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第4部 エピローグ『2051』
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スタッフロールが終わり、部屋の照明が戻る。
ブレザーの制服を着た男子高校生と女子高校生はソファから立ち上がると、熱烈な拍手を送った。
「いやぁ、素晴らしい出来だったね!」
「それな? 高岡さんの熱演のおかげね」
絶賛する二人の間で、間宮は不満そうに顔をしかめる。ポップコーンをわしづかみ、一気に口へ運ぶ。
隣ではノバラが学生達のマネをし、ペチペチと手を叩いていた
「拍手しなくていいぞ、ノバラ。映画の中とはいえ、お前も散々な目に遭っただろ?」
「でも、楽しかった。可夢偉にお姫様抱っこしてもらったし」
「アレは俺じゃねぇ、夢遊だ。いや、夢路だったか?」
「夢遊だよ! 僕はドリームウォッチャーより重い物は持てないからね!」
男子高校生はキャハハッと笑う。女子高校生もクスクスと笑った。
「じゃあ、今度からジャンボパフェは私ひとりで食べるわ」
「わーっ! ごめん、ごめん! 僕も食べる!」
男子高校生は慌てる。
彼らは夜宵夢路と夜宵夢遊。高校二年生の双子の兄妹で、映画製作集団「夢十屋」の総監督だった。
兄妹が映画を撮り始めたのは、十年ほど前。
とある企業が夢を写真や映像として撮影できる機械、「ドリームウォッチャー」を開発した。
誰でも気軽に撮影できるとあって、ドリームウォッチャーは瞬く間に普及。新たな娯楽として親しまれるようになり、今ではドリームウォッチャー専門の動画チャンネルまである。
クリエイターの中にはドリームウォッチャーを使い、ドラマや映画を作り始める人まで現れた。夜宵兄妹もその一員だ。
もっとも、他のクリエイターがドリームウォッチャーの映像を部分的に使っているのに対し、夜宵兄妹は全ての映像を夢の中で撮影していた。
当たり前だが、人は夢を操れない。どんな夢を見るかは寝てみないと分からないし、夢の中では自由に動けない。そもそも夢を見ないことだってある。
だが、夜宵兄妹は違った。夢を自由に操れるのだ。
兄妹には夢を操り、夢に入れる特殊な力があった。彼らの父、昼中歩夢(本名:夜宵歩夢)の著書「悪夢使い」に登場する「アクムツカイ」と同じ能力だ。
兄妹はアクムツカイの力とドリームウォッチャーを使い、誰もマネできないドリームウォッチャー製映画を次々に発表した。そのどれもが賞賛され、十年経った今では現役高校生監督として世界に名が知れ渡っていた。
夜宵兄妹がアクムツカイだと知っている人間は少ない。本人達と彼らの両親、そして間宮とノバラだけだ。
間宮はメンツを思い浮かべるたび、
「何で俺、この中にいるんだろう?」
と、不思議になる。
というのも、夜宵兄妹の両親とノバラは兄妹と同じアクムツカイ(正確には、ノバラはアクムツカイから分離した存在らしい)だが、間宮は夢をどうこうする力もなければ、夢を見たことすら一度もなかった。彼らがアクムツカイだと知ったのは、偶然だ。
間宮は映画専門雑誌「キネマ総天然色」の専属記者で、夜宵兄妹が所属している高校の映画研究部のOBだった。夜宵兄妹の取材がてら母校を訪れたところ、彼らが部活の先輩達に悪夢を見せている現場を目撃してしまったのだ。
「お、おい! そいつらに何をしたんだ?!」
実際、間宮には二人が何をしたのか分からなかった。彼らの先輩達はただ、地面をゴロゴロと転がっていた。
夜宵兄妹は薄ら笑いを浮かべ、答えた。
「転がっていないと豚さんになっちゃう悪夢を見せたんだよ。こいつら、僕達の映画をパクろうとしたからさ」
「お兄さん、キネマ総天然色の記者さんでしょ? 私達のファンになってよ」
直後、兄妹の目に殺意が宿った。
本来なら、間宮も兄妹の先輩達のように悪夢を見せられるはずだった。しかし、
「誰がファンなんかになるか。俺はなぁ、ドリームウォッチャー製の映画が大嫌いなんだよ。俺をファンにしたいなら、実力で認めさせてみろ」
「……」
「……」
夜宵兄妹はそろって、ぽかんとした。ついさっきまで先輩に残虐な仕打ちをしていたとは思えない、なんともマヌケな顔だった。
その後も兄妹は間宮に悪夢を見せようとトライしたが、効かなかった。やがて何度か取材を重ねるうちに、兄妹は間宮に懐き始めた。
「お兄さん、僕達がアクムツカイってこと記事にしないのー?」
「俺の専門は映画だ。都市伝説でも芸能ゴシップでもねぇ」
「やさしー。だから、ノバラちゃんにも好かれるんだね」
ノバラはいつのまにか間宮に取り憑いていた「悪魔」だ。
間宮がノバラを生み出したアクムツカイ、野々原夢雲を怪しい女から守ったことで興味を持ったらしい。ノバラも十分怪しかったが、間宮の仕事や家事を手伝ってくれるため好きにさせていた。
ちなみに、夜宵兄妹はノバラのことも「可愛い」と気に入っている。ノバラを生み出した野々原と兄妹の母・夢花には浅からぬ因縁があるらしいが、兄妹は全く気にしていなかった。
「で、どうだった? 今回の映画『天使様と悪魔様』は?」
「すごかったでしょ? 豪華三本立てだよ?」
夜宵兄妹は顔を近づけ、間宮に感想を求めてくる。
「面白かっただろ?」
「面白かったと言え」
と言わんばかりに、二人の目はギラついている。兄妹は「実力で認めさせてみろ」という間宮の言葉を真に受け、新作が完成するたびに間宮(とノバラ)を自宅の試写会へ呼んでいた。
間宮は残りのアイスコーヒーを飲み干し、答えた。
「最低だな。ひとりの人間を悪夢に閉じ込めて見せ物にするなんて、バレたら警察沙汰だぞ?」
兄妹はムッとした。
「バレないからいいもん」
「先に仕掛けてきたのは、あの女だし。自業自得でしょ?」
改めて言うが、夜宵兄妹の映画は悪夢の中で撮影している。より人間らしく見せるため、夜宵兄妹が姿を変えて演じているキャラクターもいるが、ほとんどの演者は夢の世界の住人だ。
しかし、高岡利緒役だけは本人が担当させられていた。彼女は夜宵兄妹の両親の命を狙ったせいで悪夢へ閉じ込められてしまったのである。
高岡利緒は夜宵兄妹の母、夢花の元同級生だった。かつて夜宵夫婦に二度、悪夢を見せられた恨みから、二人に復讐しようと企んでいたらしい。
そのことを夜宵家が知ったのは、三人のアクムツカイから「高岡利緒という怪しい女が、貴方達を狙っている」と忠告されたおかげだった。
一人目は常時正夢。
二人目は館操江。
そして、三人目は野々原夢雲だった。
三人は口を揃えて、言った。
「高岡は『夜宵夫妻を悪夢で殺し合わせて欲しい』と頼んできた。依頼を受けてくれるならなんでも叶えてあげる、とも話していた」
「だけど、俺(私)は断った。高岡はこちらの事情をなんでも知っていた。信用できない」
また、常時と館はこうも言っていた。
「高岡に、この力のことや過去の犯罪をバラされたくない。もしそちらに来たら始末しておいてくれないか(しておいてくれないかしら)?」
三人はアクムツカイの能力を使ったり使わなかったりしつつ、それぞれ幸せに生活していた。今さら、有名人になった夜宵夫婦に復讐する気などなかった。
野々原だけは少々事情が違い、無理矢理病院へ連れて行かれそうになったらしいが、たまたま居合わせた男性客に助けてもらい、無事だったという。実はその男性客が間宮で、そのことがキッカケでノバラが間宮を気にするようになったのだが、間宮は全く覚えていなかった。
夜宵夫婦は三人の忠告を素直に受け取り、高岡を「新しいオモチャ」として、子供達に与えた。
「あの女はパパとママの命を狙っている。殺すも生かすも、お前達に任せるよ」
相手が大好きな両親の命を狙っている不届きものと知り、兄妹は殺気立った。
すぐさま高岡を前作の試写会に呼び、悪夢の世界へ閉じ込めた。今後、高岡が現実に戻ることはない。夢の中にしかいない架空のキャラクターとして、永遠に利用されるのだ。
間宮の反応とは裏腹に、夢路と夢遊は満足そうだった。
「これならパパとママも喜んでくれるね!」
「うん。早く帰ってこないかしら」
「……なぁ。ひとつ訊きたいんだが、」
間宮は映画を見て感じた、一番の気がかりを二人に尋ねた。
「架空の話とはいえ、実の両親を殺し合わせるって大丈夫か? 祖父母も合体して化け物になってたし」
「それは大丈夫! 作る前に訊いたから!」
「観るのが楽しみって褒めてくれたよ」
「マジか」
「常時さんとか館さんとか野々原さんにもオファーしたんだけどね、三人とも断られちゃった」
「野々原さんは『恥ずかしい』って照れてたけど、他の二人は『発想がいかれてやがる』ってドン引きしてたなぁ」
「それが普通なんだよ」
「「へぇー」」
夢路と夢遊は顔を見合わせ、クスクス笑った。
「じゃあ、今度はドン引きされない悪夢を選ばなくちゃね」
「次はどんな悪夢を作ろうか?」
「高岡さんはもちろん入れたいね」
「入れたいね。もっともっと苦しめたいね」
「楽しみだね」
「楽しみだね」
「クスクス」
「クスクス」
不気味に笑う兄妹に、間宮は心底「こいつらを敵に回さなくて良かった」と安堵した。
もしも敵に回していたら、悪夢は現実になっていただろう。
(第4部ならびに「悪夢症候群」終わり)
ブレザーの制服を着た男子高校生と女子高校生はソファから立ち上がると、熱烈な拍手を送った。
「いやぁ、素晴らしい出来だったね!」
「それな? 高岡さんの熱演のおかげね」
絶賛する二人の間で、間宮は不満そうに顔をしかめる。ポップコーンをわしづかみ、一気に口へ運ぶ。
隣ではノバラが学生達のマネをし、ペチペチと手を叩いていた
「拍手しなくていいぞ、ノバラ。映画の中とはいえ、お前も散々な目に遭っただろ?」
「でも、楽しかった。可夢偉にお姫様抱っこしてもらったし」
「アレは俺じゃねぇ、夢遊だ。いや、夢路だったか?」
「夢遊だよ! 僕はドリームウォッチャーより重い物は持てないからね!」
男子高校生はキャハハッと笑う。女子高校生もクスクスと笑った。
「じゃあ、今度からジャンボパフェは私ひとりで食べるわ」
「わーっ! ごめん、ごめん! 僕も食べる!」
男子高校生は慌てる。
彼らは夜宵夢路と夜宵夢遊。高校二年生の双子の兄妹で、映画製作集団「夢十屋」の総監督だった。
兄妹が映画を撮り始めたのは、十年ほど前。
とある企業が夢を写真や映像として撮影できる機械、「ドリームウォッチャー」を開発した。
誰でも気軽に撮影できるとあって、ドリームウォッチャーは瞬く間に普及。新たな娯楽として親しまれるようになり、今ではドリームウォッチャー専門の動画チャンネルまである。
クリエイターの中にはドリームウォッチャーを使い、ドラマや映画を作り始める人まで現れた。夜宵兄妹もその一員だ。
もっとも、他のクリエイターがドリームウォッチャーの映像を部分的に使っているのに対し、夜宵兄妹は全ての映像を夢の中で撮影していた。
当たり前だが、人は夢を操れない。どんな夢を見るかは寝てみないと分からないし、夢の中では自由に動けない。そもそも夢を見ないことだってある。
だが、夜宵兄妹は違った。夢を自由に操れるのだ。
兄妹には夢を操り、夢に入れる特殊な力があった。彼らの父、昼中歩夢(本名:夜宵歩夢)の著書「悪夢使い」に登場する「アクムツカイ」と同じ能力だ。
兄妹はアクムツカイの力とドリームウォッチャーを使い、誰もマネできないドリームウォッチャー製映画を次々に発表した。そのどれもが賞賛され、十年経った今では現役高校生監督として世界に名が知れ渡っていた。
夜宵兄妹がアクムツカイだと知っている人間は少ない。本人達と彼らの両親、そして間宮とノバラだけだ。
間宮はメンツを思い浮かべるたび、
「何で俺、この中にいるんだろう?」
と、不思議になる。
というのも、夜宵兄妹の両親とノバラは兄妹と同じアクムツカイ(正確には、ノバラはアクムツカイから分離した存在らしい)だが、間宮は夢をどうこうする力もなければ、夢を見たことすら一度もなかった。彼らがアクムツカイだと知ったのは、偶然だ。
間宮は映画専門雑誌「キネマ総天然色」の専属記者で、夜宵兄妹が所属している高校の映画研究部のOBだった。夜宵兄妹の取材がてら母校を訪れたところ、彼らが部活の先輩達に悪夢を見せている現場を目撃してしまったのだ。
「お、おい! そいつらに何をしたんだ?!」
実際、間宮には二人が何をしたのか分からなかった。彼らの先輩達はただ、地面をゴロゴロと転がっていた。
夜宵兄妹は薄ら笑いを浮かべ、答えた。
「転がっていないと豚さんになっちゃう悪夢を見せたんだよ。こいつら、僕達の映画をパクろうとしたからさ」
「お兄さん、キネマ総天然色の記者さんでしょ? 私達のファンになってよ」
直後、兄妹の目に殺意が宿った。
本来なら、間宮も兄妹の先輩達のように悪夢を見せられるはずだった。しかし、
「誰がファンなんかになるか。俺はなぁ、ドリームウォッチャー製の映画が大嫌いなんだよ。俺をファンにしたいなら、実力で認めさせてみろ」
「……」
「……」
夜宵兄妹はそろって、ぽかんとした。ついさっきまで先輩に残虐な仕打ちをしていたとは思えない、なんともマヌケな顔だった。
その後も兄妹は間宮に悪夢を見せようとトライしたが、効かなかった。やがて何度か取材を重ねるうちに、兄妹は間宮に懐き始めた。
「お兄さん、僕達がアクムツカイってこと記事にしないのー?」
「俺の専門は映画だ。都市伝説でも芸能ゴシップでもねぇ」
「やさしー。だから、ノバラちゃんにも好かれるんだね」
ノバラはいつのまにか間宮に取り憑いていた「悪魔」だ。
間宮がノバラを生み出したアクムツカイ、野々原夢雲を怪しい女から守ったことで興味を持ったらしい。ノバラも十分怪しかったが、間宮の仕事や家事を手伝ってくれるため好きにさせていた。
ちなみに、夜宵兄妹はノバラのことも「可愛い」と気に入っている。ノバラを生み出した野々原と兄妹の母・夢花には浅からぬ因縁があるらしいが、兄妹は全く気にしていなかった。
「で、どうだった? 今回の映画『天使様と悪魔様』は?」
「すごかったでしょ? 豪華三本立てだよ?」
夜宵兄妹は顔を近づけ、間宮に感想を求めてくる。
「面白かっただろ?」
「面白かったと言え」
と言わんばかりに、二人の目はギラついている。兄妹は「実力で認めさせてみろ」という間宮の言葉を真に受け、新作が完成するたびに間宮(とノバラ)を自宅の試写会へ呼んでいた。
間宮は残りのアイスコーヒーを飲み干し、答えた。
「最低だな。ひとりの人間を悪夢に閉じ込めて見せ物にするなんて、バレたら警察沙汰だぞ?」
兄妹はムッとした。
「バレないからいいもん」
「先に仕掛けてきたのは、あの女だし。自業自得でしょ?」
改めて言うが、夜宵兄妹の映画は悪夢の中で撮影している。より人間らしく見せるため、夜宵兄妹が姿を変えて演じているキャラクターもいるが、ほとんどの演者は夢の世界の住人だ。
しかし、高岡利緒役だけは本人が担当させられていた。彼女は夜宵兄妹の両親の命を狙ったせいで悪夢へ閉じ込められてしまったのである。
高岡利緒は夜宵兄妹の母、夢花の元同級生だった。かつて夜宵夫婦に二度、悪夢を見せられた恨みから、二人に復讐しようと企んでいたらしい。
そのことを夜宵家が知ったのは、三人のアクムツカイから「高岡利緒という怪しい女が、貴方達を狙っている」と忠告されたおかげだった。
一人目は常時正夢。
二人目は館操江。
そして、三人目は野々原夢雲だった。
三人は口を揃えて、言った。
「高岡は『夜宵夫妻を悪夢で殺し合わせて欲しい』と頼んできた。依頼を受けてくれるならなんでも叶えてあげる、とも話していた」
「だけど、俺(私)は断った。高岡はこちらの事情をなんでも知っていた。信用できない」
また、常時と館はこうも言っていた。
「高岡に、この力のことや過去の犯罪をバラされたくない。もしそちらに来たら始末しておいてくれないか(しておいてくれないかしら)?」
三人はアクムツカイの能力を使ったり使わなかったりしつつ、それぞれ幸せに生活していた。今さら、有名人になった夜宵夫婦に復讐する気などなかった。
野々原だけは少々事情が違い、無理矢理病院へ連れて行かれそうになったらしいが、たまたま居合わせた男性客に助けてもらい、無事だったという。実はその男性客が間宮で、そのことがキッカケでノバラが間宮を気にするようになったのだが、間宮は全く覚えていなかった。
夜宵夫婦は三人の忠告を素直に受け取り、高岡を「新しいオモチャ」として、子供達に与えた。
「あの女はパパとママの命を狙っている。殺すも生かすも、お前達に任せるよ」
相手が大好きな両親の命を狙っている不届きものと知り、兄妹は殺気立った。
すぐさま高岡を前作の試写会に呼び、悪夢の世界へ閉じ込めた。今後、高岡が現実に戻ることはない。夢の中にしかいない架空のキャラクターとして、永遠に利用されるのだ。
間宮の反応とは裏腹に、夢路と夢遊は満足そうだった。
「これならパパとママも喜んでくれるね!」
「うん。早く帰ってこないかしら」
「……なぁ。ひとつ訊きたいんだが、」
間宮は映画を見て感じた、一番の気がかりを二人に尋ねた。
「架空の話とはいえ、実の両親を殺し合わせるって大丈夫か? 祖父母も合体して化け物になってたし」
「それは大丈夫! 作る前に訊いたから!」
「観るのが楽しみって褒めてくれたよ」
「マジか」
「常時さんとか館さんとか野々原さんにもオファーしたんだけどね、三人とも断られちゃった」
「野々原さんは『恥ずかしい』って照れてたけど、他の二人は『発想がいかれてやがる』ってドン引きしてたなぁ」
「それが普通なんだよ」
「「へぇー」」
夢路と夢遊は顔を見合わせ、クスクス笑った。
「じゃあ、今度はドン引きされない悪夢を選ばなくちゃね」
「次はどんな悪夢を作ろうか?」
「高岡さんはもちろん入れたいね」
「入れたいね。もっともっと苦しめたいね」
「楽しみだね」
「楽しみだね」
「クスクス」
「クスクス」
不気味に笑う兄妹に、間宮は心底「こいつらを敵に回さなくて良かった」と安堵した。
もしも敵に回していたら、悪夢は現実になっていただろう。
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