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第19話 温泉と亜寿沙姉様
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高尾山にある温泉施設は人間界側と妖精郷側の二ヶ所に入口があり、普段は人間界側のみ運営されている。
地理的位置は別の場所にあるので妖精郷の高尾山は実質別の山なのだが、実は境界の一部が接しているため妖精郷側の高尾山から人間界の高尾山へとすぐに移動することが出来る。
この辺りはどうしてそうなってるのかはわからないが、一説によると大天狗が移動するときに無理矢理似た場所につなげたのが原因だという。
現在は出入口を鬼族が管理し、接客などの仕事は天狗族が行っている。
これだけ聞くとホラーな世界を彷彿させるかもしれないから言っておくけど、妖精郷も人間界も大した差はない。
別に血まみれだったりするわけでも幽霊がうろついているわけでもない。
そう言うのは冥府と繋がった場所で起こることだからだ。
話はずれるが、冥府と呼ばれる場所は色々と歪んでいるらしく、現代と同じ建物が存在していたり、逆に何もない荒野があったりするそうだ。
ちなみに冥府を色で表すと赤と黒と灰色の世界になる。
なのでうっかりこちら側に人間が迷い込んでも何にも問題はないというわけ。
鬼だって人は食べないからね。
ボクは今、お母様の身体に包まれて座っている。
一番お父様に似ているのがボクというのも理由らしい。
お母様と一番良く似ているのは葵姉様で次が弥生姉様だ。
宗親兄様は髪色以外はお父様に似ているらしく、ボクは髪色や雰囲気はお父様にそっくりなのだとか。
身体の方はお母様と同じようになることはあーちゃんの力を借りて視ているので知ってい。
いずれは胸も大きくスタイルもいい美女になることは間違いない。
問題はそれがいつになるかということだけだ。
最低でも二百年は先のようだけども……。
「暮葉ちゃんたちと一緒に温泉に行けるのは本当に嬉しいこと」
お母様がボクを撫でながらそう言う。
今日のお母様はとてもご機嫌だ。
「お母様も暮葉ちゃんと居られて嬉しそうですね~」
「あら、弥生もまだまだ小さいのだから遠慮しないでお母様のところに行けばいいのに」
「妖種的には子供だってのはわかってるんですけど~、やっぱり人間界だと大学生ですし~? 甘えていいのか悩みどころなんですよ~」
お母様に抱かれているボクを見ながら、葵姉様と弥生姉様が話し合っていた。
弥生姉様はボクより少しだけ早く生まれているせいもあって素直に甘えることには抵抗があるようだ。
どちらかというと妹がいるので甘えるよりも甘やかしたいほうが勝っているようだ。
「葵ちゃんのまっすぐな性格は主様譲りじゃな。弥生ちゃんの性格は妾と同じってところ。母性のほうが強くて甘やかしたくなっちゃうタイプというわけじゃ。妾と葛の葉は同じタイプだからどっちかが甘やかしたり甘えたりするような関係じゃなかったのぅ」
葛の葉お母様は天都お母様の双子の妹でお父様の第二夫人だ。
お母様が金髪なのに対して白い髪をしているのが特徴で優し気な風貌の美女だ。
うちの天都お母様はどっちかというと少し強気な印象を受けるかもしれない。
双子なので実際そんなに大差はないのだけど。
「そういえば葛の葉お母様は?」
ボクがそう言うと、お母様はにっこり微笑んで一言。
「妾の代わりにコラボなどの計画を作っておるところじゃ。つまり来ぬ」
葛の葉お母様には今度何かを差し入れしてあげよう。
ボクは心の中でそっと誓った。
「皆、もう着くよ。向こうには亜寿沙さんが来ているらしいから挨拶を忘れないようにね」
「は~い」
「はい」
「了解です、宗親兄様」
「亜寿沙のやつも随分疲れておったし、今日は労いの宴会じゃな」
ボクたちはそれぞれに返事をし、到着を待った。
しばらくして温泉施設入り口にたどり着いた。
ここにある扉を抜けると人間界に出ることになる。
入り口に行く前に駐車場に入り、そこで車を停めると少し歩いた。
駐車場から少し行った先に見えている入り口の付近まで行くと「お待ちしておりました」と誰かが声をかけてきた。
声のした方向を向くとそこには長い綺麗な黒髪の美女がこちらを向いて立っていた。
見た目は十代中頃のお嬢様といった感じで、身長は155cmから160cmの間といったところだろうか。
とても優しげな容貌の女性だ。
そう、彼女が鬼族の頭領の亜寿沙姉様だ。
お母様と違い高校にいても不思議ではない容姿をしている、お母様より年上のお姉様である。
「暮葉ちゃん、お久しぶり。酒吞童子たちがいつもお世話になっていますね」
ボクを見てにっこりと微笑みかける亜寿沙姉様。
彼女は酒吞童子たちにとっての姉であり親でもあるのだ。
酒吞童子も見た目だけなら深窓の令嬢みたいに見えるので、知らない人が見たら姉妹にしか見えないだろう。
「お久しぶりです、亜寿沙姉様。酒吞童子たちにはいつも守ってもらっているので、むしろお世話になっているのはボクのほうです」
酒吞童子たちにはなかなか感謝することはできないので今のうちに亜寿沙姉様に伝えておこうと思った。
「今は昔と違って鬼族と言えど偉ぶることはできませんからね。力と技に特化した鬼族に妖術と技に特化した天狗族、そして力と技と妖術の三つのバランスが取れ器用に使いこなすことができる妖狐族。これが今の妖精郷三大種族。今バランスが取れているのは皆のおかげなのです。ほかの妖種もおいそれと馬鹿な真似はできなくなりましたから。それにぬらりひょんも手を貸してくれていますからね」
亜寿沙姉様の言う三大種族とは、数が多く力を持っている種族のことだ。
鬼族と天狗族と妖狐族がそれに当たる。
他にもたくさんの妖種はいるがどれも数が少ないうえに個々の力もバラバラという状況だ。
最も強いのはだれか、そしてそれ以外の者たちを誰が抑えるのか。
それを解決したのは、今いる亜寿沙姉様と稲穂さんと天都お母様、そしてぬらりひょんさんだ。
そこにどんな話があったかはわからないけど、今はこうして誰も悪さなどせずに平和に暮らせているというわけ。
「さて、ではそろそろ行きましょうか。みなもちゃんに黒奈ちゃんに雫ちゃん? そう緊張して固まってないで一緒に行きますよ」
ボクたちの話を邪魔しないように静かに待っていたみなもちゃんたちは、亜寿沙姉様の一言で動き出した。
「は、はい! 亜寿沙お姉様」
「了解~、亜寿沙姉」
「亜寿沙お姉様、お手伝いいたします」
いそいそと亜寿沙姉様についていく三人娘。
彼女たちはボクたちとは別の部屋に泊まる上に少し仕事を任されている。
なのでしばらくはお別れだ。
まぁやることと言ってもボクのお付きということもあって練習用の衣装や機材の設置なんだけどね。
こうしてボクたちは人間界側の旅館へと行くのだった。
今日は貸し切りなので人間がいたとしても関係者だけだから気楽というものだ。
地理的位置は別の場所にあるので妖精郷の高尾山は実質別の山なのだが、実は境界の一部が接しているため妖精郷側の高尾山から人間界の高尾山へとすぐに移動することが出来る。
この辺りはどうしてそうなってるのかはわからないが、一説によると大天狗が移動するときに無理矢理似た場所につなげたのが原因だという。
現在は出入口を鬼族が管理し、接客などの仕事は天狗族が行っている。
これだけ聞くとホラーな世界を彷彿させるかもしれないから言っておくけど、妖精郷も人間界も大した差はない。
別に血まみれだったりするわけでも幽霊がうろついているわけでもない。
そう言うのは冥府と繋がった場所で起こることだからだ。
話はずれるが、冥府と呼ばれる場所は色々と歪んでいるらしく、現代と同じ建物が存在していたり、逆に何もない荒野があったりするそうだ。
ちなみに冥府を色で表すと赤と黒と灰色の世界になる。
なのでうっかりこちら側に人間が迷い込んでも何にも問題はないというわけ。
鬼だって人は食べないからね。
ボクは今、お母様の身体に包まれて座っている。
一番お父様に似ているのがボクというのも理由らしい。
お母様と一番良く似ているのは葵姉様で次が弥生姉様だ。
宗親兄様は髪色以外はお父様に似ているらしく、ボクは髪色や雰囲気はお父様にそっくりなのだとか。
身体の方はお母様と同じようになることはあーちゃんの力を借りて視ているので知ってい。
いずれは胸も大きくスタイルもいい美女になることは間違いない。
問題はそれがいつになるかということだけだ。
最低でも二百年は先のようだけども……。
「暮葉ちゃんたちと一緒に温泉に行けるのは本当に嬉しいこと」
お母様がボクを撫でながらそう言う。
今日のお母様はとてもご機嫌だ。
「お母様も暮葉ちゃんと居られて嬉しそうですね~」
「あら、弥生もまだまだ小さいのだから遠慮しないでお母様のところに行けばいいのに」
「妖種的には子供だってのはわかってるんですけど~、やっぱり人間界だと大学生ですし~? 甘えていいのか悩みどころなんですよ~」
お母様に抱かれているボクを見ながら、葵姉様と弥生姉様が話し合っていた。
弥生姉様はボクより少しだけ早く生まれているせいもあって素直に甘えることには抵抗があるようだ。
どちらかというと妹がいるので甘えるよりも甘やかしたいほうが勝っているようだ。
「葵ちゃんのまっすぐな性格は主様譲りじゃな。弥生ちゃんの性格は妾と同じってところ。母性のほうが強くて甘やかしたくなっちゃうタイプというわけじゃ。妾と葛の葉は同じタイプだからどっちかが甘やかしたり甘えたりするような関係じゃなかったのぅ」
葛の葉お母様は天都お母様の双子の妹でお父様の第二夫人だ。
お母様が金髪なのに対して白い髪をしているのが特徴で優し気な風貌の美女だ。
うちの天都お母様はどっちかというと少し強気な印象を受けるかもしれない。
双子なので実際そんなに大差はないのだけど。
「そういえば葛の葉お母様は?」
ボクがそう言うと、お母様はにっこり微笑んで一言。
「妾の代わりにコラボなどの計画を作っておるところじゃ。つまり来ぬ」
葛の葉お母様には今度何かを差し入れしてあげよう。
ボクは心の中でそっと誓った。
「皆、もう着くよ。向こうには亜寿沙さんが来ているらしいから挨拶を忘れないようにね」
「は~い」
「はい」
「了解です、宗親兄様」
「亜寿沙のやつも随分疲れておったし、今日は労いの宴会じゃな」
ボクたちはそれぞれに返事をし、到着を待った。
しばらくして温泉施設入り口にたどり着いた。
ここにある扉を抜けると人間界に出ることになる。
入り口に行く前に駐車場に入り、そこで車を停めると少し歩いた。
駐車場から少し行った先に見えている入り口の付近まで行くと「お待ちしておりました」と誰かが声をかけてきた。
声のした方向を向くとそこには長い綺麗な黒髪の美女がこちらを向いて立っていた。
見た目は十代中頃のお嬢様といった感じで、身長は155cmから160cmの間といったところだろうか。
とても優しげな容貌の女性だ。
そう、彼女が鬼族の頭領の亜寿沙姉様だ。
お母様と違い高校にいても不思議ではない容姿をしている、お母様より年上のお姉様である。
「暮葉ちゃん、お久しぶり。酒吞童子たちがいつもお世話になっていますね」
ボクを見てにっこりと微笑みかける亜寿沙姉様。
彼女は酒吞童子たちにとっての姉であり親でもあるのだ。
酒吞童子も見た目だけなら深窓の令嬢みたいに見えるので、知らない人が見たら姉妹にしか見えないだろう。
「お久しぶりです、亜寿沙姉様。酒吞童子たちにはいつも守ってもらっているので、むしろお世話になっているのはボクのほうです」
酒吞童子たちにはなかなか感謝することはできないので今のうちに亜寿沙姉様に伝えておこうと思った。
「今は昔と違って鬼族と言えど偉ぶることはできませんからね。力と技に特化した鬼族に妖術と技に特化した天狗族、そして力と技と妖術の三つのバランスが取れ器用に使いこなすことができる妖狐族。これが今の妖精郷三大種族。今バランスが取れているのは皆のおかげなのです。ほかの妖種もおいそれと馬鹿な真似はできなくなりましたから。それにぬらりひょんも手を貸してくれていますからね」
亜寿沙姉様の言う三大種族とは、数が多く力を持っている種族のことだ。
鬼族と天狗族と妖狐族がそれに当たる。
他にもたくさんの妖種はいるがどれも数が少ないうえに個々の力もバラバラという状況だ。
最も強いのはだれか、そしてそれ以外の者たちを誰が抑えるのか。
それを解決したのは、今いる亜寿沙姉様と稲穂さんと天都お母様、そしてぬらりひょんさんだ。
そこにどんな話があったかはわからないけど、今はこうして誰も悪さなどせずに平和に暮らせているというわけ。
「さて、ではそろそろ行きましょうか。みなもちゃんに黒奈ちゃんに雫ちゃん? そう緊張して固まってないで一緒に行きますよ」
ボクたちの話を邪魔しないように静かに待っていたみなもちゃんたちは、亜寿沙姉様の一言で動き出した。
「は、はい! 亜寿沙お姉様」
「了解~、亜寿沙姉」
「亜寿沙お姉様、お手伝いいたします」
いそいそと亜寿沙姉様についていく三人娘。
彼女たちはボクたちとは別の部屋に泊まる上に少し仕事を任されている。
なのでしばらくはお別れだ。
まぁやることと言ってもボクのお付きということもあって練習用の衣装や機材の設置なんだけどね。
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