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第50話 黒い宝珠
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無事引継ぎも終わり、ボクたちの行列も解散となったのだが一部の従者たちは帰るそぶりを見せない。
それも全員女性なので何かあるのだろうか? と思ったら玄斉さんから意外なことを告げられた。
「今残っている巫女服の妖狐族は姫様のお付きとなります。姫様は神格の引継ぎを終えたので、今後はご自身の領域を作ることになります。彼女たちは新たなる領域を盛り立てる際にお役立てください」
玄斉さんがそう言うと妖狐族女性たちは一斉に頭を下げる。
「あ、よ、よろしく、おねがいします……」
慌ててボクも頭を下げる。
すると玄斉さんが困った顔をしながら咳払いする。
「あ、ご、ごめんなさい」
どうやらボクが頭を下げるのは良くないようだ。
「いえ。姫様は8歳の身体なれど16年しか生きていない方と聞いています。まだ妖狐族の所作などはわからないかと思いますので問題ありません」
「えっ? 普通だと、16年生きててもわからないの? なんて言われることがあるのですが……」
日本で言われることが多いのでちょっと不安なんです。
「それは人間の基準での話です。我々妖狐族の基準では遥様はまだまだ幼子同然です」
「あ、そ、そうなんですね」
妖狐族恐るべし。まさかまだ小さいから仕方ないで済まされるとは……。
「姫様、ドタバタしていて渡すのが遅くなりましたがこれを。若葉様より姫様にと渡されました黒い宝珠です。話によると葛葉様の関係だとか」
玄斉さんから漆黒の玉を受け取る。
どこからどう見ても真っ黒で、逆に奇麗に思える。
これはなんだろう?
「使い方については若葉様もご存じないようでした。宝玉なので何かに嵌めるものかと思われますが……」
「嵌める、ですか……」
そういえば、最近嵌められそうな場所を見たっけ……。
「玄斉さん。この玉ですが、少し嵌めてみてもいいですか?」
「構いませんが、どちらに嵌めるのですか?」
「橋の手前の台座です」
首を傾げる玄斉さんに一言断りを入れて、ボクは台座へと向かった。
「この台座にうまいこと嵌りそう……。あ、嵌った!!」
ボクの予想通り、黒い玉は台座に嵌った。
するとーー。
「!?」
台座に嵌め込まれた黒い玉は一瞬きらめいたかと思うと、ボクへと見えない力が流れ込む。そして崩れて砂のようになり空気に溶け込むように消えていった。
今のは何だったんだろう?
「宝玉は消えてしまったようですが、何か異変などはございますか?」
玄斉さんが心配そうにしている。
「は、はい。とりあえず問題ないようです……」
自分の身体に異変があるか確認してみるが、特に変わったところはない。
おそらく問題はないはずだ。
マルムさんたちが離れた場所にいてよかった。
「とりあえず戻りましょう。姫様、転移をお願いいたします」
「わかりました。ミレ、座標記録OK?」
ボクの問いかけにミレはこくんと頷いた。
「じゃあここに人除けを。転移水晶を設置して起動します」
人除け結界のおかげでこの辺りに人が来ることはないし、万が一見つかったとしてもこの水晶は自動的に破壊されるので誰の手に触れることもない。
一通り準備が終わったのでさくっと自宅までのゲートを開く。
「さすが若葉様の血筋です」
「そうなんですか?」
「はい。このような回廊は私どもでは作り出すことはできません。転移ゲート、転移回廊、次元回廊など色々言われていますが、この手の力は神技なのです」
ボクはなんとなくできていたが、どうやらこれはすごいことだったようだ。
というか、ボクの周りにはできる人が多すぎる気がする……。
「ミレ、ミカ、ミナ。それとマルムさんたちとミリアムさんたち、いきますよ~」
「はい。主」
「一緒に行きます、遥様」
「急がないと」
みんないそいそと乗り込んだので馬車でさっそく自宅へ帰宅開始だ。
「あっ」
ボクたちの家に空き部屋があまりなかったことに今更気が付いた。
さて、どうしよう。
「玄斉さんは今日はどうするんですか?」
今日の予定を玄斉さんに確認してから拡張について考えよう。
「本日は一度帰ります。侍女となるこの娘たちは残していきますのでなんでもお申し付けください」
「わかりました。今いる人は~……。10人ですか。ちょっと部屋数足りないので3人一部屋でお願いしますね」
「「はい」」
ボクたちの家に残る侍女役の妖狐族女性たちの見た目は、10代半ばといったところだ。
多分若い子が来ているのだと思う。
「玄斉さん。彼女たちは若い妖狐族なのですか?」
「はい。まだ120歳程度の若い娘たちになります。まだ眷属になってはいませんので、お眼鏡に適えば眷属にしてあげてください」
玄斉さんに確認すると、やはり若い子たちのようだった。
と言っても、ボクよりはずっと年上なんだけど。
「わかりました。明日になったら領域作成も始めてみます」
「お願いいたします。妖都伏見と直接繋がることを楽しみにしています」
「はい。じゃあみんな、さっそく部屋割りを始ますよ。あ、あとでみんなの名前を教えてくださいね」
それも全員女性なので何かあるのだろうか? と思ったら玄斉さんから意外なことを告げられた。
「今残っている巫女服の妖狐族は姫様のお付きとなります。姫様は神格の引継ぎを終えたので、今後はご自身の領域を作ることになります。彼女たちは新たなる領域を盛り立てる際にお役立てください」
玄斉さんがそう言うと妖狐族女性たちは一斉に頭を下げる。
「あ、よ、よろしく、おねがいします……」
慌ててボクも頭を下げる。
すると玄斉さんが困った顔をしながら咳払いする。
「あ、ご、ごめんなさい」
どうやらボクが頭を下げるのは良くないようだ。
「いえ。姫様は8歳の身体なれど16年しか生きていない方と聞いています。まだ妖狐族の所作などはわからないかと思いますので問題ありません」
「えっ? 普通だと、16年生きててもわからないの? なんて言われることがあるのですが……」
日本で言われることが多いのでちょっと不安なんです。
「それは人間の基準での話です。我々妖狐族の基準では遥様はまだまだ幼子同然です」
「あ、そ、そうなんですね」
妖狐族恐るべし。まさかまだ小さいから仕方ないで済まされるとは……。
「姫様、ドタバタしていて渡すのが遅くなりましたがこれを。若葉様より姫様にと渡されました黒い宝珠です。話によると葛葉様の関係だとか」
玄斉さんから漆黒の玉を受け取る。
どこからどう見ても真っ黒で、逆に奇麗に思える。
これはなんだろう?
「使い方については若葉様もご存じないようでした。宝玉なので何かに嵌めるものかと思われますが……」
「嵌める、ですか……」
そういえば、最近嵌められそうな場所を見たっけ……。
「玄斉さん。この玉ですが、少し嵌めてみてもいいですか?」
「構いませんが、どちらに嵌めるのですか?」
「橋の手前の台座です」
首を傾げる玄斉さんに一言断りを入れて、ボクは台座へと向かった。
「この台座にうまいこと嵌りそう……。あ、嵌った!!」
ボクの予想通り、黒い玉は台座に嵌った。
するとーー。
「!?」
台座に嵌め込まれた黒い玉は一瞬きらめいたかと思うと、ボクへと見えない力が流れ込む。そして崩れて砂のようになり空気に溶け込むように消えていった。
今のは何だったんだろう?
「宝玉は消えてしまったようですが、何か異変などはございますか?」
玄斉さんが心配そうにしている。
「は、はい。とりあえず問題ないようです……」
自分の身体に異変があるか確認してみるが、特に変わったところはない。
おそらく問題はないはずだ。
マルムさんたちが離れた場所にいてよかった。
「とりあえず戻りましょう。姫様、転移をお願いいたします」
「わかりました。ミレ、座標記録OK?」
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「じゃあここに人除けを。転移水晶を設置して起動します」
人除け結界のおかげでこの辺りに人が来ることはないし、万が一見つかったとしてもこの水晶は自動的に破壊されるので誰の手に触れることもない。
一通り準備が終わったのでさくっと自宅までのゲートを開く。
「さすが若葉様の血筋です」
「そうなんですか?」
「はい。このような回廊は私どもでは作り出すことはできません。転移ゲート、転移回廊、次元回廊など色々言われていますが、この手の力は神技なのです」
ボクはなんとなくできていたが、どうやらこれはすごいことだったようだ。
というか、ボクの周りにはできる人が多すぎる気がする……。
「ミレ、ミカ、ミナ。それとマルムさんたちとミリアムさんたち、いきますよ~」
「はい。主」
「一緒に行きます、遥様」
「急がないと」
みんないそいそと乗り込んだので馬車でさっそく自宅へ帰宅開始だ。
「あっ」
ボクたちの家に空き部屋があまりなかったことに今更気が付いた。
さて、どうしよう。
「玄斉さんは今日はどうするんですか?」
今日の予定を玄斉さんに確認してから拡張について考えよう。
「本日は一度帰ります。侍女となるこの娘たちは残していきますのでなんでもお申し付けください」
「わかりました。今いる人は~……。10人ですか。ちょっと部屋数足りないので3人一部屋でお願いしますね」
「「はい」」
ボクたちの家に残る侍女役の妖狐族女性たちの見た目は、10代半ばといったところだ。
多分若い子が来ているのだと思う。
「玄斉さん。彼女たちは若い妖狐族なのですか?」
「はい。まだ120歳程度の若い娘たちになります。まだ眷属になってはいませんので、お眼鏡に適えば眷属にしてあげてください」
玄斉さんに確認すると、やはり若い子たちのようだった。
と言っても、ボクよりはずっと年上なんだけど。
「わかりました。明日になったら領域作成も始めてみます」
「お願いいたします。妖都伏見と直接繋がることを楽しみにしています」
「はい。じゃあみんな、さっそく部屋割りを始ますよ。あ、あとでみんなの名前を教えてくださいね」
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