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告白
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昼休みの屋上。爛々と輝く太陽が照らし、穏やかな風が流れている。
彼女らはいつものように、二人だけで並んで座っていた。
しかしいつもとは少しだけ、雰囲気が違う。
その並んで座る二人の顔は、漫画であれば数本のスラッシュが引かれていただろうと思われる程に、それはもう真っ赤に染め上がっていた。
雰囲気の変わるキッカケは、ショートヘアをした背の小さい方の女の子の一言だった。
「わ、私、シオリちゃんが好き!」
「……えっ?」
一瞬の沈黙。空白の時間が流れる。
「? えっと、私もチハルちゃんのこと好きだよ?」
好きと言われたローポニーの女の子、シオリは、どうやらその『好き』を友達としての意味で捉えることにしたようだ。
女子が女子に言ったのだから、普通はそれで正解だったのかもしれない。
しかし、この時ばかりは違っていた。
「そうじゃない! 違くて……。私の、恋人になって欲しいの。……私を、貴女のモノに、して欲しいの」
そう言った彼女は顔をクッと上げて僅かに上にある相手の目をジッと見つめていた。
それはもう、まるで穴でも開いてしまいそうなほどに、ジーッと。
やがてその視線に耐えられなくなったシオリは少し俯き、「あ、えっと、その……」と消え入るようなか細い声を僅かに出して、両手の指を絡ませもじもじとしながら、段々と赤くなっていった。
「ねえ……やっぱり、ダメ?」
チハルは座っていたシオリの太ももに手を乗せ、さらにグイと迫る。
「ちょっ、近っ……」
そしてシオリは寄せられたチハルの圧に少し驚いたようでクッと身体を引いた。
しかし引いた身体の分、チハルはさらに迫る。右手を肩に、左手は腰へ回して……。
「ぁ………」
シオリは、ゆっくりと後ろに押し倒された。
そして、自分を押し倒す僅かに熱を帯びたチハルの顔を見て、ふっと微笑み目を閉じた。まるで、何かを待っているように。
「……良い、の?」
「……だから」
「えっ?」
シオリは視線を少し外して、恥ずかしがるようにもう一度言う。
「……私もチハルちゃんのこと、好きだから……んっ」
その言葉の直後に、シオリの口は塞がれた。
「んんっ……」
唇が重なり、慣れないシャンプーの香りがシオリの鼻腔をくすぐる。
それは優しいキスだった。触れる程度の、しかし相手を想うような、優しいキス。
数瞬の後に唇が離れ、チハルの口から息が漏れた。
「ん……はぁ……」
その瞬間、シオリは上に乗っていたチハルごと横に転がるようにして上下を返し、
「ねえチハルちゃん。私ね、負けず嫌いなの」
「えっ? ……んん、んむぁ……!?」
チハルの口はシオリの瑞々しく柔らかな唇に塞がれ、直後には艶やかな舌が割って入る。
ぴちゃぴちゃとなまめかしい音をさせながら、その行為は数秒間続いた。チハルはシオリにされるがままで、しかしその横顔は朱色に蕩け、先ほどよりも熱を帯びていた。
シオリが唇を離すと、細い糸が引いた。彼女はその糸を舐めとって、自分の下にいるチハルの両側に手をつき、口を開いた。
「これからよろしくね、チハルちゃん」
「も、もぉ……」
チハルの更に赤くなった顔を見て満足気な表情を浮かべたシオリは起き上がってこちらを見た。そしてわたしと、目が合った。
「えっ」
シオリは固まった。
チハルはそのシオリの様子を見て不思議そうに起き上がり、同じようにこちらをチラと見た。
「あ……」
二人の顔は驚くほど赤くなっていく。それはもう、漫画であれば数本のスラッシュが引かれていただろうと思われる程に。
その様子を見い届けた私はゆっくりと屋上のドアを閉める。
(……このことは、私の心のうちに留めておこう)
後ろから聞こえる僅かな悲鳴を背に、私は階段を降りた。
二人の幸せを、私は願っています。
彼女らはいつものように、二人だけで並んで座っていた。
しかしいつもとは少しだけ、雰囲気が違う。
その並んで座る二人の顔は、漫画であれば数本のスラッシュが引かれていただろうと思われる程に、それはもう真っ赤に染め上がっていた。
雰囲気の変わるキッカケは、ショートヘアをした背の小さい方の女の子の一言だった。
「わ、私、シオリちゃんが好き!」
「……えっ?」
一瞬の沈黙。空白の時間が流れる。
「? えっと、私もチハルちゃんのこと好きだよ?」
好きと言われたローポニーの女の子、シオリは、どうやらその『好き』を友達としての意味で捉えることにしたようだ。
女子が女子に言ったのだから、普通はそれで正解だったのかもしれない。
しかし、この時ばかりは違っていた。
「そうじゃない! 違くて……。私の、恋人になって欲しいの。……私を、貴女のモノに、して欲しいの」
そう言った彼女は顔をクッと上げて僅かに上にある相手の目をジッと見つめていた。
それはもう、まるで穴でも開いてしまいそうなほどに、ジーッと。
やがてその視線に耐えられなくなったシオリは少し俯き、「あ、えっと、その……」と消え入るようなか細い声を僅かに出して、両手の指を絡ませもじもじとしながら、段々と赤くなっていった。
「ねえ……やっぱり、ダメ?」
チハルは座っていたシオリの太ももに手を乗せ、さらにグイと迫る。
「ちょっ、近っ……」
そしてシオリは寄せられたチハルの圧に少し驚いたようでクッと身体を引いた。
しかし引いた身体の分、チハルはさらに迫る。右手を肩に、左手は腰へ回して……。
「ぁ………」
シオリは、ゆっくりと後ろに押し倒された。
そして、自分を押し倒す僅かに熱を帯びたチハルの顔を見て、ふっと微笑み目を閉じた。まるで、何かを待っているように。
「……良い、の?」
「……だから」
「えっ?」
シオリは視線を少し外して、恥ずかしがるようにもう一度言う。
「……私もチハルちゃんのこと、好きだから……んっ」
その言葉の直後に、シオリの口は塞がれた。
「んんっ……」
唇が重なり、慣れないシャンプーの香りがシオリの鼻腔をくすぐる。
それは優しいキスだった。触れる程度の、しかし相手を想うような、優しいキス。
数瞬の後に唇が離れ、チハルの口から息が漏れた。
「ん……はぁ……」
その瞬間、シオリは上に乗っていたチハルごと横に転がるようにして上下を返し、
「ねえチハルちゃん。私ね、負けず嫌いなの」
「えっ? ……んん、んむぁ……!?」
チハルの口はシオリの瑞々しく柔らかな唇に塞がれ、直後には艶やかな舌が割って入る。
ぴちゃぴちゃとなまめかしい音をさせながら、その行為は数秒間続いた。チハルはシオリにされるがままで、しかしその横顔は朱色に蕩け、先ほどよりも熱を帯びていた。
シオリが唇を離すと、細い糸が引いた。彼女はその糸を舐めとって、自分の下にいるチハルの両側に手をつき、口を開いた。
「これからよろしくね、チハルちゃん」
「も、もぉ……」
チハルの更に赤くなった顔を見て満足気な表情を浮かべたシオリは起き上がってこちらを見た。そしてわたしと、目が合った。
「えっ」
シオリは固まった。
チハルはそのシオリの様子を見て不思議そうに起き上がり、同じようにこちらをチラと見た。
「あ……」
二人の顔は驚くほど赤くなっていく。それはもう、漫画であれば数本のスラッシュが引かれていただろうと思われる程に。
その様子を見い届けた私はゆっくりと屋上のドアを閉める。
(……このことは、私の心のうちに留めておこう)
後ろから聞こえる僅かな悲鳴を背に、私は階段を降りた。
二人の幸せを、私は願っています。
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