか? もちろん、知っているだろう。 まさか、知らない人はいないだろう。 まあ、別に知らなくても問題はない。 例え、知らなくても知っているふりをしてくれればいい。 だけど、知っていてくれると作者嬉しい。 それを前提でのあらすじです。 あるところに、モナリザそっくりに生まれてしまった最上理沙(もがみりさ)という少女がいた。 この物語は、その彼女がなんの因果かお嬢様学園の生徒会長を目指す話である。 それだけの話である。 ただキャラが濃いだけである。 なぜこんな話を書いてしまったのか、作者にも不明である。 そんな話でよければ、見て頂けると幸いです。 ついでに感想があるとなお幸いです。

処理中です...