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第57話 新世界とフェアリーノーム
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しばらくみんなと話していたら、いつの間にか結構な時間が経っていたようでミカたちが帰ってきた。
ミカは換金したお金をミレに渡すと、ボクの隣に陣取ってお茶とお菓子を要求する。
帰って来たばかりのミナとシーラが同時に動いてお茶の準備をしに行ったので、軽くみんなに説明することにした。
「ミカたちも帰ってきたので、一息ついたら新世界に行きます。妖狐は今回は千早さんを連れていくので、あとで呼んできてください。一応予定では新世界で精霊を作るので、完了したら簡単な管理をしてもらおうかなと思っています。あとは探索の前に拠点を作ります」
ミカはお茶を飲みながらコクコクと頷いていた。
でも帰ってきてすぐに給仕に徹していたミナとずっと給仕に徹していたシーラはなぜかボクの真後ろで待機中だ。
「二人ともありがとう。あとでまた何かお願いするかも」
そう言うと、嬉しそうに頷く二人。
ミナもシーラも何か頼まれるのが好きなのかな?
「そういえばミリアムさん。精霊ってどう作るんですか?」
やり方がわからないのでミリアムさんに尋ねる。
「精霊は核となる力の石に魔力や精霊力、神力を込めることで誕生します。主は私を眷属にしているので精霊力も込められると思います」
ミリアムさんはそう言うけど、精霊力ってなんだろうか。
「力の石ってなんですか?」
いまいちわからないのがこれである。
そんな石は見たことがない。
「元素素材のことです。主が橋を造る際に作った結晶が力の石です」
「あれのことなんですね。あれが精霊の命になるのかぁ……」
なんとなく作ったものなので、それが精霊と繋がるとは思いもしなかった。
でもそうか、属性の塊なら発生もありうるのか……。
「元素素材に力を込めるとどうなるんですか?」
「力を込めると、ある一定のところで力の塊が生まれます。主の場合は【言霊】で役割と名前を刻み込めば魂が生まれると思います。私の場合は役割を与えることで増やしていましたので」
「名前と役割、ですか。わかりました」
ミリアムさんの言葉を胸に刻み、ボクもオリジナルの精霊を作ろうと思った。
「主ならできます。あと、受肉させる場合は肉体を用意してください。ホムンクルスなどでもいいと思いますけど、残念ながら私は持っていません」
「精霊って受肉させられるんですか?」
「はい。力を纏った魂のようなものですので」
精霊の受肉もちょっと試してみたいかも。
でもどうやって肉体を用意すればいいんだろう?
◇
休憩を終え、早速新世界へと出発することにしたボクたち。
今回のメンバーはかなり多くて妖狐族からはボクと千早さん、人狼からはマルムさんとセリアさん。
フェアリーノームは全員の合計14人となっている。
「じゃあ通路を通ります。気を付けてくださいね」
再度通路を開いて新世界と繋げると、ミレが先頭を歩いてみんなを誘導する。
なんだかんだでミレが先頭を歩くことは多く、逆にボクはみんなに守られる位置に配置されることが多い。
まぁ通路と言っても、ほとんど一瞬で繋がるので歩いているという感覚はほとんどないんだけど……。
「わっ、ここが新しい世界、なんですか?」
「濃い森の匂いがしますね~」
通路を抜けた途端、マルムさんとセリアさんが若干興奮気味に話す。
特にセリアさんは鼻を鳴らして匂いを確認しているようだ。
「セリアさん、なにかわかるんですか?」
しつこいくらい嗅いでるので少し気になってきた。
「はい。魔物っぽい臭いもしない平和で、でも獣の多い森の匂いがします」
「セリアはこう見えて匂いには敏感なんです。体毛が多かったあの時よりは嗅がれる回数減りましたけどね」
「本当に、人間に近い形になれてよかったわ。遥様のおかげね」
「いえいえ。あ、お二人なんですけど、【狼族】って種族名でもいいですか? 簡単ではあるんですけど」
ちょっと安易かな? 狐の獣人がいたら【狐族】になるわけなんだけど……。
「はい。ありがとうございます」
「ということは、遥様は【狐族】ってことなのかしら?」
「いえ、ボクは妖狐族なので違う種ですね」
「あら残念」
種族名を訂正するとセリアさんが少し残念そうにする。
「もし妖力を得たら種族名変えてあげますね」
「「妖力?」」
二人は首を傾げた。
「秘密の力です」
詳しくは教えてあげないので誤魔化すことにした。
「遥様~! シーラちゃんたちがしゃべりました~!!」
次はどうしようか考えていると、千早さんが慌てながらボクのところにやってきた。
どうやらフェアリーノームがしゃべったことに驚いたようだ。
「ここだとしゃべれるみたいですよ? ねー? ミレ」
「はい、主様」
「わ、ミレさんも!?」
千早さんはミレにも驚いていた。
賑やかな子だなぁ。
「ご主人ご主人」
「ご主人様~」
ミカとミナがご主人と言いながらボクの周りにやってきた。
ミカはボクのことを【ご主人】って呼んでるのか。
ミナはいつもボクの近くに控えているだけあってそれっぽい呼び方かも。
ミカは少し高めな声だけど、ミナは少し落ち着いた声をしている。
「はい。ミカ、ミナ」
二人を撫でながら名前を呼んでいると、ミカたちの後ろに人影が見えた。
「マ、マスター……」
「マスター?」
聞きなれない単語が聞こえたので見てみると、そこにはシーラがいた。
「あ、は、はい……。そう呼んでみたくて、ですね……。だ、旦那様でもいい、ですよ?」
「シーラ、それはだめでしょ」
「シーラちゃん、それは許しません」
「え、えぇ……」
シーラのボクの別の呼び方にミカとミナが反応した。
何やら怖い空気が渦巻いている。
「マスターでいいのでは? シーラもミカもミナもそこまでにしなさい」
恐ろしいことが起きる前にミレが仲裁に乗り出した。
「わ、わかったわ」
「ごめんなさい」
「す、すみません……」
三人はミレが怖いのかすぐに大人しくなってしまった。
「さすがミレ、ですね」
「ふふふ。あまり褒めないでください。主様。三人はほかの子と一緒に拠点作成を始めてください。私は主様と一緒に予定を考えます」
「「「はい!!」」」
ミレの指示により三人がまとまってほかの子たちの元へと走っていく。
ミレ、すごい。
「さすがミレさん」
「もう……」
ミレは照れながらそっぽを向いてしまった。
ミカは換金したお金をミレに渡すと、ボクの隣に陣取ってお茶とお菓子を要求する。
帰って来たばかりのミナとシーラが同時に動いてお茶の準備をしに行ったので、軽くみんなに説明することにした。
「ミカたちも帰ってきたので、一息ついたら新世界に行きます。妖狐は今回は千早さんを連れていくので、あとで呼んできてください。一応予定では新世界で精霊を作るので、完了したら簡単な管理をしてもらおうかなと思っています。あとは探索の前に拠点を作ります」
ミカはお茶を飲みながらコクコクと頷いていた。
でも帰ってきてすぐに給仕に徹していたミナとずっと給仕に徹していたシーラはなぜかボクの真後ろで待機中だ。
「二人ともありがとう。あとでまた何かお願いするかも」
そう言うと、嬉しそうに頷く二人。
ミナもシーラも何か頼まれるのが好きなのかな?
「そういえばミリアムさん。精霊ってどう作るんですか?」
やり方がわからないのでミリアムさんに尋ねる。
「精霊は核となる力の石に魔力や精霊力、神力を込めることで誕生します。主は私を眷属にしているので精霊力も込められると思います」
ミリアムさんはそう言うけど、精霊力ってなんだろうか。
「力の石ってなんですか?」
いまいちわからないのがこれである。
そんな石は見たことがない。
「元素素材のことです。主が橋を造る際に作った結晶が力の石です」
「あれのことなんですね。あれが精霊の命になるのかぁ……」
なんとなく作ったものなので、それが精霊と繋がるとは思いもしなかった。
でもそうか、属性の塊なら発生もありうるのか……。
「元素素材に力を込めるとどうなるんですか?」
「力を込めると、ある一定のところで力の塊が生まれます。主の場合は【言霊】で役割と名前を刻み込めば魂が生まれると思います。私の場合は役割を与えることで増やしていましたので」
「名前と役割、ですか。わかりました」
ミリアムさんの言葉を胸に刻み、ボクもオリジナルの精霊を作ろうと思った。
「主ならできます。あと、受肉させる場合は肉体を用意してください。ホムンクルスなどでもいいと思いますけど、残念ながら私は持っていません」
「精霊って受肉させられるんですか?」
「はい。力を纏った魂のようなものですので」
精霊の受肉もちょっと試してみたいかも。
でもどうやって肉体を用意すればいいんだろう?
◇
休憩を終え、早速新世界へと出発することにしたボクたち。
今回のメンバーはかなり多くて妖狐族からはボクと千早さん、人狼からはマルムさんとセリアさん。
フェアリーノームは全員の合計14人となっている。
「じゃあ通路を通ります。気を付けてくださいね」
再度通路を開いて新世界と繋げると、ミレが先頭を歩いてみんなを誘導する。
なんだかんだでミレが先頭を歩くことは多く、逆にボクはみんなに守られる位置に配置されることが多い。
まぁ通路と言っても、ほとんど一瞬で繋がるので歩いているという感覚はほとんどないんだけど……。
「わっ、ここが新しい世界、なんですか?」
「濃い森の匂いがしますね~」
通路を抜けた途端、マルムさんとセリアさんが若干興奮気味に話す。
特にセリアさんは鼻を鳴らして匂いを確認しているようだ。
「セリアさん、なにかわかるんですか?」
しつこいくらい嗅いでるので少し気になってきた。
「はい。魔物っぽい臭いもしない平和で、でも獣の多い森の匂いがします」
「セリアはこう見えて匂いには敏感なんです。体毛が多かったあの時よりは嗅がれる回数減りましたけどね」
「本当に、人間に近い形になれてよかったわ。遥様のおかげね」
「いえいえ。あ、お二人なんですけど、【狼族】って種族名でもいいですか? 簡単ではあるんですけど」
ちょっと安易かな? 狐の獣人がいたら【狐族】になるわけなんだけど……。
「はい。ありがとうございます」
「ということは、遥様は【狐族】ってことなのかしら?」
「いえ、ボクは妖狐族なので違う種ですね」
「あら残念」
種族名を訂正するとセリアさんが少し残念そうにする。
「もし妖力を得たら種族名変えてあげますね」
「「妖力?」」
二人は首を傾げた。
「秘密の力です」
詳しくは教えてあげないので誤魔化すことにした。
「遥様~! シーラちゃんたちがしゃべりました~!!」
次はどうしようか考えていると、千早さんが慌てながらボクのところにやってきた。
どうやらフェアリーノームがしゃべったことに驚いたようだ。
「ここだとしゃべれるみたいですよ? ねー? ミレ」
「はい、主様」
「わ、ミレさんも!?」
千早さんはミレにも驚いていた。
賑やかな子だなぁ。
「ご主人ご主人」
「ご主人様~」
ミカとミナがご主人と言いながらボクの周りにやってきた。
ミカはボクのことを【ご主人】って呼んでるのか。
ミナはいつもボクの近くに控えているだけあってそれっぽい呼び方かも。
ミカは少し高めな声だけど、ミナは少し落ち着いた声をしている。
「はい。ミカ、ミナ」
二人を撫でながら名前を呼んでいると、ミカたちの後ろに人影が見えた。
「マ、マスター……」
「マスター?」
聞きなれない単語が聞こえたので見てみると、そこにはシーラがいた。
「あ、は、はい……。そう呼んでみたくて、ですね……。だ、旦那様でもいい、ですよ?」
「シーラ、それはだめでしょ」
「シーラちゃん、それは許しません」
「え、えぇ……」
シーラのボクの別の呼び方にミカとミナが反応した。
何やら怖い空気が渦巻いている。
「マスターでいいのでは? シーラもミカもミナもそこまでにしなさい」
恐ろしいことが起きる前にミレが仲裁に乗り出した。
「わ、わかったわ」
「ごめんなさい」
「す、すみません……」
三人はミレが怖いのかすぐに大人しくなってしまった。
「さすがミレ、ですね」
「ふふふ。あまり褒めないでください。主様。三人はほかの子と一緒に拠点作成を始めてください。私は主様と一緒に予定を考えます」
「「「はい!!」」」
ミレの指示により三人がまとまってほかの子たちの元へと走っていく。
ミレ、すごい。
「さすがミレさん」
「もう……」
ミレは照れながらそっぽを向いてしまった。
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