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部活動、いいですか?
体育館で部活動 卓球部リベンジ編2
しおりを挟む写真撮影に来たはず。
なのに、唐突な卓球対決に変わってしまった。
これも我儘を通した卓球部員達のせいだ。大人しく撮られれば良いものを。
対決は我ら写真部に合わせて5対5のシングルスの予定が、鳴瀬姉妹の私達は2人で一つという謎の要望でダブルスになった。
所詮、卓球部部長も男。
あざとくても一応可愛い女の子2人の上目遣いには勝てなかったか。
最終対決だけシングルスになりました。
第1試合は超絶美少女アイドル鳴瀬姉妹(本人談)が先鋒を担う。
対するは卓球部員A君とB君。
超絶美少女アイドル姉妹のダブルウインクにたじたじの様子。
見かけは可愛いからな、動揺するのも当然だ。
あの姉妹は自分達がどういう角度でどのポーズがより可愛くなるか熟知したプロのナルシストだ。
本日も絶好のあざと可愛い。
お互いのラケット確認では、間違えて手を握ってしまいましたとしっかりと基盤を作る。
見ろ、A君もB君も勝手にありもしない恋の予感を感じてドキドキしている。さっきまでの怒り心頭はどこかに行ってしまっている。
先攻は卓球部から。
一投目のサーブに鳴瀬姉妹は仲良く尻餅をつく。
「「ふぇ‥凄く速くて、怖いよぅ‥」」
息の合ったコンビネーションにAB君も罪悪感を隠せない。
二投目は軽くコンと勢いも回転も何もないサーブを放る。
それを拙いように見せつつ返す鳴瀬 姉。
けれど、楽しんでますよというアピールも忘れずに心掛けている。
今頃、AB君は俺達青春してるという気分で至福のひとときを過ごしていることだろう。
どうか気づけ、鳴瀬姉妹は背中を向ける度に悪魔のような笑みを浮かべているぞ。
騙されているAB君が手加減してくれるおかげでお互いに9点あとどちらかが先に2点先取すれば1勝目が決まる。
ここからは幾ら姉妹にデレデレでも本気を出そうとするだろう。
だが、甘い。
鳴瀬妹のサーブ。
でも、その前に手が滑ったようにピン球が相手側に転がる。
ここからはまるで少女漫画のよう。転がるピン球を拾おうと鳴瀬妹とB君が手を伸ばす。お互いの手が触れ合う。
そこで鳴瀬妹の恥ずかしそうな照れ笑い。
はい、堕ちました。
女子に対する免疫が全く無いB君は、一人ラブコメの世界に入っていく。
実質1人になったA君も鳴瀬姉に微笑みかけられ最後まで楽しもうねと言われ、心はもう雲より上に浮ついている。
チョロい、チョロすぎる。
それ程までに耐性もなく飢えていたんだね。
一試合目 9対11で鳴瀬姉妹の勝利。
未だにAB君は夢の中。
決して告白しに行ったらいけないよ。
君達のピュアな心が砕け散るからさ。
もう鳴瀬姉妹は対戦相手に全く興味がないようでお互いの顔を褒め合っている。
そして、2試合目は俺と薩摩部長のダブルス。
写真部でもお互いの利害が一致して意気投合している仲良しコンビに死角など無い。
どこからでもかかってくるがいい!
相手は卓球部部長とC君。
相手にとって不足無し。俺達のチームワークにひれ伏すがいい。
結果は2対11と惨敗。
これも部長のせいだ。俺がバスケ女子の足を目で追っていたら普通はその間フォローするのが定石。
なのに、部長までガン見していてプレーに集中していない。
怒った俺はサーブと称してラケットで部長の後頭部にお仕置き。
それに対して逆切れする部長が、相手が放ったピン球をあろうことか俺の眼球に器用に当ててきた。
そこからは卓球しながら味方へのラフプレーの応酬。
終わってみれば血だらけのぼろぼろ。
何がチームワークを心掛けようだ。
この‥
「「クソ野郎がっ!!」」
息ぴったりの怒声と共に振り向きざまに互いの右ストレートがクロスしながら見事に頬を打ち抜く。
どうだ、これが俺達のコンビネーションだ。
そのまま仰向けに倒れ、意識を放り捨てた。
目を覚ますとここは何処かの教室。
両膝にかかる重さで徐々に意識がはっきりしてくる。
ここは‥生徒指導室。
俺は正座をさせられ膝の上には重石が乗せられている。
腕は拘束され解けない。
隣にいた薩摩部長も目を覚ましたようで事態に気が付き青ざめている。
「ようお前ら、今日もよく来てくれたな。」
重石をいくつも片手に装備し無邪気に笑うゴリラがいた。
「待ってくれゴリラ先生。俺は何も膝にヒビが出来るほど痛い!」
部長が意見を述べる前に重石を一つ追加してきた。血も涙も無いのかこのゴリラ。
あ、俺の膝にも追加してきた。
「なんか失礼なこと考えていただろう。」
勘のいいゴリラは嫌いだ痛い痛い痛い!
もう一つサービスしてもらった。
本日も日が暮れるまで膝が壊れるほどの熱血指導を頂きました。
卓球部との対決ですが、熊くるみ先輩の持ち前の身体能力で最終戦は圧勝。
さすが先輩です。
卓球部部長も薩摩部長という蛆が湧いてない事で普通に撮影許可を出したそうな。
俺らは叱られ損。
この恨みを薩摩先輩と今度晴らすことを誓った。
楽しみにしててね。
最後に目撃談。
体育館裏で膝と両手を地面につけて、泣き崩れるA君とB君の姿があったそうです。
だから言ったのに。
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