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第8話 お江戸の技術発展を目指して
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みんなでお風呂! な夜イベントを終え翌日。
私たちは今後のことについて考えることにしました。
具体的にはここでの休暇生活をどう便利にするかです。
た・だ・し、無用な技術を押し付けないことが条件ですが。
とはいえ、領地内は誰も来ないのでどうやってもいいんですけどね。
「ご主人様、昨夜は楽しかったですね」
妙にいい笑顔でラティスが話しかけてきます。
そういえばこの子、昨夜はお風呂でやたらとくっついてきましたっけ。
「ご主人様の尻尾洗うの楽しかったです~!」
「お風呂も気持ちよかったですね」
「今日もみんなで入るです」
「今日は私が洗う番です!」
「みんな朝から元気ですね……」
ラティスはおいといて、ほかの子たちはみんな小さいせいか元気が有り余っている様子です。
今日も引き続き建築とか採集のお仕事をお願いしておきましょう。
「というわけでまた建築と採集お願いしますね。鉱石類とかもあるといいんですけど」
買い入れてもいいのですが、この世界のお金はまだもってないんですよね。
とりあえず銅山銀山金山のどれかでもあれば公儀に提供して資金を得ることも可能ではあるのですが……。
「わかりました~!」
「地中から金属を抽出することはできます」
「鉱山無くても大丈夫です」
「生まれ変わってからできるようになりました!」
「それはすごいですね」
元ドワーフ族の自然霊の可能性を見た気がします。
少なくともこの能力があれば鉄材には困らない可能性が? まぁ金銀銅は私要らないんですけどね。
「建築作業前に鉱脈探ししてみます」
「いい鉱脈あったらお知らせするです」
「お散歩お散歩~」
「はい、いってらっしゃいませ」
というわけで元気よく3人が出かけてしまいました。
残された1人はどうするのかと思ったら早速やることを見つけたようです。
「ご主人様のために木材作ります~!」
どうやらみんなそれぞれできることとできないことを理解している様子。
「ですね。製鉄したりするときには力を必要とされるかもしれませんから今のうちにやっておかないとですね」
「ですです~! 風を操れるのは私の特権なのです~!!」
最初の子はそう言うとさっそく森へと向かっていってしまいました。
残されたのは私とラティスだけ。
さて……。
「そういえば気になっていたんですが、今後の日ノ本の技術は発展が見込めそうですか?」
健全な発展のために私たちは無理矢理技術を与えないようにするつもりです。
なので、今後どうなるか気になっていたりします。
「実は、特例で1人だけ西方世界人が住んでいるんですがご存じでしたか?」
「え? そうなんですか? てっきり火国(かこく)だけかと思っていました」
基本的に西方世界人は火国より東には入れない制限が設けられている。
しかし、幕府、つまり公儀が許可を出すことで一時的に結界が緩和され入ることが可能になるんです。
でもそれは一時的なこと。
いずれは限界を迎え入ることが叶わなくなります。
私の許可を得ない限りは。
「はい。それでその西方世界人が一応技術者でして」
「なるほどです。でもなぜここに留まっているのですか? 技術者ならどこでも重宝されるのでは?」
「それがその……」
何か言いにくいことがあるのか、ラティスが視線を彷徨わせています。
そして意を決したようにこう言ったのです。
「実のとこと、西方世界は一部では航海技術が発展して遠洋航海が可能にはなりました。ですが技術そのものは重要視されていないと言いますか、魔法である程度完結してしまうため軽視されているのが現状でして……」
「空を飛ぶ乗り物を作るくらいなら空を飛べる魔道具を作ったり魔法を使えばいいと?」
「そうなんです。船舶に関しては輸送や旅客の兼ね合いで発展しはしましたけど」
「魔法も考え物ですね」
「はい……」
どうやら西方世界は技術開発を疎かにしてしまっているようです。
魔道具も技術に違いはないでしょうが使用しているエネルギーの違いがあります。
「彼が東方世界に来た際は帆船でしたので事なきを得ましたが、魔力を使った船であれば目も当てられなかったでしょう」
「ということは実際に?」
「はい。東方世界を目指して何隻もの魔力船が出向しましたが霧の結界に阻まれて戻ったり、抜けられたとしても動力を失い漂流して海の藻屑になりました」
「ありゃりゃ」
どうやらすでに被害は出てしまっているようです。
しかし強力な船を繰り出して航海する場合、目標としていることは自ずと限られてしまいます。
つまり、侵略と征服と略奪です。
「それでその西方世界人はまともな人間なんですか?」
私が気になるところはその一点のみです。
「はい、技術が大好きで好奇心旺盛ですが思慮深い人間です。内面も成熟していますね」
「なるほど。それでですか」
「それとこちらに来て猫獣人の奥さんを貰いましたから余計帰りたくないようですよ?」
「おやおや?」
どうやら西方世界では馴染みのない獣人を気に入ってしまったようです。
とすると、今後の日ノ本の技術発展にも力を貸してくれるかもしれませんね。
「とりあえず事情は分かりました。まずは御狐の地に行き、見てみましょうか」
「はい!」
こうして私たちの次の目標が決まりました。
『雛菊様、今日も雛菊様への贈り物が届きましたよ』
『杏じゃないですか。今日も誰か来たんですか?』
どうやら今日も参拝者が奉納品を置いて行ってくれたようです。
昨日の今日なのでデイリーボーナスみたいになっていますね。
『今回は八百正(やおまさ)競馬で大勝したといって新鮮野菜を10キロ置いていきました。それと雛菊様が異世界に行って休暇を取ってることを話したら松屋工務店の松屋さんが来て開拓道具一式を置いていきました。そちらに送っておきますね』
『わお。まさかの道具にお野菜ですか。ありがたいです。そちらに戻ったらお礼を言わないとですね』
『そうですね。でも白百合様がお戻りになられてお礼を言いに行ってしまったので大丈夫かもしれません』
『え? お母様帰ってきたのですか?』
『はい。相変わらず小さい方でした。本当に昔は大きかったんでしょうか』
『あはは……』
どうやらお母様が高天原から戻ってきたようでした。
とりあえずは社の方は大丈夫そうですね。
「ご主人様? どうなさいました?」
私と巫女が念話で話している間、ラティスは待っていてくれたようでした。
割り込んでこない偉い子です。
「奉納品が来たらしいので届けてくれるそうです。お野菜と開拓道具らしいですよ」
「おぉ! いいですね!」
「それとお母様が帰ってきたそうです」
「えっ!? 白百合様が!?」
奉納品の話をしたら顔を緩ませて喜んでいたラティスですが、お母様の話をした途端、驚きの表情に変わってしまいました。
ラティスはお母様が苦手なんです。
「まぁとりあえず御狐領に移動しながら話しましょうか」
「そ、そうですね……。それにしても白百合様ですか……」
ラティスは昔のお母様を知っている子でもあります。
今は私よりちょっと大きいくらいの身長のお母様ですが、昔は何と172cmもあったそうです。
お父様の話によると、私が生まれて一年くらいしてからしまいに見られたいとの理由から145cmになったそうです。
ちょっと意味が分かりません。
「そういえば私、領地から直接外に出るの初めてです」
領地から御狐領まではある程度離れていますが日が暮れるほどではないようです。
もちろん歩くと時間がかかるので、ある程度外に出たら鳥居に向かって転移する予定ですが。
「転移用の鳥居はたくさんありますけど、今回は少し領地の外を見てから使いましょうか。ご主人様にもしっかり見ていただきたいですし」
「そうですね。領地の結界の外はどうなっているのでしょうか。少し気になります」
こうして私たちは移動する少しの間、領地の外を軽く見てみることにしました。
しかしそこには驚きの物があったのです。
もしかしてラティスはこれを見せたかったのでしょうか?
私たちは今後のことについて考えることにしました。
具体的にはここでの休暇生活をどう便利にするかです。
た・だ・し、無用な技術を押し付けないことが条件ですが。
とはいえ、領地内は誰も来ないのでどうやってもいいんですけどね。
「ご主人様、昨夜は楽しかったですね」
妙にいい笑顔でラティスが話しかけてきます。
そういえばこの子、昨夜はお風呂でやたらとくっついてきましたっけ。
「ご主人様の尻尾洗うの楽しかったです~!」
「お風呂も気持ちよかったですね」
「今日もみんなで入るです」
「今日は私が洗う番です!」
「みんな朝から元気ですね……」
ラティスはおいといて、ほかの子たちはみんな小さいせいか元気が有り余っている様子です。
今日も引き続き建築とか採集のお仕事をお願いしておきましょう。
「というわけでまた建築と採集お願いしますね。鉱石類とかもあるといいんですけど」
買い入れてもいいのですが、この世界のお金はまだもってないんですよね。
とりあえず銅山銀山金山のどれかでもあれば公儀に提供して資金を得ることも可能ではあるのですが……。
「わかりました~!」
「地中から金属を抽出することはできます」
「鉱山無くても大丈夫です」
「生まれ変わってからできるようになりました!」
「それはすごいですね」
元ドワーフ族の自然霊の可能性を見た気がします。
少なくともこの能力があれば鉄材には困らない可能性が? まぁ金銀銅は私要らないんですけどね。
「建築作業前に鉱脈探ししてみます」
「いい鉱脈あったらお知らせするです」
「お散歩お散歩~」
「はい、いってらっしゃいませ」
というわけで元気よく3人が出かけてしまいました。
残された1人はどうするのかと思ったら早速やることを見つけたようです。
「ご主人様のために木材作ります~!」
どうやらみんなそれぞれできることとできないことを理解している様子。
「ですね。製鉄したりするときには力を必要とされるかもしれませんから今のうちにやっておかないとですね」
「ですです~! 風を操れるのは私の特権なのです~!!」
最初の子はそう言うとさっそく森へと向かっていってしまいました。
残されたのは私とラティスだけ。
さて……。
「そういえば気になっていたんですが、今後の日ノ本の技術は発展が見込めそうですか?」
健全な発展のために私たちは無理矢理技術を与えないようにするつもりです。
なので、今後どうなるか気になっていたりします。
「実は、特例で1人だけ西方世界人が住んでいるんですがご存じでしたか?」
「え? そうなんですか? てっきり火国(かこく)だけかと思っていました」
基本的に西方世界人は火国より東には入れない制限が設けられている。
しかし、幕府、つまり公儀が許可を出すことで一時的に結界が緩和され入ることが可能になるんです。
でもそれは一時的なこと。
いずれは限界を迎え入ることが叶わなくなります。
私の許可を得ない限りは。
「はい。それでその西方世界人が一応技術者でして」
「なるほどです。でもなぜここに留まっているのですか? 技術者ならどこでも重宝されるのでは?」
「それがその……」
何か言いにくいことがあるのか、ラティスが視線を彷徨わせています。
そして意を決したようにこう言ったのです。
「実のとこと、西方世界は一部では航海技術が発展して遠洋航海が可能にはなりました。ですが技術そのものは重要視されていないと言いますか、魔法である程度完結してしまうため軽視されているのが現状でして……」
「空を飛ぶ乗り物を作るくらいなら空を飛べる魔道具を作ったり魔法を使えばいいと?」
「そうなんです。船舶に関しては輸送や旅客の兼ね合いで発展しはしましたけど」
「魔法も考え物ですね」
「はい……」
どうやら西方世界は技術開発を疎かにしてしまっているようです。
魔道具も技術に違いはないでしょうが使用しているエネルギーの違いがあります。
「彼が東方世界に来た際は帆船でしたので事なきを得ましたが、魔力を使った船であれば目も当てられなかったでしょう」
「ということは実際に?」
「はい。東方世界を目指して何隻もの魔力船が出向しましたが霧の結界に阻まれて戻ったり、抜けられたとしても動力を失い漂流して海の藻屑になりました」
「ありゃりゃ」
どうやらすでに被害は出てしまっているようです。
しかし強力な船を繰り出して航海する場合、目標としていることは自ずと限られてしまいます。
つまり、侵略と征服と略奪です。
「それでその西方世界人はまともな人間なんですか?」
私が気になるところはその一点のみです。
「はい、技術が大好きで好奇心旺盛ですが思慮深い人間です。内面も成熟していますね」
「なるほど。それでですか」
「それとこちらに来て猫獣人の奥さんを貰いましたから余計帰りたくないようですよ?」
「おやおや?」
どうやら西方世界では馴染みのない獣人を気に入ってしまったようです。
とすると、今後の日ノ本の技術発展にも力を貸してくれるかもしれませんね。
「とりあえず事情は分かりました。まずは御狐の地に行き、見てみましょうか」
「はい!」
こうして私たちの次の目標が決まりました。
『雛菊様、今日も雛菊様への贈り物が届きましたよ』
『杏じゃないですか。今日も誰か来たんですか?』
どうやら今日も参拝者が奉納品を置いて行ってくれたようです。
昨日の今日なのでデイリーボーナスみたいになっていますね。
『今回は八百正(やおまさ)競馬で大勝したといって新鮮野菜を10キロ置いていきました。それと雛菊様が異世界に行って休暇を取ってることを話したら松屋工務店の松屋さんが来て開拓道具一式を置いていきました。そちらに送っておきますね』
『わお。まさかの道具にお野菜ですか。ありがたいです。そちらに戻ったらお礼を言わないとですね』
『そうですね。でも白百合様がお戻りになられてお礼を言いに行ってしまったので大丈夫かもしれません』
『え? お母様帰ってきたのですか?』
『はい。相変わらず小さい方でした。本当に昔は大きかったんでしょうか』
『あはは……』
どうやらお母様が高天原から戻ってきたようでした。
とりあえずは社の方は大丈夫そうですね。
「ご主人様? どうなさいました?」
私と巫女が念話で話している間、ラティスは待っていてくれたようでした。
割り込んでこない偉い子です。
「奉納品が来たらしいので届けてくれるそうです。お野菜と開拓道具らしいですよ」
「おぉ! いいですね!」
「それとお母様が帰ってきたそうです」
「えっ!? 白百合様が!?」
奉納品の話をしたら顔を緩ませて喜んでいたラティスですが、お母様の話をした途端、驚きの表情に変わってしまいました。
ラティスはお母様が苦手なんです。
「まぁとりあえず御狐領に移動しながら話しましょうか」
「そ、そうですね……。それにしても白百合様ですか……」
ラティスは昔のお母様を知っている子でもあります。
今は私よりちょっと大きいくらいの身長のお母様ですが、昔は何と172cmもあったそうです。
お父様の話によると、私が生まれて一年くらいしてからしまいに見られたいとの理由から145cmになったそうです。
ちょっと意味が分かりません。
「そういえば私、領地から直接外に出るの初めてです」
領地から御狐領まではある程度離れていますが日が暮れるほどではないようです。
もちろん歩くと時間がかかるので、ある程度外に出たら鳥居に向かって転移する予定ですが。
「転移用の鳥居はたくさんありますけど、今回は少し領地の外を見てから使いましょうか。ご主人様にもしっかり見ていただきたいですし」
「そうですね。領地の結界の外はどうなっているのでしょうか。少し気になります」
こうして私たちは移動する少しの間、領地の外を軽く見てみることにしました。
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